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近所の公園で女児のトランポリン!

「おお!」


 いるいる。

 近所の公園に、子どもたちが。日曜の公園って、こんなにいるんですね。

 よし、さっそく女児にまっしぐら!


「やあ、お兄さんを踏んでくれないかい?」

「!」


 ビヨビヨビヨビヨビヨビヨビヨビヨビヨビヨビヨビヨ!


「うおー!?」


 突然鳴り響く、防犯ブザーの音!


「ちょ、ちょっと。あなたなんですか」


 駆けつけてくる大人!

 あ、お母さんかな。似てるわ、顔が。鼻とか。髪の長いおっとりとした、優しそうなお母さんだよ。


「別に怪しいものではないんです」

「うちの娘に何のようですか」

「ちょっと踏んだり馬鹿にして欲しいだけなんです」

「警察呼びますね」

「待って! 待ってください!」


 くそ、なんて世の中だ。俺は人間の味方だというのに。


「通報はしないでください。罵倒にしてください」

「なにあなた……頭大丈夫?」

「いいですね! そういう感じでいいんですが、憐れむのではなくて、蔑んでくれた方が良いです」

「ママ、このひと、きもちわるい」

「うほおおおおおおお!」


 これは行幸!

 通報されるかと思ったら、むしろ親子プレイに発展しました!

 

「気持ち悪いね」

「きもちわるーい!」


 目を閉じて、罵倒を味わう。

 最高だ……。母娘プレイなんて……。

 気持ち悪いと言われること、気持ちいい……。


「へん!」

「変だねえ」


 変です……変態です……。

 こんな公園にいる母娘から、こんなこと言われるなんて……最高だ。

 できれば物理的にも攻撃されたいなあ。


「おっ? その靴、プルキュアじゃない? いいね、お兄さんの同じようなものなんだよ」

「……えい」

「うひょおおおお!?」


 靴を褒めたら、足を踏まれました!

 しかし女児だから、軽いな。


「あの、もっと強く踏んでくれない?」

「きもっ!」

「気持ち悪っ!」

「うっひょおおお!」


 公園で、母娘から踏まれる!

 そんなことありますか?


「え、どうしたの?」

「なになに?」


 ベンチで談笑していたお姉さんたちもやってきた。


「ああ、この人ね。気持ち悪いの」

「きもいんだよー!」


 そうです。私がキモいお兄さんです。

 キモい兄さんだから、キモい兄さんと。


「そんなこと……」

「ごめんなさいね、そこの人」


 常識的な反応!?

 くそ、世の中普通の人が多いな。

 まあ、この人たちも結構キレイな女の人なんで、ボロクソに言われたい気持ちはあるな。意外といいですね、近所の公園。


「違うんですよ、僕が頼んで踏んでもらってるんです」

「は、はあ?」

「みなさんが和牛とか、牡蠣とかを今後も食べられるためなんです!」

「なにこの人、ヤバくない?」

「ヤバいかも」


 そう! それでいいの!


「ヤバいです! もっと言ってください!」

「やばっ」

「やばー」


 そうです、わたしがヤバいお兄さんです。

 あの収録楽しかったんだろうな。俺が今、楽しいように。

 俺も踊りたいもんね。

 なお、この間も女児が踏んでくれているので、踊れませんが。

 現状は、推定5歳の女児が足を踏んでいて、推定30歳のお母さんから睨まれていて、25歳くらいの女性二人から「ヤバい」と言われている、男子高校生がいる日曜の午前中の公園です。ありそうで無いことですね。


「あなた、何が目的なんですか?」

「叩かれたり、罵られたりしたいんです」

「……異常なドMってことですか?」

「あ、そう! その認識でOKです!」


 やった!

 話が通じたぞ!


「解散しましょう。ただの変態です」

「待ってください! 日本の食卓のためなんです!」

「なんなんですかそれ」


 くそっ!

 話が通じない!

 大人は駄目だ。まともすぎる。


「お嬢ちゃん。お嬢ちゃんは可愛いね。将来ものすごい美人になるだろうね。お母さんも美人だし」

「そう?」

「そうだよ。このリボンいいね。似合ってるね」

「ありがとー!」


 幼稚園児は純粋だなあ。


「あのね、お兄さんはね、かわいい女の子に意地悪されるのが好きなんだ」

「えー? 意地悪されたいの? 変なの」

「うん、お兄さんは変なんだ。助けてくれる?」

「いいよー」


 優しい……こんな優しい子に意地悪してもらえるなんて……ううっ。

 しかしお母さんの方がいい顔をしていない。ここは子どもを褒める作戦だ。子どもを褒められてイヤな母親はいないはず!


「お母さん。とてもいい子ですね。こんな僕のために」

「うーん。正直変な人とは付き合ってほしくないですけど」


 くそっ、大人は本当にまともだからイヤだ。

 チョロくなさすぎる。


「ママ、だって可哀想だよ? 可哀想な人には優しくしろってママ言った」

「そうですよ。可哀想ですよ私は。いろんな意味で!」

「はあ……まあ、あなたからは手を出さないでくださいね」

「もちろんです!」


 よし!


「わたしたちも見張ってますんで」

「いつでも110番できます」


 お姉様がたも協力してくれるってさ―!


「では、お嬢様」

「お嬢様!? お嬢様って呼ばれたー!」


 よろこんでくれたぞ、嬉しいなあ。両手をバンザイにして。カワイイことだ。


「お嬢様、どうぞ気持ち悪いわたくしめに意地悪してください」

「ふふん、いいわよ!」


 お嬢様になりきっててカワイイぞ。いいね女児。

 跪いた俺だが、それでも俺のほうが見下ろす形。正座しても駄目。しょうがない、寝るか。寝そべると、女児から見下される。普通に生きていたらこのアングルは一生無いかもよ?


「さあ、お願いします」

「うわー。じゃあトランポリンにするね」


 トランポリンとな……?


「よいしょ」

「ぐふおおおお!」


 靴を脱いだ女児がお腹に立った!

 いくら児童といえど、腹に乗ったらキツイぜ!

 え、待って?

 トランポリンってことは……


「ぽよーん! ぽよーん!」

「う! ぐ! ご!」


 え! ぐ! い!

 え! ぐ! い!


「お前すごいな」


 か! み! さ! ま!


「もうMPめちゃくちゃ溜まったぞ」


 やっ! た! ぜ!


「あはは! あはは!」


 や! め! て!


「あはは! あはは!」


 く! れ! な! い!


「あはは! あはは!」


 し! ぬ!


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