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ヘンタイドMブタ野郎参戦! ブタキャラ参上!

 ズルいと思った。

 そりゃあ、金持ちに生まれて、両親が美形で。そういうやつらも、羨ましくはある。だが、そりゃあわかりきった話というか。

 そもそも、俺の両親が美形だったら、そりゃ俺じゃないじゃない。

 親ガチャなんて言葉があるが、そりゃ逆だろ。ガチャを回してるのは親なんだから。

 自分に似た子どもが生まれてるんだよ? だから運とは言えないんじゃないか。

 俺は平凡。特に優れた点がないが、特に劣ってる点もない。

 だからモテないのは当然。

 生まれ持っての才能もそうだが、努力も平凡。

 野球に打ち込んだとか、将棋なら負けないとか。そういうこともない。

 だから特別女子から何も言われない。そりゃしょうがないことだ。

 ――だが。


「ちょ、キモいんだけど~」

「今、エロい目で見たでしょ~」

「い、いや、だって、今のはしょうがないよ」

「え? 見えた?」

「あ、慌てて目をそらしたから!」

「ほんとかよ~?」

「てか、その前から太もも凝視してたってことじゃね?」

「そ、そんな短いスカートなのが悪いんだろ」

「最悪なんだけど! なんでお前のために長くしなきゃいけないんだよ!」


 ニヤニヤと楽しそうにしている、ギャル二人。

 そのイケイケな女子から、いじられている――ブサイク。

 彼は俺より恵まれていない。容姿も家柄も知能も才能も努力もなにもかも。俺より低いと俺は断言できる。

 コミニュケーション能力だって俺のほうがマシなはずだ。

 だが、だからこそ。

 だからこそ、あのイジっていいというオーラを持っている。

 これが社会的にいいことなのかとか、いじめじゃないのかとか、そんな話はしないでくれ。

 だって、俺は彼が一番羨ましいのだから。

 

「見たんだろ~」


 そう言いながら、肩をバシッと叩く黒ギャル。いいな。


「わかった、今日それでシコるんでしょ」


 下品な顔で頬に指をツンツンさせる白ギャル。たまんねえな。


「や、やめろって、しないからそんなの」

「やばー。そんなこと言ってるけど、ウチの胸ガン見してんじゃん」

「み、み、みてねえよ」

「完全に見てるときの言い方じゃん」

「やだー! 最悪ー!」


 両肩を叩かれるアイツ。

 ふざっけんなよ。

 なんなんだよそれ。

 代わってくれよ。頼むから。土下座するから。足舐めるから。金払うから。

 

 この世の中。この今の世の中。

 男から女性になにか言えばセクハラ。

 モテたらモテたで、浮気だの不倫だの。

 チヤホヤされてりゃ、男からはやっかまれ、女子からは泣かせたとか、なんか言われるんだろ?

 ややこしいんだよ。めんどくさいんだよ。


「やめてくれよー」

「あはははは」


 その点、無敵なんだよアレは。

 女子から一方的にイジられているというポジション。

 だってされるがままだもん。罪に問われないじゃん。

 努力なんてしてないじゃん。

 だけど、女子とキャッキャウフフしてんじゃん。

 ズルいよ。

 ズルすぎるよ。

 むちゃくちゃ羨ましいよ。

 あんな陽キャのさ、キラキラした笑顔の女子にさ。

 バカにされたり、叩かれたり。

 本当に羨ましいよ。


「え? 見てる? ウチら」

「えっ!? お、俺?」


 突然の俺イジられ。

 チャンス到来か!?


「ごめんね、うるさくて」

「ごめんして」

「い、いや、俺こそ……」


 んだよ~。

 いい子じゃねーかよー。

 俺みたいなやつにも、ちゃんとした態度のギャルじゃねーかよー。

 ていうか大体ギャルっていいやつなんだよー。

 悪意がないってわかってるから、イジメには見えないんだよー。

 そういう女の子からイジられるとか、前世でどんだけ徳を積めばできるんだよー。


「いった! 痛いって~」

「パンツ見たんだから、こんくらいお釣りが来るだろー!」


 いや、パンツを見た上に、殴られるなんて、ピザのハーフアンドハーフだろ。

 てりやきチキンと海老マヨのピザみたいな。夢のコラボじゃん。贅沢すぎるよそんなの。


「とかいって、実は嬉しいんだろ~」

「勃起してんじゃね?」

「し、してねえから、っていうか、女の子がそういうこというなよ」

「女の子だってー!」

「女の子だろ、そんなの」

「え? ウチらのこと女の子だと思ってるの~?」

「なんだよ、それ。女の子だろ」

「ふ~ん。えろーい」

「だから、そ、そういうこと言うなって」


 あー!!!!!!!

 何を見せられてるんだよ俺は!!!!!!

 キャバクラなのか? 知らないけど! キャバクラ知らないけど!

 俺は今、この世でコイツが一番羨ましいんだよ。

 イジられたいんだよ。

 叩かれたいんだよ。

 俺が頑張らなくてもいいコミニュケーションを、女の子としたいんだよ!!!

 ただひたすら、されるがまま。

 モテなくていい。強くなくていい。

 女の子にイジられるだけの、キャラクターになりたい!


「その願い、叶えてあげる」


 えっ?

 高校の休み時間の教室に居たはずが、突如精神的な世界に。

 眼の前に現れたのは、立派な女神様……と思いきや、黒いボンテージに身を包んだロリ女王様だった。13歳くらい?


「神だよ」

「単刀直入ですね」


 疑う余地はなさそう。夢の中みたいな曖昧な世界なのに妙な実感がある。意識だけが存在しているような。

 てらてらと黒く光るレザーの露出度の低い服装。へそも見えてるし、脚も全開。

 顔立ちは……外国人というよりハーフ? 日本とロシアのハーフみたいな、そこまで顔が濃いわけじゃないが肌は白く髪はブロンド。

 垢抜けているけれど、あどけなさも残した、自信満々のメスガキという感じ。


「神様って、なんか思ったのと違うんですね」

「あ、これはあなたの好みにあわせてんのよ」

「えっ」


 ど、道理でどストライクすぎると思った!

 そして顔がかーっと赤くなるのがわかる。

 理想の女の子がコレだと提示されると、嬉しさより恥ずかしさが強いんですね!?


「こっちはどうとでもできるから。だって神だから。猫が好きな人には猫の姿で現れるし」

「……」


 は、恥ずかしい。

 そもそも人間の女性とも限らないのか。


「神に男女の概念も年齢の概念もないから。ま、神という言葉も説明が一番カンタンだからそういうふうに言ってるだけ」

「……」


 恥ずかしすぎて説明が入ってこない。

 だって神様にしちゃカワイすぎるんだよ。見た目が。


「ま、わかってくんなくてもいいんだケド。この姿は断りづらくするためにやってるだけなんで」

「ハイ」


 ちょっと生意気な感じもわざとってことなんだ。神は言っている。「これが好きなんだろ?」と。恥ずかしすぎるだろ。


「さて、神といっても全知全能ではないの。例えばSEXしてないのに妊娠させるとかできないから」

「ふぁっ!?」


 神がSEXって言ってる!?

 なんかびっくりだ。


「理というものがあんのね。ことわり。将棋で例えるよ。神はプレイヤー。人間はコマ。好きな手を指すことはできるけど、歩を後ろに動かすことはできない」

 

 話が理路整然としてる……ボンテージメスガキが難しいことを上手に説明……。


「おい、聞いてんのかウスノロ」

「うほおっ!?」


 突然の罵倒。ご褒美すぎる……。


「おい恍惚とすんな。ヘンタイ」

「ふへへへへ」


 天国がここにあったか……。


「で、本題に入るけど。そうだな、アタシにとってこの世界はシミュレーションゲームをやってるみたいなもの。そう思って」

「はあ」


 実際、地球のシミュレーションゲームってあるしな。歴史もある。この世界は神のプレイするシミュレーションゲーム。理解可能。


「この世界から、アンタを別の次元で戦うキャラに選んだって感じ」

「別の次元に……? この世界の人間を……?」

「まあ難しいか。この世界にはたまに敵が出てくる。それを倒すキャラに選んだってこと」

「この世界に出てくる別の次元の敵を倒すキャラ?」


 どういうこっちゃねん。


「スマブラみたいなことだよ」

「スマブラ!?」

「バトルが始まったらこの世界には被害が出ない空間で戦うってこと。いわゆる魔法で」

「そういうこと!? でもなんで俺を……?」

「ヘンタイドMブタ野郎だから」

「スマブラに、ヘンタイドMブタ野郎参戦!?」


 どういう理由なんですかー!?


「アンタにはヘンタイドMブタ野郎の性格を活かして、魔法で戦う戦士のキャラクター、ブタキャラになってもらう」

「俺がブタキャラに……!?」

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