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27 聖魔法

「はっ! 手紙を届けましたら、私自身が魔族魔法の姿くらましで、すぐ戻りましょう」

「ああ、手紙にはこう書こう。

 勇者ナーセルの記憶と魂を持つ少女ななせちゃんをこちらで保護している……、いや、こちらで引き取ると。

 それにより、これまでの禍根は水に流して、国交を結び直そうではないか」

「準備致します!」


 バースさんがあわてて出て行き、メルちゃんは私を見て笑った。


 こころちゃんが私の膝に甘えるように手をかけて身を乗り出してくる。


「ななせちゃん、ずっとここにいてくれるの!」

「んー、どうなるかわかりませんが、メルちゃんの治療をお手伝いをしたいと思います」


 殺される覚悟で来たんだ。

 ふたつの国が仲良くなれるなら、別にこのまま、ここで過ごしてもいいか。

 人質っていうわけでもなさそうだし。


 メルちゃんが顔をしかめて目を閉じて、ため息をついた。

 

 痛むのかな? 辛い?


「準備ができたら、すぐに聖魔法をかけましょう……。

 昔のカージュのように強くはないですが、少しでも助けになれれば……」

「ああ、ありがとう……」


 バースが立派な封筒を持って戻ってきた。

「準備はできました」


「そうか、それでは聖魔法の治療を私の身体にかけてくれるか?」

 

 メルちゃんの手を取って、私は頷いた。


 和也と何度も練習した。


 私は目を閉じ、祈り始める。

 身体から湧き出るように出てくる聖魔法の力を感じる。


 この子を救いたい。

 痛みから、辛さから。


 うまくいっているようだ。

 私はそっと目を開けた。

 メルちゃんが目を合わせ微笑んでくれる。

 私も微笑んで、もう少し魔法の力を上げようとした時、私とメルちゃんの下に青白い魔法陣が現れた。


 バースさんとラルダさんが私とメルちゃんが座るソファをすごい力で押して魔法陣の外に押し出し、バースさんが魔法陣の真ん中に入る。

 バースさんの姿が落下するように転移していく。

 

 あんな風に見えるんだ?!


 私はそのまま、聖魔法の出力を上げた。

 治療というか、身体が小さいなら、魔力に合わせて少し成長させたらどうだろう。

 メルちゃんの身体とメルティトの記憶の落ち合うちょうどいいところって………。


 和也に魔法量を増やす練習をしてもらっておいて良かったよ。


 私は和也との練習をふっと思い出した。


 おかげで私自身の魔力量はかなりの量になったとマーティスやマイネに言われていたし、和也の聖魔法の力もまだ私の中にもたくさん残っている気がする。


 私は彼が望む姿にと祈った。

 あれ、彼?


 そうなのだ、メルちゃんは……、聖魔法の治療の光の中で、姿を変えていた。

 小さな女の子から……、少年に。 

読んで頂きありがとうございます。

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