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神様からの説明 ~愛のムチを添えて~

「俺がブタキャラに……っていうかブタキャラって何だよ」

「説明しよう!」


 黒ボンテージロリ女王様、もとい神様がホワイトボードを召喚した。

 それができるなら、もっと方法がありそうだが。脳内に直接映像で説明する的な。

 しかしながら、解説しようとする様子が非常に可愛らしい。なにか言ったら、俺が喜ぶからこうしているのだと言われそうだ。黙っておこう。


「お前……貴様……ん~、クソブタが」

「ありがとうございます」


 俺が一番喜ぶ呼び方にしようとしてくれてる優しさよ。さすが神様。


「クソブタがね、これから敵と戦うわけだけど。もちろん子どもの喧嘩じゃないわけよ。怪我するどころか死ぬかもしれない相手」


 まあ、そうか。

 逆にそうじゃないのに、わざわざ神様が俺にお願いするのもヘンですからね。


「敵と戦うために、変身する必要があるわけ。変身ヒーローというか……魔法戦士というか……マジックウォーリアーというか……魔法少女の男版というか……そういうやつに」

「そういうやつかー」


 よくわからないようで、意外とわかる。そういうやつ。


「そういうやつに、名前をつけたわけ。それがブタキャラ」

「ブタキャラ……」

「ブタキャラに変身しておけば、まず死ぬことはないよ」

「おー」


 そりゃ安心だ。死ぬのは困る。


「でも、変身するのにも、攻撃する魔法を使うにも、魔力がいるワケ。マジックポイント。MPね。そういうやつ」

「ふむふむ。そういうやつね。MPだ」


 それもよくわかる。

 わからんのは俺に魔力があるのかってことだな。今のところ生まれてこの方持ってると思ったことはない。


「MPっていうのは、もともと持ってるものじゃないんだ。摂取するんだよ。カロリーみたいに」

「あー。なるほどな」

「エネルギー保存の法則は知っているね?」

「なんか……なんとなく」


 この世のエネルギーは増えたり減ったりしなくて、変化してるだけ……みたいな。


「なんとなくでOK。強力な魔法を使うには、それに見合う魔力を手に入れる必要がある。摂取する。ゲットすんの。MPゲットだぜ」

「はい。なんとなくわかります」

「聖なる力を使うには、邪悪な力を得る必要があるの。わかりやすく言うとね。太陽光発電すればするほど、冷房を強くできるみたいな。邪悪な力を得れば得るほど、聖なるパワーが強くなるってコト」

「邪悪な力」


 怖い言葉だなー。

 毒を飲まないと、敵を倒せないみたいな。悲劇のヒーローじゃん。こわー。


「邪悪な力とは、人が人を馬鹿にしたり、下に見たり、侮蔑、罵倒、唾棄。そういう言動や行為をされることなのね」

「なるほど。人間の負の感情か」


 仏教とかで、そういうのよくないよーって言われてることだな。毒みたいなことじゃないんだ。精神的なものなんですね。


「そう。それを受ければ受けるほど、マジックポイントが溜まって強くなるわけ。物理的でもいいんだけど、悪意がないと意味がないの」

「ふむふむ」

「わかった?」

「つまり、普通の人ならつらいけど、俺にとってはご褒美だということですね」

「大正解だよ、このクソ豚野郎」

「あひい! ありがとうございます」


 黒い黒革のムチで尻を叩かれました。ありがたいですね~。


「ちなみに神のアタシにこうされたって、魔力は手に入らないよ!」

「あひい! ありがとうございます!」


 意味ないということは、神様はただの善意でやってくれてるようです。善意でされるドS行為って、それはただの愛なんだよなあ……

 神から与えられる愛だから、これはエロスじゃなくてアガペーってことですね?   

 見た目は非常にエロいのに、不思議なものですねえ?


「普段はクソブタ野郎として過ごし、人からヘイトを受けて、いざというときは魔法で戦うクソブタ野郎のキャラクター、それがブタキャラってことなんですね」

「よくわかったな、このクソ豚野郎!」

「あひい! ありがとうございます!」


 快感すぎて、よだれ出ちゃった。


「普段生活してるなかで、ボロクソにされる必要があるから、他人から容姿や声がキモいと思われるようにする。これは物理的には今のままなんだけど、日本人の現代のトレンド的に最悪な状態にするって感じ。これは神の力で可能だよ」

「すげーな神様」

「当たり前だろ、神だぞ!」

「あひい! ありがとうございます!」


 ハアハア……。この時間が永遠に続けばいいのに……。

 踏んづけてもらいたいから、地べたに這いずろうっと。


「わかったか、このキモい変態め」

「えっと、敵っていうのは?」

「いい質問だな、バカのくせに」

「踏んでいただき、ありがとうございます! ムチもお願いします」

「ホント気持ち悪いやつだな、このバカ」

「あひい! ありがとうございます!」


 ちゃんと上から目線を見下ろすように侮蔑の眼差しでやってくれた。ウエヒヒヒ。黒いハイヒールが痛くて気持ちいいぜ。

 この時点で、この神様のために頑張ろうという気持ちはMAXですよ。


「敵は、まあわかりやすく言えば悪ってことになるね。人間を排除しようとしてるからね」

「悪だなー」


 わかりやすいくらい悪じゃん。

 戦う側としてはやりやすいね。勧善懲悪、素晴らしい。


「立場としては同じ神なんだけど、あいつらは自分たちが食べるために動物を産ませて育てることが悪だと思ってるんだ」

「難しいなー」


 わかりやすくなかったなー。

 それはそれで一つの正義なんでしょうよー。


「相手は養殖されている動物に力を与えて、怪人として戦わせてくるよ」

「やりにくいなー」


 俺は食いたいから食うけどさー。それが悪だと言われたらなあ。

 仮にエイリアンが侵略してきて、人間を食べるために飼育したとする。その場合、俺はそいつらを悪だと思うだろうよ。

 神様もそういうことで争うんですねえ。


「いいじゃん派とよくないじゃん派の神同士の戦いなんだよ」

「なるほどなー」


 わかったよ、俺はブタキャラになって、養育されたブタを食うよ。それが俺のジャスティスなんだね?

 そしてそのために、人々からボロクソにされるわけだ。よっしゃ、正義のために頑張るぜ!


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― 新着の感想 ―
お、新作かと思ってみたら わりとやべえタイトルとそれを越えるかもしれん内容だったw
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