20 準備
ジャックとノアが戻ってきた。
「おっ、うまそう!」
ジャックが言い、ノアが食材を見て「ベーコン残してくれてたんだな」とほっとしたように言った。
「味付けならこれくらいでいいかと」
「うん、使っていいと言ったけど、全部使われてたらどうしようと思ってた」
笑いながら言われた。
パンを渡され、スープを皿によそって、3人で食べた。
温かいもの、おいしい。
ジャックとノアの狩りもうまくいったそう。
森の中に住む鳥。
食後に見せてもらったけど、鶏より小さくて茶色や黒色をしていた。
ノルマである15羽以上を狩れたそう。
「セナは?」
ジャックが聞いてきた。
「花は50本集められた。
キノコはもう少し森に入らないといけない?」
するとノアが「さっき、生えてるところ見つけたんだ。帰りがてらそこを通って行こう」と言ってくれた。
倒木にキノコがたくさん生えていて、たくさん採れた。
ギルドに戻り、ふたりは鳥とキノコを報告提出してもらって、私は花を報告提出した。
ふたりがキノコを採取するのを手伝ってくれたからとキノコの代金を半分くれようとしたので「そんなにいいよ!」と言った。
「今回は半分もらってくれ。
スープもおいしかったし、いい仕事ができたから」
ノアに言われ、ありがたくもらうことにした。
「どうもありがとう。助かる」
「明日も違う方角に狩りに出る予定なんだ。
よかったら一緒にどうだ?」
ジャックが言ってくれ、明日も一緒に行き荷物番をすることを約束した。
夕食に誘ってくれたけど、それは断って、私は店の品揃えなど見てから、パンと果物を買って宿に戻った。
火にかけられる小さなお鍋いいな。
お鍋と調理用のナイフと、スプーンがあれば、ひとりなら大丈夫か?
次の日も荷物番をしている間に花の採集をし、今日の場所は倒木が見えるところにあって、キノコも採集できた。
明日も一緒にどうだと言ってくれるが、ふたりのおかげでお金も何とかなりそうだし、買い物して移動しようと思う。
そう言って、野営にあると便利なものなどについて聞いてみる。
私が鍋とナイフとスプーンを買おうかと思うと話すと、マントなど身体を覆えたり、くるまれる上着があると便利だと言われる。
「ひとりで行くのか?」
ノアに心配されるけど、曖昧に笑った。
「知っている人を訪ねるだけだから、大丈夫」
「そうか、それなら大丈夫そうだな」
ジャックが微笑んだ。
鍋などを買うのも付き合ってくれ、値切ってくれた。
食材も日持ちがする根菜を選び、ベーコンも買った。
ノア達も食材を買ったので、それを見ておじさんがおまけに私にバターをつけてくれた。
「後はマントか……」
洋品店の店頭でマントやフードを見ていたらノアがフードのお古で良ければやると言ってくれて、宿に戻った。
もう着ないけれど、でも売ると安く買いたたかれるのは思い出もある物なので、と手元になんとなく残していたそう。
使ってもらえるならと言ってくれる。
ありがたく頂いた。
「本当にいろいろありがとう!」
「ひとりで大丈夫か? 送ってやろうか?」
最後まで心配そうにジャックが言うけど、断る。
次の日の朝、パンを6個買って、街を出た。
城を出てから10日間ほど過ぎていた。
ギルドで訪ね人のような話も聞かなかったし、魔王国の方に来ているとは思われてなさそうだ。
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