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日本鐵道―線路は続くよどこまでも―  作者: 或る鐡
第1話 繋げ!明日の都会の線路!
9/9

第8閉塞 臨時貨物列車帰還! 停止位置ヨシ!到着定時!

何度目かに入る新宿駅は相変わらず明るく、他のホームからは遠いざわめきが人の流動を感じさせる、先の事件...跨線線路橋爆破の影響で埼京線も湘南新宿ラインも新宿止まり、山手線は動いていたけれど列車無線を聞いてた所さっきの発見で止まったらしい、発見現場の真横なのだからそれはまぁそうであろうとは思う、中央線は新宿駅折り返しは相変わらずで報告後も5分ほどして何も無いと分かるとすぐに運転再開の指示が出たようで何度も警笛を鳴らしてホームへと入ってくる電車の音が聞こえてくる、そんな音を聞きながら、一旦ホームに止まった列車は再び誘導に従って前へ向かって走り始める、今日新宿駅についてから1番先に入った引き上げ線へと向かう為に、爆発しないものかとヒヤヒヤはするけれど運行司令が下した決断に一列車の乗務員がしかも正規の職員ではないOJT中の機関助手が意見を言える訳もなく、キャブから前を眺めるか佐倉さんの運転を見る事しか今はやることがない、その佐倉さんはと言うと少し眉根を寄せていてやはり佐倉さんもこの入れ替えは尚早では無いかと思っているのだろうか?

「トマレトマレ、これより連結5m前ですこれより連結を開始します」 1番前の車掌車からの誘導無線が響いて架線柱と架線を積んでいた貨車と復旧の為の作業員さん達が乗っていた客車を繋ぐ、短笛二声誘導に従ってそろそろと動き出す。ここの引き上げ線は品川方に向かって僅かに傾いている為あまりに開けすぎると転がっていくので佐倉さんは微妙な加減弁(レギュレータ)捌きで慎重にゆっくりと列車を進めていく『あと3メーター、2メーター...、ヤワヤワ、ヤワヤワ、あと1メーター、トマレトマレ』さっきまでの連結とは少し違って衝撃が少なからずあって連結がなされる、よっぽど色々緊張しているのが表情を見てもわかる、そりゃ爆発物の横で仕事をしろって言われてるのだから緊張というかをしない方がおかしいって話だが、やや時間が空いたあとブレーキ試験を終えて客車側の手歯止めと手ブレーキが解除をしたと列車無線が操車掛けの塩崎さんの声を伝えてくる、一刻も早くこの場から立ち去りたいけれど8番線側に入る為にもその後の連結に入る為にも塩崎さんが機関車後方に来るのを待たねばならない。

「身延、どうも今日の運行司令はあまり好きになれんな、現場の人間の事を軽く考えすぎな気がする、まぁお前に愚痴った所でどうにもならんし、5分がタイムリミットだったことを信じて水をぶちまけた事で爆発しなかったと信じるだけなんだが」

「そう、ですね...」

「すまないな、機関区に戻って始末書が待ってれば俺が片付けるからお前はあとは気楽に座ってればいい、新宿からは本務さん達に任せて俺たちは後ろに過ぎる景色を楽しむとしようぜ」

無理やり、というか明るくする為にもそんな風に気を使ってくれる佐倉さん、この人が指導の機関士で良かったとつくづく思う。

「そういえば、」

「ん?どうした」

「この罐、甲府のものですよね使っちゃって良かったんですかね?」

「あぁ、そういやそうだったな八王子在中のD51は今大宮で、整備が終わって送り込みの為に有火のまま庫に来たらしくてな、まぁ緊急事態だから許してくれるんじゃないか?」

「だと言いですけどね」

そんな何を今更な話をし終わったタイミングに無線が入る。

『こちら東鉄より新宿駅停車中各列車並びに周辺走行中の各列車に通達します、代々木駅付近で発見された爆発物ですが機動部隊処理班の報告により爆発の危険性がない事が確認されました、以上東鉄司令でした。』

タイミング的に入れ替えを待っても良かったんじゃないか、と言う気持ちが再燃しつつ佐倉さんと顔を見合わせて笑うしかない、あの指示のお陰で回路が壊れるか爆薬が濡れて爆発の危険が無くなったと信じよう。

『こちら誘導です、進路開通の確認取れましたので、8番線進入並びに連結5m前までの誘導を開始します』

『了解』無線に返答をして短笛が鳴る、『進路オーライ[ピーッピーッピーッピーッ]』今日幾度となく聞いた無線が新宿駅駅での最後の誘導の音を乗せてD51はC58が待ち構えている8番線ホームへと走り出す、シャッシャッシャッシャッと小気味よくドレインを切って後部前照灯で進路を照らしながら山手貨物線から入ってくるポイントから東京へ向かう快速線のポイントを渡りクロッシングをまっすぐ走り抜ける、テラスの下に潜って屋根になるとブラストの音は辺りに響いて、勾配表を過ぎたあたりで加減弁は閉められ惰性でそのままホームへと滑り込んでゆく直線の線路は橋上駅舎の下をぬけて再び空が広がってブレーキがやや込められる、キャブから後ろを見やればC58の後ろ姿が見えてきて少し安堵を覚えるのは無線だけじゃなくて、仲間の元に戻ってきたからであろうか?

『あと40メーター』まだ歩くより少し高めの速度を維持したままやや曲がり始めた線路を後ろへ走る『20メーター』機関車約1台分を通り過ぎてその間にも速度は歩く程度まで落とされていく『あと10メーター』客貨車達が引っ張るのを身体で感じて同時にブレーキが緩められ速度は子供の歩くスピード程度まで落ちて、あとは少しでも込めると完全に止まるだろう『あと6メーター、ヤワヤワトマレトマレ』毎度の如く停止合図にピタリと合わせて止まり、すぐ様後ろから連結ピンが抜かれる音が聞こえてその後にブレーキ管がそれぞれ開けられる音が聞こえてくる、その後の連結はいつもの精度で衝撃も少なく終えてやっぱりさっきの引き上げ線での連結は相当気負っていたことを確信した。

「8番線出発進行!」「8番線出発進行!」

後ろ側から長坂さんと石和先輩の出発歓呼が聞こえ、それに追々してこちらも出発歓呼をする、「ヴゥゥゥゥアアアァァーー」と気合いの籠ったC58の汽笛が新宿駅に響き渡り、それを追うようにD51も汽笛を鳴らして背合わせ重連となった臨時貨物列車は、列車番号を9232レと変えてビル群の隙間を縫うように大都会を走り出す。


後ろ向きに走る景色をキャブから眺める、さしも気を張る必要も無いぶら下がりがこれ程楽とは、お陰で新宿から逆機になったD51のキャブからは新宿の歓楽街を過ぎて新大久保の後に見える都庁やなんかの高層ビルを気楽に見てC58の煙から落ちてくる大きな石炭殼に降られながら引っ張られていく、時々いつサポート要請があってもいいように圧力だけは維持しながらまだ少し冷たい春風に冷える体をボイラーで温めて風景がすぎていく、中野を過ぎて始まった高架から見える木々は桜色が多く見られて春の宵の一時を惜しむ気持ちを少し乗せて列車は順調に進んでいく、帰りは下り勾配の線路が多いためか停車駅も少なめで三鷹まではガンガン走り、圧力を作る時間で特快を抜かさせて、そのまま国分寺も通過した機関車の前に連なる貨車客車は行きと違って軽い継ぎ目の音を切通し楽しげに響かせながら着いてくる、立川で多摩丘陵を超える為に蒸気を蓄えて今ぞ多摩川を渡りゆく、なんにせよ刺激過多とも言える1日だった、そんなこんな考えているといつの間にやら八王子の本線から渡り線をカラカラといくつも渡って留置線に止まるところで、入れ替えをして機関車留置後「今日はもう遅いから乗泊に泊まっていきな」とのお言葉に甘えてシャワーを済まし、ベットに入ると直ぐに夢の世界へと入っていくのであった。


第1話 繋げ!明日の都会の線路![完]

このお話で第1話―繋げ!明日の都会の線路―は

無事に走り抜けることが出来ました、読者の皆々様にとってどう言った読書体験になりましたでしょうか?ドキドキハラハラやへぇ!こんなふうに蒸気機関車のキャブの中で機関士さんたちが働いてるんだ!というような発見をして貰えると書き手としては嬉しいです!


このお話は2014年の筆者誕生日に書き始めたお話でした、新たな節目の鉄道200年に向けての1日目に掲載を開始することを目指して最近頑張っていました、面白かった!続きは!?などなどありましたら是非とも評価とコメントしていただけると、英国炭を与えられたC62の如く頑張れるかも?です!


次回 大宮駅は大混乱!?頑張れるB6!をお送りする予定ですが、まだまだ書けていませんので更新は気長にお待ちください、ではまた会えるその日までThank you for as!

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