「12月、この月だから?」16.いつ入っても、わりといつも入っていても、一時宿りということで
ツリーの星のキラキラに、みんなで盛り上がったあと。
スノードームンとのこれからの生活に関して、テイクからいろいろと聞いて、考えたり決めたりすることに。
まずは、一時宿り用の物について。
一時宿りの物という言い方もしますし、スノードームンさんは聞くのが二度目になる部分も多いですが、そして少々長い説明になると思いますが、と前置いてから、月乃が説明を始める。
スノードーム外で個々で行動する場合、精神体だけでドームから出て、動いている状態のスノードームン。
モノは丈夫だし、スノードームンは、精神体だけでいても危険の少ないタイプではあるが、それでも、なにかに入っていたほうが、より、安全で安定した状態でいられる。
スノードームから出て個々で行動することを今後もしていくならば、なにか入る物の用意があったほうがいい。
テイクが用意する一時宿り用の物ならば、本体とのつながりを切ることなく、スノードームを本体としたまま入ることができる。
スノードームンの精神体は、本体に入ったり一時宿り用の物に入ったり、出入りや行き来が自力で容易にできる。
また、どの一時宿り用の物を選ぶかにもよるとは思うが、物によっては、かなりスムーズに動くこともできる。
言葉でやりとりしていくうえでも、一時宿りの物があったほうがいい。
紙に書かれた文字の上を動いて言葉を伝える際、物に入って動けば、精神体を見ることができない相手でも、動くのを見ることができる。
スノードームで紙の上をスムーズに動くことは、スノードームンには難しい。
けれど一時宿り用の物なら、スノードームでよりもスムーズに動ける物もある。
スノードームンが端末を使用するには、スノードームにいる状態で、ではなく、別の物に入った状態でタッチペンを使う、という形をとる必要がある。
そのため、本体とのつながりを切ることなく端末を使用するには、一時宿り用の物を用意しておくことが必要となる。
現時点では、スノードームンは、どの一時宿り用の物でもタッチペンを使用できるというわけではないので、使用できる物を用意すること。
スノードーム内で動く場合も、一時宿りの物で動く場合も、なにかを使って言葉でやりとりするなどの場合も、知られては困る相手に知られないよう、気をつける必要がある。
精神体で動く場合や、モノの声で話す場合と比べて、気づかれる確率が高くなると思われるので、より、注意が必要。
これからの生活で、一時宿り用の物を使用していく場合、テイクが貸し出すという形になる。
どの一時宿り用の物を使うか、選ぶことができる。
途中で変更することも可能だし、精神体の数より多くの――スノードームンの場合は七つより多くの――物を借りることも可能。
借りる数にもよるが、基本的には、料金負担についてはあまり考えなくていい。
一時宿り用の物は、汚れない、壊れない、お手入れ不要。
そして、渡ってはいけない相手の手には、渡らないようになっている。
危険がある際は、ひとまずテイクの安全なところに引き寄せられる仕組み。
もし、物がどこにあるかわからなくなった場合は、テイクに連絡を。仕組みを作動させていったん引き寄せ、そのあとで、お渡しする。
危険も連絡もないときにテイクが勝手に引き寄せたりは、基本的にはしないと考えてもらっていい。
それに、一時宿りの物が引き寄せられたとき、精神体がそこに入ったままでいるかは、モノ側で決めることができるモノも多い。スノードームンも、スノードームン側で決めることができる。
なお、一時宿り用の物を使って、精神体を、閉じ込める、連れ去る、封印する、というような意図はない。
「みなさんの側でも、いろいろな仕組みを利用して悪用しないよう、お願いいたします。と、事前に言っておくことが決まりとしてあるので、申し上げておきます。一時宿り用の物についての説明は、ひとまず以上です」
「ありがとうございます。えっとじゃあ、今の時点でそれぞれどう思うかを、まずは動作で示して、そのあと意見を……。スノードームンの中で、一時宿り用の物を今後借りたくないという人は、七色のトナカイさんで後ろを向いて。私とおとなりさんは、借りたくない場合は手を挙げて」
栞は言って、しばし待つ。
栞自身は、手を挙げない。
七色のトナカイたち、前を向いたまま。
おとなりさん、手を挙げていない。
「お借りするってことでいいかな?」
〈スノードームンさん『はい!』〉
「ええ」
スノードームンとおとなりさんから肯定の返事が来る。
〈リースさん『あれば、言葉でやりとりする手段が増えるし、動作で示す場合も、物によってはできる動作が増えるから、お借りできると嬉しいなって』〉
〈(六人口々に)『同じく!』〉
〈家さん『閉じ込める、連れ去る、封印する、というような意図はないという説明は、思いきって信じました。使わせていただいた場合に得られるものも多いので』〉
〈ツリーさん『それにおそらく、テイクさんがそういったことをしようと思えば、物がなくても……とも思いました』〉
〈リースさん『でももしなんらかの理由でそうする必要があるなら、テイクさん、できるからこそ、なるべく先にそう言ってからしようとするんじゃないかなーとも』〉
「なるほど……」
それは、現時点で栞がテイクに抱いている印象と、大きく違わない気がする。
〈サンタさん『と、まあそういうわけで、使い始めてみて、使わせていただいていますがの』〉
〈雪だるまさん『一時宿りの物が部屋に増えることになりますから……今後の使用については、栞さんがどう思うかを優先したいとも思っています』〉
〈(六人口々に)『ます!』〉
「そのあたりは、正直、大きさ次第かなって思いもあるけど……」
なんせ七体以上だ。
「でも、言葉でやりとりできると嬉しいし、動作も、できる動作の種類が増えたほうが、伝えてくれる内容を、こちらも受けとりやすくなるだろうし」
それに、と栞は更に続ける。
「精神体でスノードームから出て個々で動くことを止めたくないし、スノードームンさんが、より、安全で安定した状態でいられることも、私にとっても大事だから、そのためにも一時宿りの物をお借りしておきたい。――それによって、別の意味で危険にならない……と、信じたい」
〈スノードームンさん『うん。ありがとう!』〉
私も……と、おとなりさんの声。
「貸していただいた結果、よりよい状態になることを願うわ」
〈スノードームンさん『ありがとうございます!』〉
「ありがとう」
おとなりさんに、栞もお礼を言う。
こちら側が気をつけるべきことも各自しっかり心に留め、一時宿りの物を借りると決まったら、次に話し合うことは、どの一時宿りの物を借りるのか、である。
スノードームンが使い始めている一時宿りの物、トナカイ・虹の七色セット。
スノードームンがこのセットを選んで使い始めた経緯を、少し詳しく聞いてみることにした。
〈リースさん『んーとね、まず、すぐに用意できて、このまま長期レンタルも可能な物、っていうリストから』〉
〈サンタさん『クリスマスに関係する物で』〉
〈トナカイさん『見た目で七人の見分けがつきやすい物で』〉
〈ソリさん『動作でいろいろと伝えることができそうな物を選んでみました』〉
「なるほど……。入り心地や動き具合はどう?」
〈家さん『今のところ、特に問題はない感じでしょうか』〉
〈(六人口々に)『同じく』〉
「気に入ってる?」
〈スノードームンさん『はい!』〉
〈雪だるまさん『あ、ですが、こちらの物ではタッチペンの使用ができず……』〉
〈リースさん『使う場合にってことで、別のも一体選んだよ! そちらも、このまま長期レンタル可能な物リストから』〉
「この部屋に持ってきてあります。少々お待ちください」
月乃が言って席を立ち、ソファコーナー近くの棚のほうへ。
棚に置かれていた白い置物を手に持って、月乃が長テーブルに戻ってくる。
(……この部屋に、もともと飾られてる物かと思ってた)
月乃によって長テーブル上に置かれた白い置物も、ガラス製のようだ。
大きさとしては、ティッシュの箱を縦長の向きで立てたのより、もう少し背が高いだろうか。
(これは……)
「サンタクロース、ですか?」
再び椅子に座った月乃に、栞は訊く。
「はい。サンタクロース・白、です」
「わかりました。――こちらだと、タッチペン使えるの?」
〈スノードームンさん『はい』〉
栞の問いに、スノードームンが答える。
〈リースさん『そしてこちらもしっかり、クリスマス!』〉
〈トナカイさん『入り具合や動いた感じも大丈夫そうでした』〉
「こちらも、気に入ってる?」
〈スノードームンさん『はい!』〉
〈ソリさん『ただ、こちら、すぐにお借りできるのは白だけでして、複数を見た目で見分けるのが難しいかと』〉
〈ツリーさん『それでも、ひとまず布などを使って見分けがつくようにしたり、違う色で七体、今後つくっていただくことも可能ではあるそうなのですが……』〉
〈雪だるまさん『気になる点としましては、その……少々、大きいかと……』〉
〈リースさん『選んだときにはまだ栞さんの気持ちを聞く前だったけど、ボクたち、栞さんと一緒にすごしていけたらいいなぁって思ってて……だから、もしそれが叶ったとき、お部屋にこのサイズが七体増えるのは……って想像して』〉
〈サンタさん『トナカイさんセットなら、スペースにあまり負担をかけなくてよいかと思いましての』〉
〈家さん『タッチペンを七人全員で一度に使うわけではないですし、もし、端末を使わせていただける場合も、それ用には一体あれば、と考えました』〉
「お気遣いありがとう。それに……私と一緒にすごすことを望んでくれて、それを前提として考えてくれたの、嬉しいよ」
〈リースさん『えへへ』〉
「部屋ですごす分には、こちらの白サンタさんサイズで七人でも、どうしても無理ってことはないかもだけど……。ここから帰るときもだし……そういう持ち運びを考えると、メインは七色のトナカイさんたちで、白サンタさんは一体のほうが……」
「そうね……できたら、栞ちゃんと一緒に私の部屋にも遊びに来てくれたら嬉しいけれど、動くのを誰かに見られないよう、動くのは部屋の中でとすると、共有部分は私と栞ちゃんで、バッグかなにかに入れて移動ってなるでしょうし……」
〈リースさん『ご招待嬉しい!』〉
〈スノードームンさん『ありがとう!』〉
「ありがとう!」
栞も笑顔でおとなりさんにお礼を言い、持ち運びしやすいって点も重視させてもらっていいかな、とスノードームンに訊く。
〈スノードームンさん『うん! そうしよう!』〉
〈リースさん『でね、そもそも、栞さんたちが選び直してもいいんだよ?』〉
「うーん……でも、七色のトナカイさんたちも、白サンタさんもいい感じだし……。すぐに借りられるほうがいいかなって思うし……。リストにある中では、みんなは、この二種類がいいかなって感じなんだよね?」
〈スノードームンさん『はい』〉
「それなら、私としても、違うのにしたいって思いは今のところないかな……おとなりさんはどう?」
「私もないわ」
「わかった。じゃあ……あ、でも、七色のトナカイさんたち、だいぶ小さいよね……いつもちゃんと気配に気づけるか、まだわからないし……」
(丈夫とはいえ、壊れないとはいえ……)
「もし私が、間違って踏んだり、体重をかけたり、手が当たって飛ばしたりしてしまったら、みんなになにかダメージがあったりは……痛かったり、怖かったりとか……」
気になって栞は訊いてみる。
〈リースさん『敵意とか悪意とかを持ってされなければ平気だよー』〉
〈トナカイさん『だいたいの場合において、なにかされる前に、すばやく物から出ることもできるとも思いますし』〉
〈サンタさん『一時宿りの物が今、部屋のどこにいるか、気にせず歩いたり動いたりして大丈夫ですぞ』〉
「ありがとう」
〈ソリさん『あ、ですが私たちは平気でも』〉
〈家さん『踏んだり、手が当たったりしたら、栞さんは痛いのではないかと……』〉
「あ……そっか。でもみんなは大丈夫ってわかってれば、心配しすぎないでいられるし、自分へのダメージのほうは、ほどほどに気をつける」
〈サンタさん『私たちも、わかりにくいところにいないよう気をつけますぞ』〉
〈リースさん『かくれんぼして遊ぶときとかは、先に言うね!』〉
「うん。それはぜひ、先に教えて」
お読みくださり、ありがとうございます。
次の投稿は、12/20(土)夕方~12/21(日)朝あたりを予定しています【2025年12/14(日)現在】
(状況によっては、それよりあとの、(土)夕方~(日)朝あたりになるかもしれません)
今後もどうぞよろしくお願いいたします。




