42 新しいギルド
「おかえりなさい! ナナセ!」
スーリア国内に改めてできたギルドに入ると、ギルド職員のマリアが声をかけてくれた。
メルティトの城の周囲に街を整備し、こころちゃんが名前をつけた。
街の名前は『メルチャン』……。
私達は目が点になったけど、理由を聞いて納得した。
少し前から、私やこころちゃんはメルティトを「メルちゃん」と呼ぶのをやめた。
まあ、もうメルちゃんって感じじゃないからね。
でも、こころちゃんはその呼び名をどこかに残したかったそう。
まあ国名にもメルティトの名は入っていない。
これくらいはいいんじゃない。
そして国交が正常になったこともあり、ギルドも無事に誘致することができた。
最初に立ち上げに来てくれた職員の中に、マリアさんがいたのだ!
私は改めてセナからナナセに名を登録し直してもらい、友達になった。
ジャックがこちらで募集があったギルドの職員になってさ。
なんかふたり、仲良いんだよね。
今回ギルドに来たのはノアと私と和也とマイネ。
「今回はドラゴン退治でしたっけ?」
マリアの問いかけにノアが答える。
「ああ、奥の方の村から要請があってね。
助っ人も来てくれたから、無事にね、完了」
ノアが和也とマイネを見て笑う。
「いや、面白かったよ、ドラゴン退治」
和也も笑い、マイネは苦笑いだ。
「七瀬と和也の聖魔法の防御と結界があったから……。
でも、今まで、聖魔法なしでドラゴン退治していたのか、この国は……。
そう考えると恐ろしいな……」
ジャックも出てきた。
「ドラゴン、もちろん、こっちに卸してくれるんだろ?」
「ああ、黄光魔法の魔法陣で空間を作りそこに収納してある」
ノアが答えて倉庫の方に歩き出し、立ち止まって振り返った。
「マイネも見学するか? 収納魔法、見たいんだろ?」
「あ! 行く! カズヤとナナセは?」
私が答えた。
「新しい依頼がないか、見てみる!」
「わかった、後でな!」
マイネがノアとジャックを追って行くのを見送ってから、和也と掲示板の方へ行く。
「「これ……」」
ふたりで同時に指差してしまい……。
私は大口を開けて笑ってしまった。
和也が微笑んだ。
「じゃあ、さっさと済ませてくるか!」
私は頷いた。
メルチャンの街の外れ、湿原があり、そちらを農地に開拓中だ。
そこで大きなヘビの魔物が出現し、被害が出ているそう。
少しずつ街を作ったり、農地を広げたりし始めてから、こういう魔物退治の仕事が増えている。
サラザール王国だと、魔物っていうよりは、本当に普通の獲物を狩りっていう感じで……。
それはもう開拓されてからだいぶ経っていて、ということもあるんだろう。
やっぱりスーリア王国は、未開の地が多く、まだまだわからないことが多すぎる。
読んで頂き、ありがとうございます。
次の話でラスト! 完結です!
最後までお付き合い頂けたらうれしいです。




