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3 前世

聖女と勇者の性別逆転異世界転生から16年。

前世の異世界イルバニアに来てしまいました。

どうぞよろしくお願いします。

 地球という異世界に転生して16年。

 私こと野口七瀬と、小林和也は幼馴染としてこの日本の同じ街に生を受けた。


 一緒に過ごす中で、なぜか私は和也を守らねば! という使命感に燃えることが多く、和也はそれを微笑みながら、でも、そんな無理しないでという感じで見ていたような気がする。


 小学生3年生の時、和也が打ち明けてきた。


「なんかさ、僕、前世は女の人だった気がするんだよね。

 七瀬ともその時、こ、こ、恋人っていうか、その、七瀬のこと好きで、あ、だから、今度も七瀬が、だから好きとかじゃなくて?! あれ?」


 前世が恋人?

 ん?

 私は、和也を守る人で……。

 和也は『姫』で……。


「姫?」


 和也がはっとする。


「七瀬も覚えてる?」


 和也の顔を見ていたら、美しい女性の顔が浮かんだ。


「カージュ姫? 私の聖女……。

 えー!! なんで?!

 カージュ姫が男に?!

 えっ、私、俺、えっ? 女に?!」


 私は一気に記憶が戻りパニックになりかけた。


 和也はそんな私を優しく抱きしめた。


「大丈夫、大丈夫。

 ここは魔法がない世界だから。

 七瀬はかわいい女の子で、僕は男の子。

 今度は僕が七瀬を守るよ」

「……ふざけんな」

「えっ?」

「和也はどうあっても、私の聖女で、私は勇者!

 どんなに今の私が非力だとしてもお守りするのが私の使命!」


 和也はふっと笑って言った。

「そうなんだ。

 じゃあ、気が済むまで守って。

 僕は僕で七瀬を勝手に守るから」


 それからはお互いにお互いを守り合うような不思議な友達関係になっていて、高校まで一緒に……。



 森の中を和也の聖魔法を頼りに歩いている。


「あー、この姿だとみんなにびっくりされるだろうな」

 和也がぼそぼそ言っている。


「それはこっちも同じこと」

「いや、ナーセルは相変わらずかっこいいよ」

「カージュ姫もかわいいですよ」


 うん、和也は私の中では守りたいかわいい人だ。


「それは……、僕達の間では男女が逆転しちゃったから。

 でも、僕は和也として七瀬を……、その……。

 ちゃんと、見てるから!」


 赤くなりながら和也が一生懸命話してくれる。

 うん、お互いに前世も今世も、外見が性別が変わろうが、大切な人なのは変わらない。


「そうですね。

 中身は変わらないんだから。それに、あの小学生女児はちゃんとわかってたね。

 和也のこと、聖女って呼んだし、私のことを勇者って」

「魔族は何でもありだから」

 和也が笑う。


「学校のみんなは大丈夫だったかな?」

「大丈夫だよ。

 どうやら、あの女の子もすぐに僕達を追いかけてこっちに来ようとしてた感じなんだよね。

 ドラゴンの召喚も途中でやめて戻したようだし」

読んで頂きありがとうございます。

これからもお付き合いして頂けたらうれしいです。

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