4 再会
聖女と勇者の性別逆転異世界転生から16年。
前世の異世界イルバニアに来てしまいました。
どうぞよろしくお願いします。
ドラゴン?!
あ、新田がゴジラって言ってた奴!
ドラゴンなら、前世で倒してたけど……、今は無理だろうな……。
森を抜けたところに小さな村があって……。
「あ、ここって……」
「思い出した?
ここはイルバニアのサドゥ村だね。
マーティスの出身地じゃなかったかな?」
和也が慣れた道を進むように歩いて行く。
私はついて歩くしかできない。
小さな教会に辿り着く。
教会の神官には微妙な顔をされた。
「どこの国の方でしょうか?」
確かに紺色のお揃いジャージ姿にリュックサックのふたり連れは怪しいし目立つよな、この世界では。
「マーティスの友人です。
王城までの転送魔法陣を使わせていただきたい」
和也が淀みなくにこやかに話した。
「マーティス殿の?」
「はい、私達は……、聖女カージュと勇者ナーセルの生まれ変わりです。
異世界で生まれ育ちましたが、マーティスの魔法でイルバニアに転移してきたのです」
神官が驚愕の表情を浮かべる。
「聖女カージュと勇者ナーセル?! ……証拠は?!」
「そうですよね。
名乗るだけで使わせていただけるとは思っていませんでしたが。
では、この村の結界の補強を……」
和也が両手を組み、祈る。
青白い光が和也から広がり、教会の柱を上に上にと上がっていき、屋根から広がっていく感覚がわかった。
神官がまた驚愕の表情でキョロキョロしている。
和也がふぅと息を吐いてから目を開けた。
「終わりました」
神官はコクコク頷き「確かに、聖女カージュ様のお力、ですね……」と言った。
教会の奥に案内され、私と和也は魔法陣の中に入る。
魔法陣は光っていない。
「ありがとうございます。では」
和也がしゃがんで、魔法陣に指で触れる。
そこから魔法陣の図式に青白い光が満たされていく。
青白い光に包まれたかと思うと、和也が私を抱きしめた。
「今度は僕が支えるから」
空中に浮く感じがして、今度はすぐ、落下する感覚がする。
「行くよ、3、2、1!」
和也の合図で私は着地の準備をした。
和也がぐっと私の身体を引き上げてくれて、今回は膝をつかずに上手に着地できた。
「カージュ!」
懐かしい声が聞こえた。
が、青白い聖魔法の光が消えると「え? あれ?」と怪訝な感じになり……。
「マーティス、久しぶり」
和也がにっこり笑う。
マーティス、私達と一緒に魔王を封印に行った若き天才魔法使いは、渋い感じの大人な魔法使いになっていた。
「えっ? カージュ……、ということは、こっちの女の子が……、もしかしてナーセル?!」
「女の子になってて、悪かったな!」
読んで頂きありがとうございます。
これからもお付き合いして頂けたらうれしいです。