28 成長
青白い光がちいさくなっていくと、メルちゃんの変わった姿を見たこころちゃんがびっくりして叫んだ。
「メルちゃん?! 男の子だったの?」
メルちゃんだった少年は、自分の手を見て怪訝な顔をして、それからラルダさんを見た。
ラルダさんは客間にある大きな鏡を運んできた。
少年は鏡を見て、息をのんだ。
「転生前の? 違うか?」
ラルダさんが言った。
「メルティト様の小さい時に似ておられます。
髪色と瞳の色だけは……、メル様の黒い色が残っているみたいですが……」
「身体は辛くない?」
私は聞いた。
少年はこくんと頷いた。
「ななせちゃん、これは?」
「わからないけど……、痛みと辛さがなくなるように……、そして身体が小さいなら、魔力に合わせて成長させればいいと願った。
メルちゃんの身体とメルティトの記憶とあなたが望む姿に、うまくいくようにと……」
「魔力の多さに耐えられるぐらいにまで成長したということか……」
メルちゃんというか、もうメルティトが自分の身体を触ったり、見下ろしたりしている。
私は急に目の前が暗くなった。
急激に力を使ったからか、な。
ここまで、限界まで、使ったこと、なかったもんな……。
「ななせちゃん?!」
こころちゃんの声がかろうじて聞こえた……。
◇ ◇ ◇
う、なんか身体が動かん。なんか暑いし、これが金縛りという奴か?!
天井を見る。あ、どこかのベッドの上?
なんとか頭を動かして横を見ると、隣にこころちゃんが、反対側にメルティトが、私に引っ付くように寝ていた。
温かいけど、道理で窮屈な感じが……。
ふたりはぐっすりと寝ている。
改めてメルティトを見ると、小学生3、4年生の男の子といった感じだ。
これぐらい身体が大きくなれば、魔力過多に悩まされることも少ないのだろう。
良かった。
「目が覚められましたか?」
ベッドのそばにバースさんと……、ラルダさんがいた。
「バースさん! おかえりなさい!」
バースさんは私の言葉に微笑んで「ただいまです」と言った。
「帰ってきたら驚きましたよ。
メルティト様がの姿が変わっていて……」
「すみません……、私もこうなるとは……」
「ああ、怒ってはいませんよ。
ただ、私もその聖魔法を見たかったですよ」
「……サラザール王国の方はなんと?
私の身柄をこちらに預けることは了承を?」
「すぐには返事を頂けなかったので、帰ってきました。
カズヤ様ですか?
黒髪に黒い瞳の若い男性の騎士に『ななせは希望しているのか?』と聞かれたので『希望されています』と答えましたが……。良かったのでしょうか?」
私は頷いた。
「ええ、それでいいです。ありがとう」
読んで頂きありがとうございます。




