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「4月、うさぎさんの行動理由」5.全部そろえておつけしますか?

改稿については後書きで説明しております。




「限度とか許容範囲とか聞いているうちに、気になってきたんですが……」

 少しして、育生いくおが、ためらいがちに切り出した。


「もし……ラビィの本体が修復不可能なほど壊れるというか……跡形もなくなるというか……そういう、本体を失うような事態に仮になった場合、精神体も消えてしまうんですか?」

「いえ、消えません。場合によっては、姿形がそれまでと大きく違う物に、新たに宿ることになるかもしれませんが、精神体のラビィさんそのものは変わりません」


「では、消えてしまう原因としては……?」

「そうですね、テイクが把握している事例からの返答になりますが、大きくわけて三つでしょうか」

 前置いて、優月ゆづきは続ける。


 ものすごく長い年月存在しているうちに、次第に精神体のエネルギーが弱まり消えていく。

 終えることを望んだモノを、所定の方法で消滅させる。

 変質し、他者を害する存在となってしまったモノのうち、手の施しようがなく、危険度が非常に高いモノの場合、強制的に消すしかないこともある。


 優月の説明を聞きつつ考え込んだ育生が、ややあって口を開く。

「消えてしまう心配より、長い日々のすごし方を考えたほうがいい感じですね……安心なような……おそらく、のこしていくことになってしまうから、そこは心配なような……テイクのラビィへのサポートは、それこそ俺たちがいるいないに関わらず、続けていただけるんですよね」

「ラビィ、ひとりぼっちにしないですみますか」

 ゆかりも不安げな声で問う。


「組織が存在している限りは、サポートを続けます。規模や名前などは変わっても、はるか昔から続いてきた組織です。超常も含め対応する物事が存在している以上、組織も活動している、そういう類の存在ですので、絶対と言い切ることはできませんが、かなりの高確率で末長くサポートしていけると考えています」


「「ぜひ、今後も長く活動を……」」

「私も、そう願っています」

 優月がいなくなったあとも長い日々があるであろう存在を、優月は多く知っている。組織にはぜひとも長く頑張ってもらいたい。


『心配してくれて嬉しいけど、のこされるであろう側としては、みんながそれで今悩むのが、かえって心配。せっかく一緒にいれるから、今楽しくすごそう、でどう?』

 湿っぽくなった空気を消し去るように、ラビィが明るく声を出す。


 そのトーンと内容を優月は育生とゆかりに伝えた。

「そうね、今、よね」

「だな」

 意識的に浮上するかのように、ゆかりも育生も心なしか上に体を伸ばしながら言う。

 間でラビィも伸び上がるような動きをしてみせる。


「では、今、ということで、現在のテイクができることの一つとして、ご提案というか、どちらかというとお願いというか、のお話があるのですが……」

 多少唐突で強引なことは承知のうえで、優月は切り出す。


「ラビィさんに、いくつか機能を組み込ませていただけると、対応しやすい状態にできるのですが」

「「『機能組み込み……? シュピーン?』」」

 疑問の声を出す三人は、今回とるポーズは、首をかしげるもののみである。


「ええと、ロボット化ではなく……付与能力者による、超常的な機能の組み込みという表現が近いかと思うのですが……」

 言いながら、優月は自分のタブレットを操作し、三人に画面を見せる。

「機能の一覧です。専用スペースというものについては、本日の初回面談終了までには説明いたします」


 危険化防止機能。

 危険な存在になりにくくする。

 危険な存在になってしまった場合はすぐにテイクが感知する。状況によっては即時対応もする。


 状態把握機能。

 本体もしくは宿り先の状態、精神体の状態をテイクが把握する。場合によっては周辺状況のチェックも行う。

 把握内容は専用スペースにて閲覧可能。


 転送機能。

 テイクが超常的な手段で、本体や宿り先や精神体を転送する。転送先は状態把握などにより判断し決定する。

 使用想定場面としては、危険な状況におちいった際の、避難、脱出、救出、等。また、紛失や盗難などにより、望まない場所に行ってしまった場合にも帰還できるように、等。

 さまざまなルートによる緊急通報によって作動。各種機能と連動してテイク判断による作動も。


 緊急通報機能。

 モノからもテイクに緊急通報することができる。

 通報があった場合、テイク側が状態を把握し、対処する。


 保護機能。

 精神が生じている場合、もともと丈夫だが、更に、本体や宿り先の損傷を少なくできるよう、保護。

 また、汚れを除去したり、小さな損傷なら修復したりといったこともできる。ただし不自然にならないよう、場面によっては、タイミングをはかって、あとで作用させる形になる。


「機能を組み込むことで、ある程度チェックや対応を自動化できるため、個別に対処するよりも手順も少なく済み、はやくスムーズです」

「「『ふむふむ』」」


「費用はかかりません。また、基本的には、ラビィさんにかかる負担もありません。ただ、まれに、機能との相性の悪い方がいらっしゃいます。その場合は組み込みを解除し、別の対応の仕方に変更します」

「「『ほうほう。……こんなにいいものが。ぜひ』」」

「お待ちください。お返事をいただく前に、お伝えしなければいけないことが」

 とっさにさえぎり、優月は言う。


「これらの機能を組み込むと、テイクは、ラビィさんを移動させることも、ラビィさんの居場所を知ることも、ラビィさんを通して周囲の状況を把握することもできる、ということになります。もちろん、積極的に悪用、乱用しようとする意図はありませんが、しようと思えばできるわけです」

「まぁ、確かに」

 育生が声に出して反応し、ゆかりとラビィも頷く。


「できるとやっていいは大きく違う、というのは、この組織とそこで活動する面々に強くある意識ですが、しないということを証明しきるのは難しく……。そういった面もある機能だということを、考えていただいたうえでの、お返事にしていただけますよう、お願いいたします」

「「『わかりました! では、全部組み込み、お願いします!』」」


 オヘンジ、ハヤクナイデスカ……。

「よろしいのですか?」

「疑いだしたらキリがないので。そういう面もあると頭に入れつつ、自分たちにとってのメリットをとります!」

 育生に、とってもハキハキ答えられた。ゆかりとラビィに、ものすごく元気に頷かれた。


 疑いだしたらキリがない。

 テイク関連でそう考えて踏み出した記憶は、優月にも確かにある。


「かしこまりました。では全部つけさせていただきます。ありがとうございます」

 優月はタブレットの画面を自分のほうに向け、付与申請を行う。


「このあと付与担当者が参ります。その前に、決めておいていただきたいことが――」

 ページを操作してから、優月は再び画面を花山はなやま家の面々に示した。




お読みくださり、ありがとうございます。

今後もおつきあいいただけますと幸いです。


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【改稿について】

【2024年7/8(月)】空白行を入れる位置を変えたり、空白行を増やしたりといった変更をおこないました。

【2024年7/8(月)空白行関係以外の変更】

・花山にルビを振りました。


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