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「1月、新年」5.秋桜はんによる記録です


 一月の青空の下。


 超高速で振られる羽子板!

 超高速で行き交う羽根!

 上下左右に超高速で動き回る文茶ぶんちゃコンビ!


 音にしたら、シュバシュバカカカカザザッブンッタァーッ! というような感じでしょうか!


 そして、いっこうに! まったく! 落ちない羽根!

 いつまで続くのでしょう! このラリー!


 ……と、いった感じでしょうか。はい。

 速すぎて動きが追えませんので、私、秋桜こすもすはんの想像が、多分に含まれた実況ですけれども。


「キリンお兄さま! 文茶コンビさま、すごいですわ! ええ、おそらく、きっと、すごいのですわ!」


「そうだねぇ、妹キリン。速すぎて動きが見えないってことが、そもそもとてもすごいと私は思うよ」


「わたくしもそう思いますわ! それにこの、見えなくても伝わってくる熱気!」


「うん。これはこれで、貴重な体験だよねぇ」


 私の横で、木彫りのキリンのご兄妹が、感想をお話しになっています。


 妹キリンさんは、少し高めの澄んだ声。

 今は興奮した感じで、早口気味です。


 兄キリンさんは、少しだけ低めのソフトな声。

 ゆっくりと落ち着いた口調です。


 お二人とも、すらりとしたフォルムの木彫りのキリンさんで、黄色みをおびた薄茶色。

 高さは、500ミリリットルのペットボトルよりは低いでしょうか。


 お二人とも、珠水村しゅすいむらにいらっしゃり、結界内に滞在中でございます。


 お二人は、モノや人がお正月遊びをしているところを、ご覧になりたいとのこと。

 よって、数日に分けて結界内で、お正月遊びの会を開催することになりました。


 ラインナップを考えた時点で、お正月遊びという分類には入らないかなという遊びも会の中にありますが、お二人のご希望によるものです。


 会で使うものは、モノにも使えるよう機能付与された物も、いろいろとあります。

 ただ、どのくらい使えるか、使える具合は、それぞれのモノによりますし、使ってどのように動けるか、どのようなことができるか、使いこなせるかも、それぞれによります。


 今回、この会を記録に残す許可を各方面から得ましたので、私、秋桜はんが微力ながら記録させていただきます。


 遊ぶほうも、ご覧になるお二人も、みなさんで楽しめましたら幸いです。


 そういった感じで開会しまして。

 私たちはお庭に置かれた高めの台の上で、まずは羽根つきを見始めたのです。


 文字書き人形のぶんさんと、茶運び人形のちゃさんの、文茶コンビによる羽根つき。


 大変、大変迫力のあるものでございます。

 目の前でくり広げられる、おそらく、手に汗握る攻防、熱気はバシバシ伝わってくる、きっと、息を吞むシーンの数々。


 惜しむらくは、この速さを目で追える存在が限られていることですね。


 といっても、文茶コンビが、キリンのご兄妹のことを考えずに羽根つきをしているわけではないのです。


 開始前、文茶コンビは、ゆっくり動いたほうがいいか、キリンのご兄妹に訊きました。

 ご兄妹は、文茶コンビにとっての通常の速度で、というような返事をなさいました、結果、というわけです。


 さんネコのサーさんも、私たちと同じ台の上にいるのですが、サーさんは、けっこう具体的に見ることができているようですね。

 キリンのご兄妹に、解説を始めてくださいました。


 さてさて、そうこうしているうちに、あらかじめ決めておいた時間が来ましたよ。

 どちらにも、点、入らず。


 点数ではなく時間で区切りとすることを決めていたのは、こういう状況になるからなのですね。


 文茶コンビは握手をしたあとで、キリンのご兄妹にお辞儀をしました。


 妹キリンさんは、たくさんたくさん拍手ですわ! とおっしゃり、兄キリンさんは、パチパチパチパチと声で拍手をなさっています。


 続いてハンカチーズの、水玉みずたまはんとチェックはんによる羽根つきです。


 あらー……。なんだかスロー再生で羽根つきを見ている気がしてきますね。


 別に二人が遅いわけではないのですよ。文茶コンビの動きを見たあとなため、とてもスローに思えるというだけで。


 水玉はんとチェックはんも、自分たちの動きを、そう感じるようですね。


「すごいすごい! ぼくたち、なんかとってもゆっくりはん!」

「だねだね! おもしろっ」

 そう笑い合いながら羽根つき中です。


 しばらくして感覚が戻ってきたのか、二人の動きが本来のスピードで見えるようになりました。


 そして、この二人も羽根を落とさないまま、予定の時間を迎えました。


「水玉はんさまとチェックはんさまも、とてもお上手でしたわ!」


「それに、二組の方に見せていただいて、速いのとゆっくりのとその間のと、三つも拝見できてお得だったねぇ」


 お辞儀をする水玉はんとチェックはんに声で拍手を送ったあとで、ご兄妹が感想をお話しになりました。


 そのとき、少し離れたところにある木から、金太郎人形と熊の人形が、それぞれ降りてきました。


「迫力あったー。すごかったー」

 と、金太郎きんたろうさん。


「ハンカチの翻り具合もかっこよかったー」

 と、くまさん。


 どちらも、抑揚は少なめながらも、熱は感じられる口調。


 たろっくまんコンビである二人は言いながら、並んでこちらに歩いてきます。


「たろっくまんコンビさまの木登り具合も素晴らしかったですわ!」


「ありがとうございますー」

「木登りコンビですー」


「おや。こちらは木彫りのコンビだねぇ」

「お兄さま! ナイスなのでは!?」


 にぎやかながらもゆったりとした空気での会話です。


「竹馬お見せしまーす!」

 そこに、元気な声とともに現れたのは、竹馬に乗ったきょうさん。


「一人じゃちょっと照れちゃうんで、こうさんにも登場してもらいます! どうぞ!」


 竹馬に乗ってこちらに来た行さんが、乗ったまま器用に綺麗なお辞儀をしました。


 竹馬に乗った二人は、歩いたり、走ったり、跳んだり、ステップを踏んでダンスのような動きをしたり。


 杏さんも行さんもなかなかに高い位置にいますが、うまくバランスを保っておこなっています。


 わあぁ! おぉーと、キリンのご兄妹はそれぞれ声も出しながら、熱中して見ていらっしゃいます。


 そろいのステップでしめくくり、竹馬から降りた杏さんと行さんが、お辞儀をしました。


 キリンのご兄妹が声で大きな拍手を送ります。


「竹馬に乗ったまま、いろいろなことができるのですね! 拝見できて嬉しいですわ!」


「私もちょっと、ステップを踏んでみたくなったなぁ」


「お兄さま! わたくしもですわ!」


 兄キリンさんも妹キリンさんも、台の上で、少し前や横に動いてみたりしています。


 今はまだ、歩く練習段階のお二人ですが、いつかきっと、華麗なステップを見せてくださることでしょう。


 続きましては、たろっくまんコンビによる、たこあげでございます。

 今回は、色鮮やかなたこをあげるようですね。


 熊さんに、糸を持った金太郎さんが後ろ向きにまたがりました。


 熊さんが勢いよく走りだし、走って走って、あ、たこ、あがりました。

 少しして熊さんが止まります。


 あがり具合が安定してきたところで、熊さんの背で金太郎さんが立ちました。


 ここから距離があるので姿は小さいですが、一応、私にも見えています。


 金太郎さんが何回か足踏みをしたり、軽くジャンプをしたり。

 互いにうまくタイミングを合わせて、熊さんのみが真後ろに方向転換しました。


 これで、金太郎さんも熊さんも、たこのほうを向いたことになりますね。

 これなら熊さんにも、たこが見えます。


 熊さんの背に金太郎さんが再び座りました。


 青空に映える、カラフルなたこ。


 キリンのご兄妹は、すらりとした長い首を更に伸ばす勢いで、空に顔を向けていらっしゃいます。


「たこさん、お空で気持ちよさそうですわ!」


「そうだねぇ。それに、こうやって首を伸ばすのも、なかなかに気持ちのよいものだねぇ」


「ストレッチ、ですわね!」


 たこを見つめ、言葉を交わし、一月のひとときをすごしていらっしゃいます。




お読みくださり、ありがとうございます。


次の投稿は、2/7(土)夕方~2/8(日)朝あたりを予定しています【2026年2/1(日)現在】

(状況によっては、それよりあとの、(土)夕方~(日)朝あたりになるかもしれません)


今後もどうぞよろしくお願いいたします。


――――

【2026年2/1(日)時点のあとがきです】


「佐々木さんちの風鈴さんは思う」に、新たに評価とリアクションをいただきました。

ありがとうございます。


各作品、読んでくださっているみなさま、ありがとうございます。



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