31 モテ期
森を開拓しての街作りの計画ができ、着手した頃、サラザール王国から使者が来ることになった。
マーティス、ウリエル王子、和也、マイネの4人が来るそう。
ま、和也にはお礼を言わなきゃな。
思うところはあるが、あの魔法量を上げる練習のおかげで聖魔法が使えるようになったし、和也の聖魔法の力が……、私の中にたくさん溜まってたということに繋がったわけだし。
サラザール王国からの手紙には、私が聖魔法を使いそれを目標に4人が転移してくるそう。
決められた日時に私は城に聖魔法の結界を展開させた。
前に和也がやっていたように……。
柱を駆けあがっていく青白い光とメルティトの丸い黄色い光が、お互いを照らしあって、とても美しかった。
青白い魔法陣が現れ、4人が転移してくる。
私はにっこりと微笑んで迎えた。
心配かけたしね。
「……元気そうだな、七瀬」
和也が私を見るなり言った。
七瀬って呼ばれるのは久しぶりだ。
「うん、元気。
魔王国、楽しいよ。私ができること、やることたくさんあって!
それにね、ここに来てモテ期が到来したかも?!
生まれて初めて、男の人に好きだって告白された!
こんな私でもかわいいって言ってくれる人に初めて出会えたよ」
楽しくやっていて元気だったと、明るい笑える話として報告したつもりだったんだけど。
マイネがびっくりして言った。
「生まれて初めて?」
「うん、私ってその……、男みたいなところがあるから、今までそういうことなかった、し」
「えっ?」
マイネが和也を見てまた言った。
「えっ?」
和也の顔が強張っている。
そんな変なこと言ったかな?
「今日はシンシアは来なかったんだね。
国交が安定したら、シンシアも連れて来てね、和也!」
ますます和也の顔が怖くなる。
私は首を傾げてマイネを見た。
どーなってるんだ?
シンシアと和也はケンカでもしたんか?!
あ、大事なシンシアをこんなところに連れて来られるかっ! てこと?
なるほど。
とりあえず、マーティスとウリエル王子たちはメルティトとバースとこのまま話をするそう。
ノアや他の文官さん達も来た。
私は部屋を出ようとしたら、和也に呼び止められた。
「七瀬。ふたりで話をしたい」
私は頷いた。
私もお礼を言いたいし、謝りたいこともある。
言ってやりたいこともあるし、これからシンシアと付き合う時に気を付けた方がいいことも言っときたいし……。
マイネがどうしようという感じで困っている。
ノアもこちらに来た。
「どうした? ナナセ」
「和也と話をしてくる」
「ふたりきりで? 大丈夫か?」
「大丈夫だよ。
和也は幼馴染で、これまでは私が守らないといけない人だったけど……。
もう和也の方が強いし、頼りになる人がたくさん周囲にいるからね。
私は必要なくなったんだよ」
私がノアに説明していると、その言葉を聞いてマイネが驚いていた。
ノアとマイネもメルティト達との話に参加することになり、気にするふたりを置いて、私と和也は部屋を出た。
そのまま、庭へ出る。
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