9 循環
魔法が使えたら、もっと強くなれるかな?
どうぞよろしくお願いします。
「魂が混じった?!
大丈夫なのか、それ?」
「うん、僕も少し……」
和也が赤くなる。
「ナーセルとメルティトの力を自分の中に感じることができる……」
「マジか……。
じゃあ、メルティトもってことだよな。
3人が少しずつってこと?」
「すごい影響を持つほどではないよ。微かにってことだけど。
ナーセルはもともと魔力がない体質だった。
だけど、今の七瀬には魔力が微力だけどある。ここから魔力量をあげていくことができるよ。
やってみない?」
「うん、やる!
どうすればいい?!」
「僕が魔力を右手から流すから、七瀬は感じて。
そしてできたら、その魔力を僕の左手に渡すというか流すイメージをして……」
ちょうどベッドに座って、半分向かい合わせ気味に手を握り合っているから、私は頷いた。
「じゃあ……、うん、七瀬、目を閉じてくれない?
そんなに見られてると、恥ずかしい……」
そういうもんなの?
私は目を閉じた。
左手がピリピリしてきた。
あ、和也の右手側だもんな。これを受け入れる?
「七瀬、受け入れて」
「いっ? どうやって?」
焦るがどうしたらいいのかさっぱりわからない。
「少し触るよ」
何かが私の顔に触れた。
ふふ、くすぐったい。
私が目をつぶったまま微笑むと唇に何かが触れた。
和也の手かな?
ん?
手は……、両手は繋いでる……。
思わず、目を開けてしまう。
和也の顔が目の前にあって身体を後ろに引いてしまい、後ろに倒れそうになるのを和也が慌てて引っ張り、ベッドに仰向けに倒れ込んだ。
「危ないな……、ベッドで良かった……」
和也がそれでも両手を繋いだままっていうか、上からベッドに押しつけるように握り込んでいる形で……。
「続けるよ」
えっ?
起き上がろうとしたけど無理で、私はぎゅっと目をつぶった。
唇に何かが触れる。
いや、もう何かじゃない、和也の唇だとわかっているけど……。
私の意識が唇の方に集中してしまうと左手が温かくなって、ピリピリがなくなった。
唇の感触がなくなり「入れた……」と和也の声が耳元で聞こえてびくっとした。
左手から私の全身に温かいものが満ちてくる。
これを右手から和也に返せばいいんだよな……。
どうやるんだ?
全身が温かくなり……。
少しあせったが、何も引っかかることなく、右手からすーっと温かいものが和也の左手に流れていくのがわかった。
「上手くできてる?」
私は思わず言ってしまった。
「できてる。大丈夫」
和也のうれしそうな声。
「良かった……」
ほっとした私に和也が言った。
「僕以外の人としないでよ」
「えっ、これ魔力量を上げる練習なんでしょ?」
読んで頂き、どうもありがとうございます。
1話を1000字にしたのである程度まとめて投稿しないとわかりにくいかなとこの週末は連続投稿してます。
月曜日からは毎日投稿でゆっくり進む予定です。
これからもお付き合いいただけたらうれしいです。