22.運動能力には絶対の自信がある
※戦闘シーン・流血描写あり
ガリガリと口の中で飴玉を噛み砕く。
もっとゆっくり味わっていたかったけれど、アリスを駆けさせてながら飴玉を舐めるのは難易度が高すぎた。
危うく喉に詰まらせそうになって、飴のせいで命を落とす前に噛み砕いてしまうことにした。
それにしても乗馬の才能があったらしい。風を切るように駆けるアリスに振り落とされずにいる。
アリスは賢い馬だが、きっとそれだけではないはずだ。
(私、運動神経良すぎじゃん)
ラウムや4人の近衛兵、ガルバたちが必死になって追い駆けて来るのを感じながら、ハウレス軍の兵士たちの間を駆け抜けて天使軍の奥深くまで攻め込んでいるべリスのもとに急ぐ。
上空を舞うルヒエルの姿がいよいよはっきりと見えて来た。
(あれをどうする?)
上空にいる天使は基本的に撃ち落とさなければ討つことができない。
(どうやって地上に落とす?)
ふと思い付いたことがあって、アリスの首筋に片手を添えた。
アリスに言葉は通じるのだろうか。通じなくとも思いを察してくれるかもしれない。
「アリス」
呼び掛けると、アリスの耳がぴくりと動いて後ろを向く。声は届いている。
「試したいことがあるんだ。それにはアリスの協力が必要だ。力を貸して欲しい」
ぶるるるるとアリスの鼻が鳴る。
「1、2、3で思いっきりジャンプするんだ。できるだけ高く。いい?」
ルヒエルの姿が近付く。
矢を弾き返したばかりなのか、ルヒエルの周りには数えるほどにしか矢が浮いていない。チャンスである。
アリスを駆けさせながら鞍の上で片膝を立てる。
左手で手綱を握ると、右手で剣の柄を握った。そして、剣身をスルリと鞘から引き抜いた。
剣は驚くほどに軽く、よく手に馴染む。これなら扱えそうだと確信を得て、アリスの耳によく届くように声を張り上げた。
「いち! にい!」
ルヒエルを視界に捉える。
「さんっ!」
嘶きながらアリスは後脚立ちになると、ぐっと沈み込んでから後脚で力強く地面を蹴って飛び上がった。
その瞬間、自分もアリスの背を蹴って、高く高く飛ぶ。
(シトリーは空を飛べる!)
ただの人間である自分には翼はないが、ジャンプすることはできる。そして、きっとアリスの力を借りたら高く高くジャンプすることができるはずだ。
冷静に考えたらかなり無謀な行為だったと思う。
だけど、結果、イメージ通りの高いジャンプに成功して、ルヒエルよりも高い位置までたどり着く。
ルヒエルを見下して、ぐっと力を込めて剣を両手に持ち直した。
(ルヒエル!)
――どんなに可愛くても、私は私の仲間を傷つける者を許すことはできない!
下降していく僅かな間にルヒエルの翡翠色の瞳と目が合った。驚き見開く瞳を真っ直ぐに見つめて、剣を右上から左下へと振り下ろした。
自分と共にルヒエルの体も下降し始める。そして、ルヒエルの体は、どぉんっと音を立てて地面に沈んだ。
自分も体制を崩しながらも着地すると、痺れる足をなだめながらゆっくりと立ち上がる。
戦場はすっかり静まり返っていた。天使も悪魔も唖然として、武器を手にしたまま、それを振り下ろすことを忘れている。
すぐ近くで仰向けに倒れているルヒエルに歩み寄れば、体がぴくぴくと痙攣していた。やはりシトリーの軽い剣では一撃で仕留めるのは、なかなか難しい。
――とは言え、虫の息である。放っておいても息絶えるだろうが、苦しみが長引くだけだろうと思い、ルヒエルの左胸にドスっと剣先を突き立てた。
(こういう時、なんて言うんだっけ?)
はあっと深く息を吐き出し、皆の視線が集まっていることを感じながら記憶を探る。
ラウムもガルバも追い付いて来て、ぎょっとした表情でこちらを見つめているのが視界に入った。
(そうだ。ガルバならこう言うはずだ)
ルヒエルの胸から剣先を引き抜き、頭上に掲げて大声を張り上げた。
「皆殺しだーっ!!」
ウオオオオオーッと歓声が地響きのように戦場を揺るがせた。
悪魔たちは何度も何度も、うおおおおおおおおおおおーっと声を上げて、ガンガンと盾を鳴り響かせる。
その響きを聞きながら頭上に掲げていた剣をゆっくりと下し、前方を指し示した。その先にはカマエルの姿が見える。
「カマエルを討て! ネムスの街を思い出せ‼」
ネムスの街と聞いて何人もの悪魔の表情が変わった。
まるでスイッチが切り替わったように、傷を負っている者も、体力が尽きかかっている者も、皆、武器を持ち直してカマエル軍へと突撃した。
「シトリー!」
呼ばれた気がして辺りを見回す。
空耳かと思った時、パカラパカラと馬の蹄の音が聞こえて、音のする方に振り向いた。
「シトリー、乗れ!」
べリスがアリスを駆けさせながら、体を大きく傾け、こちらに向かって手を差し伸べて来る。
乗れって? と思ったが、べリスもアリスも待ってはくれない。
すぐに近付いて来たべリスの手を握ると、体を振り回されるようにして彼の後ろに持ち上げられる。
慌てて脚を開いてアリスの背に跨り、振り落とされないようにべリスの腰に両腕を回した。
「カマエルのところまで突っ込むぞ」
「うん。――って、どうしてべリスがアリスに乗っているんだ! アリスは私の馬だぞ」
「俺の馬はどっか逃げた。んで、そこにアリスがトコトコ歩いて来たんだ。――知らなかったか? アリスは俺にも懐いているんだ。仔馬だった頃に、うまい肉をたくさん食わせてやったからな」
「そうなのか、アリス! この浮気者!」
アリスの耳に届くように大声を出せば、アリスがぶるるるると鼻を鳴らした。
『浮気だなんてとんでもない』もしくは『申し訳ありません』でなかったら『それが何か? あなたには言われたくないです』とでも言ったのだろうか。
――どれにせよ、まったく面白くない!
アリスは入り乱れながら戦う天使と悪魔たちを避けながら、まるで縫うように戦場を駆けた。
カマエルは荒れ狂った獣のように押し寄せて来る悪魔たちに恐れを抱いたのか、己の軍団の最後尾まで後退しており、いつでも天界に逃げ帰れるようにと翼を大きく広げていた。
「逃がすかよっ!」
ベリスが左手で手綱を握ると、右手に魔力を集中させる。赤々とした炎が右手に宿ると、それを野球ボールのようにカマエルに投げ付けた。
カマエルは炎のボールを左手で払いのける。
カマエルの注意が炎に向いたその隙にベリスと共に馬から飛び降りると、ベリスが大剣を構えてカマエルに向かって駆け出したので、そのすぐ後ろを走りながらべリスの動きに集中した。
べリスの戦い方はよく理解している。ゲームのおかげだ!
べリスは攻撃力こそ高いが、スピードに欠けるところがある。重さのある武器を大きく振り回すため、一撃を繰り出した後に僅かな隙ができるのだ。
相手が弱ければ問題はないが、カマエル相手ならその隙は命取りとなる。だから、べリスには自分が必要なのだ。
べリスの最初の一振りをカマエルは悠々と避けると、べリスの横腹を目がけて薙刀を突き出してきた。すかさず、シトリーの剣で薙刀を弾いて軌道を逸らさせると、体を捻るようにして回転してカマエルに切りかかった。
シトリーの剣は非常に軽く、まるで傘を振り回している感覚だ。
切れ味も抜群に良く、ルヒエルを切った時も、肉や骨を切ったという感触ではなく、豆腐を切るような感触でしかなかった。
その代わり攻撃が軽すぎることが欠点で、威力を増すためにはとにかく回転するしかなかった。
回って、回って、回る勢いで切り付ける。くるりくるりと回ることで敵の攻撃を避けることもできるため、ひたすら回って剣を振り回した。
(ゲームと同じだ。ゲームと同じように動けばいいんだ!)
散々遊んだおかげで、脳内にイメージが出来上がっている。そして、持ち前の運動神経の良さのおかげで、イメージ通りの動きができていた。
回転しながら低くしゃがむと、頭の上を掠めるようにべリスの大剣がカマエルに切り掛かり、腹を薄く切る。
カマエルがとっさに後ろに退いたため、薄くしか肉を切れなかったのだ。
だけど、まだ自分がいる。しゃがんだまま剣を握り直してカマエルの左太腿に剣を突き刺した。
カマエルの体が大きく傾いたので、すぐさま剣を引き抜いて、くるりと回転しながらべリスが切り付けた跡をなぞるようにカマエルの腹を切り裂いた。
「くはっ!!」
腹を抑えて背中を丸めたカマエルの首に狙いを定めてべリスが大剣を振り落とした。
うわあああああああああああああーっと歓声が上がる。
ごろん、と地面に落ちて転がったカマエルの首を見て、悪魔たちは空に向かって咆哮した。
「シトリー」
べリスに呼ばれて顔を上げると、大剣の血を振り払っているべリスの柘榴色の瞳と目が合った。
動きを止めると、ひどく息が上がっていることに気付く。胸もドキドキと騒いでいて、今更ながら手が震えた。
「シトリー、大丈夫か?」
「うん、だいじょ……」
ぐっと言葉を呑み込んで、べリスの背後を凝視する。
胸騒ぎも、手の震えも、カマエルを打倒した興奮からのものではなかったのだ。
(べリスに。べリスにっ。べリスに知らせなきゃ!)
そう思うのに、声が出て来ない。喉がひくついて、ヒュッっと音が漏れるだけだ。
(べリス、逃げろ! 早く!)
ぞくぞくと悪寒が走り、寒いとさえ感じる。
あれだけ響いていた歓声がまったく聞こえず、自分の周りだけ切り離されてしまったかのようだ。
「シトリー?」
ここまで来ると、べリスに怒りを覚えてきた。べリスはシトリーが怪我をして動けないのかと思ったようで手を差し伸べて来る。
(違う! べリス、どうして気付いてくれないんだ! 後ろを振り向け! べリスのバカ‼)
べリスの背後に立った天使が、くつくつと嗤った。
その声にぎょっとして、ようやくべリスが後ろを振り向くと、その天使はべリスに向かって片手を掲げた。
―― ドォーンッ‼ ――
「ベリス‼」
目には見えない力――大気の塊のようなものに吹き飛ばされて、一瞬前まで手を伸ばせば届く距離にいたはずのべリスが50m先で倒れている。
べリスの周りには巻き添えになった数十人の悪魔たちも散らばるように倒れていて、皆、意識がない。
「べリス!」
悲鳴混じりな声を上げて呼び掛けると、むくっとべリスが起き上がった。自分の周りで倒れている配下たちを眺めて、チッと舌打ちをする。
「やりやがったな。――シトリー、下がれ! そいつはラファエルだ!」
叫びながらべリスが駆け戻って来る。
(ラファエル?)
目を見開いて、浅い呼吸を繰り返しながら天使に振り返った。
輝くばかりの金髪はゆるやかな巻き毛で、慈悲深そうに見える瞳は藍色。
2対4枚の翼を持った天使は白無地のトゥニカ《筒型衣》の上に、藍色のトガ《一枚布の上着》をゆるやかに纏っている。
まるで戦場には不釣り合いな格好をしているのに、なぜだろうか、誰よりも強固な鎧を身についているように感じられた。
――ああ、どうしてすぐに気が付かなかったのだろう。ゲームで戦ったラファエルと同じ姿をしているというのに!
「君がルヒエルを倒したの?」
美しく澄んだ声が静かに響いた。聞き惚れてもおかしくない声音なのに、ぞくりと背筋が冷える。
「見たところ、魔力は少なそうなのに、よくわたしのルヒエルを倒せたね。そんな君にはご褒美をあげた方がいいのかな?」
小首を傾げながらラファエルがするりと鞘から剣を引き抜く。青い炎に包まれた剣身が姿を現し、稲妻が空を割って走るように、青い輝きが一瞬の光となって戦場を駆け巡った。
(――っ!?)
戦場を覆っていた空気が一瞬で変わる。
カマエルが討たれたことで天界に逃げ帰ろうとしていた天使たちが一斉に向きを変えて、各々武器を握り直した。
天使たちのラッパが高々と鳴り響く。その音色は、退却ではなく、出撃を意味しているのだと直感的に分かった。
天使たちが喊声を上げながら次々と悪魔軍に向かって突進してきて、その狂気に満ちた突撃に悪魔たちは戸惑い、恐怖を抱いて天使たちに背中を晒して逃げ出した。
なんということか、もはや勝ったとさえ思った戦況だったのに!
ラファエルという名のたった一人の天使が姿を現しただけで、すべての天使たちが息を吹き返したように一斉に攻撃に身を転じて、一気に流れが天使軍の方へと向いてしまった。
オセたちの戦況はどうなっているのだろうか。ザカラエルを討ったとの知らせはまだない。
それではこちらの戦場と同じように天使たちが威勢を取り戻しているのだろう。
「陛下!」
ラウムの声がまるで泣き叫んでいるかのように聞こえた。
ラウムもガルバも近衛兵たちも皆、自分の方へ来ようとしているのだが、それを妨げるように次々と天使たちが彼らの前に立ち塞がる。
「シトリー、俺の後ろに」
べリスがラファエルから隠すように前に立って大剣を構えたので、自分もべリスの後ろで剣を握った。
ラファエルがくくくっと笑って言う。
「ご褒美に、わたしが相手をしてあげよう。ルヒエルと同じように腹を突き刺してあげようね」
言うや否や、ラファエルが炎の剣を横に払った。剣を纏っていた炎がこちらに向かって長く伸びて、渦巻きながら襲い掛かって来る。
べリスに肩を抱かれ引き寄せられながら青い炎を避けると、ぐっと足に力を込めてラファエルの右側に飛び込んだ。
体を捻って切り付ける。炎の剣で防がれたので、もう一度、くるりと回転して右腕を狙って切り付ける。
スッと赤い筋が走る。ラファエルの右腕に。しかし同時に自分の左肩にも赤が滲んだ。
べリスがラファエルの左側から大剣を振り回し、天使の体を真っ二つにしようと狙っている。ガツン、ガツン、と大剣と炎の剣が切り結ぶ音が辺りに大きく響いた。
「シトリー、下がれ!」
べリスの動きに合わせてラファエルを切り付けていると、べリスに腕を掴まれて、後ろへと突き飛ばされた。
よろけて倒れそうになるのをなんとか堪えると、続けてべリスに、逃げろと怒鳴られる。
「あいつの狙いはお前だ。お前の血は見たくないっ!」
「でもっ!」
――でも、べリス。
辺りを見渡して立ち尽くす。ラウムともガルバとも、かなりの距離ができてしまった。
彼らは天使たちと戦いながら、自分と引き離されていったのだ。
右を見ても左を見ても味方の姿はない。天使だらけだ。
(べリス、逃げ道がないよ)
アリスの姿も見当たらなくて、あの賢い馬が無事であることを祈りながらシトリーの剣を握り直した。
(ラファエルを倒すしかない)
ごくりと生唾を呑んで覚悟を決めた時だ。
ドドドドドドッと地響きが大気を揺れ動かす。馬の大軍が駆けて来る音だと気付き、左右を見渡した。
土煙は東の方から濛々と立ち上り、しかし、東の戦場を素通りして真っ直ぐとこちらに向かってくる。
援軍なのだということは、彼らが天使を攻撃しながら近付いてくるので分かったが、いったいどこの悪魔が助けに来てくれたのだろうか。
10? ――いや、15軍団の騎兵が鳥の絵を描いた軍旗を掲げて戦場を駆け抜けて来る。
あれはなんの鳥だろうか。鳥だということしか分からない。
「ぐふっ!!」
呻き声が聞こえて振り向くと、べリスが倒れている姿が目に映った。ドバドバと切り裂かれた腹から赤い血が流れている。
「べリス!」
「来るなっ! 大丈夫だから来るな。逃げろ!」
「バカ! 逃げられるわけがないだろうがぁーっ!!」
剣を握り締めてラファエルに向かって突っ込む。体を捻って回転を掛けてから切り付ける。
(べリスのバカ! べリスのバカ! べリスのバカ! 私だって、べリスの血なんて見たくなかったよ)
カッと目の奥が熱くなって、じわじわと目が潤んでくる。
(私のバカ! 泣くな! 泣いたらラファエルが見えなくなる)
くるりと回って切り付ける。身を屈めて体制を低くしながら回転して、ラファエルの脛を切り、太腿を切り付けた。
ラファエルの動きが鈍い。疲労を感じているのか、それともべリスが与えたダメージが多少なりともあるおかげだろうか。
だけど、剣先がラファエルの首元に届かない。
ラファエルの放つ青い炎が髪を焼き、頬を焦がす。熱いし、痛いし、剣を振り回す腕が重い。息が切れて、回転するのがつらい。でも、やらなければ殺される! 自分も、べリスも!
切る。
(ダメだ。浅い!)
やはり自分ひとりでは倒せない。だけど、深傷を負って動けないベリスを見捨てて逃げることもできない。
(誰か……。誰かっ!!)
ドスッ!
鈍い音に気付いて視線を上げると、ラファエルの胸を一本の槍が貫いていた。
蹄の音が響き、数十騎の騎兵に周囲を取り囲まれる。彼らは天使ではない。悪魔だ。
(味方?)
ラファエルが胸元を抑えながら空に飛びあがった。激痛に顔を歪めながらこちらを見下し言い放つ。
「美しい悪魔――君を美しく殺してあげるつもりだったのに、邪魔が入った。ご褒美は後日のお楽しみに」
ラファエルが片手を高く上げると、ラッパの音色が響き渡った。天使たちの退却の合図だ。
(そんなご褒美いるかっ!)
疲労感のせいか、咄嗟に声が出なかったので心の中で悪態をついて、ラファエルの姿が小さくなっていくのを睨み付けながら見送った。
ラファエルを追って次々と天使たちが空へと逃げていく。彼らが慌てて翼を羽ばたかせるものだから、戦場に白い羽根が雪のように降り注いでくる。
血濡れた大地に白い羽根が舞い落ちる、その光景を綺麗だなと眺めながら、ようやく戦いが終わったのだと知った。
(あっ、そうだ。べリスの怪我! 早く治療を受けさせないと。それから――)
自分の背後に気配を感じて素早く振り返ると、背の高い男が立っていた。彼は無表情にこちらを見下している。
おそらく彼が後から駆けつけてくれた援軍の指揮官であり、自分たちを囲んでいる騎兵は彼の配下なのだろう。そして、ラファエルの胸を貫いた槍を投げたのは、きっと彼だ。
「助かった。礼を言う。お前はいったい……」
何者かと問おうとした時だった。男の手を伸びて来て、ぐっと口を塞がれた。
同時に頭の後ろを支えられ、そこがボッと温かくなる。おそらく、そういう魔法を使われたのだろう。
ふっと意識が遠のいて、目の前が真っ暗になった。
【メモ】
戦況
① 32(マスピエル・タグリエル)vs30(ハウレス・べリス)
② 32VS30 ←24(20に減った状態でカマエル)←10(ガルバ追う)
③ 52VS40 ←20(プロブス・フォルマ合流)
④ 52VS60 ←15(シャックス来る。マスピエル軍とタグリエル軍壊滅)
⑤ 12(カマエル軍は半数に減ってる)VS75よりは減ってる ←110(ルヒエルがラファエルの軍団を率いて現れる)
⑤ 122VS63(負傷者を除いた数)←25(オセ・ラウムの軍団)




