6 封印
聖女と勇者の性別逆転異世界転生から16年。
前世の異世界イルバニアの状況は?!
どうぞよろしくお願いします。
モーティマ王とマーティスの話によると……。
30年前の魔王討伐で……。
勇者ナーセルと聖女カージュの命と引き換えに魔王を封印することに成功したが、10年前ほどにその封印が破られ、魔王が復活したそうだ。
封印は20年しかもたなかったのか……。
しかし、魔王はこの国には何もしてこず……。
王位を継いだモーティマ王やマーティス、他にも一緒に討伐に行っていた騎士や魔法使いや神官は警戒し続けていたが、あれ? となり……。
そのうちに魔王城に魔王がいないことが判明したそう。
魔王は……、聖女カージュを求めていた。
ダイクン王の娘であり、王女であり聖女であるカージュ姫を。
30年前もそうだった。
聖女カージュが魔王のものになれば、この王国と国民に手出しはしないと。
カージュ姫は自分ひとりが犠牲になれば国が救われるのなら……と。
しかし、それに異議を唱えたのが勇者ナーセル、魔法使いマーティス、そして騎士のカイロス、神官のモルフォ……。
カージュ姫は俺達に説得され、共に戦うことを決めた。
魔王はとても強く、倒すことはできなかったが、封印ならできるということになり……。
俺とカージュが力を合わせ……。
カージュは『私の我儘のせいで、私の命だけでなく、結局、あなたを巻き込んですまない』と泣いたっけ。
……昔のことを思い出し過ぎた。
マーティスが話を続けている。
導き出される答えはひとつ。
魔王は、聖女カージュの魂を追って行ったのではないかと。
それから、マーティスは時空の歪みや磁気の乱れなどにより気を配るようになったのだという。
そして、昨日、空に大きな時空の歪みの発生を見つけ、黄色い魔族の魔力の発動とそれに対するような聖魔法の青白い発動を感知した。
カージュが転生した異世界で魔王と戦っているのではと判断して、聖魔法の発動者をこちらに転移できる異世界転移魔法を送り込んだというわけだそう。
「助かったよ。マーティス。
転生した地球という異世界では魔法が使えなくて。
あの時のあの子が魔王だったとは信じられないけれど、彼女の力で一瞬にして、あの展望室内がイルバニアと同じ空間になったんだ。
だから、僕は聖魔法が使えた。でも、それだけでは七瀬を守り切れなかっただろうから」
和也がマーティスに言った。
「あの子が魔王。
確かに『メルちゃん』と呼ばれてた」
私が呟くと、和也も頷く。
「ああ、魔王メルティト……の名を僕も思い出した」
あの子は確かに、和也に対しては『見つけた』としか言わず、私には『滅ぼす』と言った。
転移魔法陣で転移される私達を見て、必死に手を伸ばしていた。
読んで頂き、どうもありがとうございます。
毎日投稿でゆっくり進む予定です。
これからもお付き合いいただけたらうれしいです。