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「12月、この月だから?」17.今日おこなっても、機能……


「それでは、ひととおり機能組み込みをするということでよろしいですか?」

 月乃つきのが訊き、しおりとおとなりさんが、はいと答える。


 ほとんど間を置かず、スマホの画面にも文が表示される。

〈スノードームンさん『はい』〉



 一時宿り用の物のことをいろいろと決めた栞たちに、月乃が次に説明したのは、機能組み込みについてだ。


 なお、説明前に、さんネコの配置が一部変わった。

 サーがキーボード付近に行き、トキが月乃の右肩上へ。ヴァンは引き続き月乃の頭の上、姿勢よく座っている。


 機能組み込みによって、組み込めるであろう機能いろいろ。

 本体の物に対してや本体にいるときだけでなく、精神体だけでいるときにも有効なものもあるし、一時宿りの物にいるときにも有効なものも。


 機能組み込みをすることによって、いろいろと把握したり手出ししたりしやすくなる等、テイク側ができるようになるあれこれについても説明を受けた。


 積極的に悪用、乱用しようとする意図はない。

 できるとやっていいは大きく違う、ということを、テイクは常に意識している。

 けれど、しようと思えばできるというのもまた事実。

 機能組み込みは、組み込まれるモノと周囲にとって、リスクやデメリットともなり得る。


 そういった話も含めいろいろと聞き、スノードームンとおとなりさんと栞で話し合いをしたのちに、選択をした。



「それでは、機能組み込みのしるしについてですが」

 と、月乃。


 しるしは、機能が無事組み込まれていますよ、働いていますよというお知らせ的なものだそうだ。


 しるしについていくつか説明を聞いてから、どこにどんな感じで入れてもらうか話し合う。


 スノードームの、ブラウン基調の台座のところに。正面を向けて置いたとき、後ろ側になるあたりに。アイボリーの線で。

 そう決まって、ではどんな模様を、と考え始めた。


(クリスマス……星とか、鈴とか? スノードームから、雪……結晶?)


〈リースさん『えっと、ボク、長方形がいいかなーって』〉

〈(六人口々に)『同じく!』〉


〈ツリーさん『向きとしては縦長で』〉

〈(六人口々に)『そう!』〉


「ん? ん?」


 縦長の長方形……ロウソクとか、木とかだろうか。

(あっ、プレゼントの箱とか?)


〈家さん『複数の長方形を、縦長の状態で、横に並べていただく感じで……』〉

〈(六人口々に)『そう、それ!』〉


 縦長状態の長方形を、横に並べる……。

(立って横一列に並ぶ、的な?)


〈サンタさん『縦長の長方形で物の栞をイメージして、栞さん』〉

〈雪だるまさん『横に並べて隣同士というところから、おとなりさん』〉

〈スノードームンさん『――です!』〉


(あっ、そういう意味なんだ!)

 くすぐったいような、あたたかいような心地になる。


〈トナカイさん『栞さん、おとなりさん』〉

〈ソリさん『お二人がよろしければ、ですが』〉

〈スノードームンさん『――です!』〉


「私は、いいよ。嬉しい」

「私もいいわよ。嬉しいわ」

 栞とおとなりさんが、ほとんど間を置かず答える。


〈スノードームンさん『わーい! ありがとうございます!』〉


 同じ内容のことを言うときや、みんなで一度に言うときは、口調をそろえてくるスノードームン。


(模様についても、同じようなタイミングで同じような物を思い浮かべたっぽいし……)


 七人それぞれで、一人一人それぞれ個性的で。それと同時に、スノードームンという、ひとまとまりの存在でもある、という感じだろうか。



 しるしについて決まって、少しして、機能組み込みを担当するメンバーが部屋に来て――。

「それではみなさま、ごきげんよう」

 ――挨拶をして、退室していった。


 そう表現すると、まるで、部屋に来てすぐ帰ったかのようだが、そうではない。

 ちゃんと機能組み込みをしてくれたし、組み込み状態のチェックをしている間も部屋にいた。状態良好と確認してから退室した。


 栞としても、起きた出来事もやりとりも覚えているし、お礼を言ったことも覚えている。


 けれど、ヨクという、ロマンチックな背景の舞台が似合いそうなそのメンバーと接していた間のことは。

 なんというか、別の時間というか空間というかにいた感じというか、覚えてはいるのに、なんだか遠い感じというか。


(なんかこう……聖夜に訪れたひとときの夢、みたいな……)

 思わず、いつもはしないような発想や言葉選びになる。


「……あのメンバーの方……」

 そう言いだしたおとなりさんの声も、いつもよりどこか、芯のない感じというか……。


「あの格好で乗り物に……? 服にシワ一つないようだったけれど、どんな乗り方で? それとも持ってきて着替えたのかしら。運搬のコツは。動いてもなお、状態を保つ秘訣は……」


(なんかいつもより現実味のない声で、でも内容はとっても現実的!)


 たしかにヨクの、白や水色も感じさせるような銀色の礼服は、ピシッとつややか、綺麗だった。それをまとっての所作に、意識が引き込まれたりもした。


 そして、衣服のシワ対策は、栞としても気になる。が。

(あの雰囲気なのに、現実的な面が優先なんだ……)


(でも……内容は現実的だけど)

 意識が少々お出かけ中なのは、おとなりさんも栞と一緒のような気もする。


「次はスノードームンさんの端末使用についてお話しする予定でいますが、少し時間を置いたほうがよければ、遠慮なくおっしゃってくださいね」

 変わらぬ口調で言う月乃の声が、栞の耳に届く。


「大丈夫ですっ、伺えます」

 栞はあわてて声を出した。


「私も大丈夫です。伺います」

 おとなりさんもしっかりした声で返事をする。


 かしこまりました、では――と月乃が話し始めた。



 端末使用についての話の途中で、ツリーが白サンタに入り、タッチペンを使ってタブレットを操作するところを見せてくれた。

 この時点で使うのは、テイクが持ってきたタッチペンとタブレットだ。


 タッチペンを持ち、長テーブル上、タブレットの前に正座をして、ツリーり白サンタが文字を入力し始める。


(ガラス製なんだろうけど、指先とか細かく動かしてタッチペンを持つし、なめらかな動きで正座するんだ……。しびれたりは……しないよね、たぶん)

 血管とか神経とかは、ないはずである。たぶん。


「物の姿のままで動くとき、動作によって、ところどころ、いろいろサイズが変わるわよね」

 隣で言うおとなりさん。


 白サンタ、たしかに、指や腕や胴や脚などが、そのときどきで伸びたりとかしている。


 スノードーム内の物や七色のトナカイたちや三ネコも、動きによってはいろいろサイズが変わったりしているから、白サンタだけに起きる現象ではないようだ。


 そういったことを考えたりもしながら、白サンタを見つめる。


〈教えてはいただきましたが、まだ慣れておらず、かなりゆっくりです〉

 ツリーり白サンタは、少し時間をかけて、そう入力した。


〈ですが、言葉で伝える方法が増えるのは嬉しいですから、頑張ります〉

 先ほどの文よりは短い所要時間で、そうも入力してくれる。


 タブレットの周りに集まった七色のトナカイたちのうち、ツリー用の黄のトナカイ以外が、同意を示すように、ぴょんっと跳ねた。


「ありがとね」

「ありがとう」

 栞とおとなりさんはお礼を言う。



 端末使用について、いろいろ聞いたり話し合ったりした結果。


 タッチペンは、栞が持ってきた物に機能付与してもらうことに。

 そして、栞が持ってきたタブレットの、電源ボタンなども白サンタで扱えるように、そちらにも機能付与してもらうことに。


 もし、スノードームが使えるとしたら使ってもよい、タッチペンで操作できる端末やタッチペンがあれば、持ってきてみてほしい。


 そういった感じのテイクからの文を読んだときには、はてなマークも栞の心の中に浮かんだけれど、今日ここに持ってきてはいたのだ。


 栞持参のタッチペンとタブレットに機能付与してもらってから、スノードームン七人が順に白サンタに入り、タッチペンとタブレットの使用を試す。

 七人全員、タッチペンも電源ボタンなども扱えた。


 ちなみに、機能付与してあっても、スノードームン以外も使える。

 機能付与してもらうと決める前にそう聞いたし、機能付与をしてもらったあとで、月乃に促されて栞が使ってみたところ、今までと同じように使えた。


 使い方については、持っていく予定のタブレットについて栞がテイクに連絡していたため、それに合わせた内容でも、テイクはスノードームンに教えてくれたそう。


 入力して文を表示させることをおもな目的として使用するのであれば、今、追加で教えなくても、栞のタブレットを使用できるとのこと。


 ほかの用途での使用については、今後、まずは栞とおとなりさんで、少しずつ教えてみることにした。



 そのあとは、スノードームン用の専用スペースについて詳しく聞いたりもしてから、帰り支度。


 一時宿り用の物を持ち帰りやすいよう、七色のトナカイたちを立って並んだ状態で入れられるケースや、七色のトナカイたちや白サンタを入れるための袋も、テイクは渡してくれた。


 返却については考えなくていいとのこと。

 別の物を使ってもかまわないし、希望に合う物をさがす手伝いも、栞たちが望めばしてくれるそう。



 支度を終えて、帰る段階になった。

 三ネコに丁寧にお礼を言って部屋を出て、門のところまで送ってくれた月乃にも丁寧にお礼を言ってから、栞は道を歩きだす。


 栞の隣には、おとなりさん。スノードームンも、もちろん一緒。イルミネーションが輝く道を、笑顔で帰る。




お読みくださり、ありがとうございます。


次の投稿は、12/27(土)夕方~12/28(日)朝あたりを予定しています【2025年12/21(日)現在】

(状況によっては、それよりあとの、(土)夕方~(日)朝あたりになるかもしれません)


今後もどうぞよろしくお願いいたします。


――――

【2025年12/21(日)時点のあとがきです】


〈評価ポイントをいただきました〉

評価してくださった方、ありがとうございます。


〈100話目です〉

おつきあいくださり、ありがとうございます。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。


〈2025年12/18(木)に短編を投稿しました〉

「佐々木さんちの風鈴さんは思う」(橘 薫羽)です。読んでみていただけましたら嬉しいです。

読んでくださった方、評価、リアクションしてくださった方、ありがとうございます。



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