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タケオとポチ

作者: 蟹地獄

町に、いつもおかしなことをするおじいさんがいました。彼の名前はタケオ。

タケオは毎朝、町の広場であるジョークを披露するのが日課でした。

ある日、彼は「私の犬は賢いんだ。彼は私が『お手』と言うと、私の靴を持ってくる!」と大声で言いました。

町の人々は大根を投げ込みました。


しかし、タケオの犬、ポチは実はただの犬ではなく、町一番のいたずら好きでした。ポチはタケオがジョークを言うたびに、周りの人々の靴を次々と持ってきては、タケオの足元に置くのです。

タケオはそれを見て、「見ろ、ポチは靴屋の助手だ!」と、さらに大根を投げ込まれました。


ところが、ある日、タケオは町の広場でいつものようにジョークをかましていると、1人の町の子供がタケオに近づきました。「タケオおじいさん、どうしてポチはみんなの靴を持ってくるの?」と尋ねました。

するとタケオは少し黙り込み、遠くを見つめました。

「実は、ポチと私は昔、悲しい出来事があったんだ。」


タケオは続けました。

「私の妻、ミキは靴職人だった。

彼女は町の人々に愛されていたが、病気で亡くなってしまった。

彼女が亡くなった後、私は悲しみでいっぱいになり、町の人々との関わりを避けていた。

そんな時、ポチが私の元に来て、彼女の思い出を運んでくれた。

彼は靴を持ってくることで、私に町の人達との繋がりを思い出させ、心に笑いをもたらそうとしてくれたんだ。」


「だから、私たちはこのジョークを始めた。ポチが靴を持ってくることで、みんなが笑ってくれると、ミキも喜ぶと思ったんだ。」

タケオの目には涙が浮かびました。


子供はその話を聞いて、タケオの心の中にある悲しみを理解しました。

「じゃあ、私たちも笑ってあげるよ!」と元気に言いました。


それ以来、町の人々は大根を投げ込むことがなくなりました。

タケオとポチのジョークは、町の人々に笑顔をもたらし、ミキの思い出を大切にする新たな形となったのです。


・・・・・と、なれば良かったのですが、子供が親にそれを話したらその話は一気に町中に広がり、「ふざけんじゃねー!テメーのノスタルジーの為に迷惑なんだよ!」という苦情を言いに家に駆け込んでくる人々が後をたたなくなり、投げ込まれる大根の数が増え、ついにタケオ爺さんは町を追い出されてしまったということでしゅ。

終わり。

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