14 膠着
次の日から、和也は私と一緒に行動をするようになった。
カイロスとレオンに剣を教えてもらい、マーティスに魔法を習い、シンシアとマイネと練習する。
ずーっと和也と一緒。
うーん、学校ではここまで一緒に過ごしていなかったし、今は同じ部屋で寝てるし、ほんと24時間一緒ってのが、ちょっと……。
和也も嫌じゃないのかな?
いや、別に嫌ってわけじゃないんだけど……。
シンシアに言われた。
「あなたもカズヤの足を引っ張らないように頑張りなさい」
どういう意味だ?
わからなくてマイネに聞いてみた。
「カズヤに聞いてみたら?」
「聞けるわけないじゃん。シンシアが悪く思われる」
「……そうですね……。
まあ、応援してんじゃないですか、ナナセのこと」
「……本当にそう思う?」
「……まあ、カズヤが教会で過ごす時間が減ったから、少し怒っているのかもしれませんね」
「あ、やっぱりそう。
和也に剣を勧めたのは、まずったかな……」
「そうは思いませんよ。
カズヤはもっと強くなります。
剣もできるようになれば……、彼が勇者と呼ばれるかもしれません」
「勇者……」
「あなたにとっては複雑ですか?」
「うーん、和也だったらいいかな」
私は笑った。
和也が勇者になったら、私は何なのだろう。
ただの女性騎士。
それでもいいのかもしれない。
自分の身を守れるようになったら……。
どこかへひとりで行ってもいいかもな。
そう思ってしまい、自分でもびっくりした。
魔王メルティトは魔王城に戻っているらしい。
やはりすごい力があるんだな。
異世界である地球にカージュの魂を追いかけて転生して、さらに転移したのを見て、イルバニアまで追いかけてこれるんだもの。
でも、こちらに何の働きかけもないそう。
ふと、変なことを考えた。
私が勇者で、魔王に嫌われて狙われているなら、私が魔王に殺されれば、彼の力の暴走の元になっている怒りは治まるんじゃないか?
そうしたら、新しい勇者は和也で、聖女はシンシアで、新たにこの国を守る体制が取れるんじゃないだろうか。
私がナーセルの魂を引き継いでいるけれど、ナーセルではないということがわかれば、和也もカージュではないとわかってもらえるのではないだろうか?
この膠着状態を解くにはこちらから行動を起こした方がいいのでは?
モルフォから借りた聖魔法の本には魔族の使う魔力の魔法についても書かれていて。
聖魔法が惹かれ合うように、マーティスが和也の聖魔法の結界に異世界でも気がついたように、魔族の魔力も惹かれ合うようだ。
ならば、私が魔族の魔力を使えるようになれば、メルティトと連絡を取れたりできる?
読んで頂き、どうもありがとうございます。
1話を1000字前後にしたのである程度まとめて投稿しないとわかりにくいかなとこの週末は連続投稿してます。
月曜日からは毎日1~2話投稿でゆっくり進む予定です。
これからもお付き合いいただけたらうれしいです。




