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前書き
命は巡る。
朝日が上り、太陽が頭上を越えて夕暮れになり、やがて夜になる。
振り返ってみるとそこには草原が広がっていて、一つ一つの緑に光が灯っていた。
僕は何も知らなかった。無知で愚かで、それでいて背筋だけは伸びていた。
きっと、眩しかったんだと思う。
思わず目を背けてしまうほどの輝きを放つ光の玉たちは、ちいさくともそれぞれが無限の宇宙を秘めていて、この人差し指と親指では空虚な一枚絵を描くことしかできなかった。
それでも僕は、この手に委ね続けた。
浅はかにも、委ね続けたんだ。