24 別人
城の前にいた人が私たちを見て「こころちゃんが帰ってきたぞ!」叫んでいる。
魔族ってことだよね?
普通の人に見える。
うーん?
地球の日本の『魔族』ってイメージに引っ張られ過ぎたか?
いや、でも、あの展望室の女の子の迫力、すごかったよな……。
小さな女の子が城から飛び出してきた。
「こころちゃん!!」「メルちゃん!!」
ふたりで駆け寄り抱き合った。
「心配したんだよ!!」
「ごめんね。あの、ななせちゃんっていうおねえちゃんが助けてくれて、それでね……」
メルちゃんはこちらを見ると「おのれ、勇者!」と叫んだ。
あー、やっぱりそうなっちゃうのね?!
私は両手を広げて、こちらに危害を加える気や、戦う意思がないことを示しながら言った。
「メルちゃん! 私はあなたと話がしたいんだけど」
「勇者に用はない!」
メルちゃんが右手を振り上げる。
魔族魔法の発動か?!
しかし、動きが止まり、怪訝そうな表情になる。
「……聖女の気配がする?」
私は前に和也に言われたことを思い出しながら言った。
「メルティトとカージュとナーセル。
前の封印の時に3人の魂が触れあって、混じったそうだよ。
だから、それぞれ、少しずつそれぞれの魂の部分を持つそう。
そうね、だから私の中に聖女カージュとあなたであるメルティトの魂も少し存在してる。
今の私は勇者ナーセルじゃないよ。
どう、違うでしょ?
聖女カージュの生まれ変わりも……、和也っていう男の子になってて、全然カージュとは違う存在になってる。
どう、まだ、それでも私が憎い?」
「う、それは……」
「メルちゃん!
ななせちゃんは私を助けてくれたよ。
泣いてたら探してみつけてくれた。
ご飯もくれたし、集めてたお薬の花もくれたの!」
「……でも、私はっ!」
メルちゃんが困っている。
私は手を広げながらメルちゃんに近づいた。
「メルティト……、それに今のメルちゃんの話も聞きたいな。
前のメルティトはカージュに会って話をしたかっただけなのだろう?
前世の私達は話をしようとしなくて悪かった……」
メルちゃんが泣きそうな表情になったが、はっとして周囲を見回し、唇を噛んでから言った。
「この者を捕らえよ!
そして………、客間に閉じ込めておくように!!」
うん、客間ってことは、お客として迎えてくれて、話をしてみようと、思ってくれたんだろうな。
読んで頂きありがとうございます。
話ができそうな感じですね。
これからもどうぞよろしくお願いします。




