死霊士と蘇生士
魔王との戦いで「主人」を守るため
死んでしまった仲間たち・・・
その仲間たちを復活させるため
伝説の#蘇生士を探す旅に出る
主人公「上杉奈月」
天才セリーヌの洞察に
一縷の望みを託して、
果てしない草原を彷徨いあるくが・・・
俺は死んで魔石になってしまった仲間を蘇らせる為に
この世界のどこかにいるであろう、
#蘇生士を探すことになった。
今まで死んでしまった人が、
生返ったという話は聞いたことがないが
たった一つ例外があったからだ。
『しかし、セリーヌの洞察は相変わらず凄いな。
俺が死んで生き返った場所に蘇生の手掛かりが
あるなんて、思いもよらなかったぜ。』
ベリエル村のだだっ広い草原を
捜索しながら独り言を呟く。
今日はお供のミカエルはいない。
ミカエルはセリーヌの要請で迷宮に入り
メルカッツ騎士団長といっしょに
魔物の主を探している。
低レベル勇者は迷宮内で、ただのお荷物だからねw
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『しかし、生き返った時と同じで
この草原には、
ひとっこ一人いないな。
いくら#鑑定で他人のジョブが分かると言っても
誰にも会わないから、探しようがないな。』
俺はブツブツ独り言を言いながら考えをまとめる。
『仕方がないのでベリエル村に行って
聞き込み調査をするか。』
ベントス村長の顔を思い浮かべながら村へ向かう。
『これはこれは#勇者さま、
また迷宮探索でしょうか?』
『いや、迷宮にはミカエルを行かせている。』
俺は名ばかり勇者の、いらない子です!
ポンコツ勇者にもベントス村長は愛想よくしてくれる。
『今日は死んだものを生き返らせる
#蘇生士を探している。
何か知っている事はないか?』
『蘇生ですか?
人は死んだら、生き返る事はないと思いますが。』
まあ、普通そうだよね。若干1名例外がいますが。
『蘇生ではなく死霊士のギルドなら近くにあります。
死霊魔法は邪悪で、なおかつ危険なので
草原の最深にギルドがあるんですよ。』
#死霊士はかなり冷遇されているようだ。
『わかった。場所をおしえてくれるか?』
蘇生と死霊では全然違うが
ほかに手掛かりもないので
とりあえず行ってみるか。
俺はベントス村長から簡単な地図をもらって出立した
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死霊士ギルドがある草原の奥深くへ足を延してみると
死霊魔法で黄泉がえったのか何度も魔物に襲われた。
#魔術師のジョブがあるので軽く炎で焼き払う。
みんなレベル1だからポンコツでも楽勝ですw
『しかし、なんだな。
この魔物がみんな#死霊士の仕業だとすると
本当に迷惑な話だ。
こんなことばかりしていたら、
忌み嫌われて、街から追い出されるよな・・・』
#死霊士のスキルは失敗が多いのだろうか?
冷遇されたり差別されるのは仕方ない所か。
そんな感想を抱いていると
地面から生えたような不気味な建物が姿を現した。
#死霊士ギルドだ。
案内もいないので、死霊士ギルドの中へ
ドンドン入っていくと
奥まった一室に男がポツンと佇んでいた。
『お初にお目にかかります。
セリーヌ騎士団の、上杉奈月と申します。
あなたがギルド長でしょうか?』
話をスムーズに進めるため虎の威を借りる事にする。
暗い柿色のローブを身にまとった
異常に背が高くて、線のように細身の男が
受け答えする。
『死霊士ギルドの長、ヴァルケスだ。
以後、お見知りおきを。
遠路はるばるご苦労なことで。
このような僻地に
騎士様におきましては
いかなるご用件でしょうか。』
耳障りで冷たい機械的な声だ。
友だちには、なれそうもない。
『ギルドに来るまでに
何度か魔物に出くわしたが
あれは死霊魔法で呼び寄せたものか?』
軽く詰問する。
『なんだ、そんなことか。
レベルの低い魔物故
迷惑は掛かっていないと思うが?』
『そうだな。迷惑ではないが
近くに人が通ると襲われるやもしれんのでな。』
じっさい襲われたしw
『じつは最近弟子にした者がいてな。
出来損ないの魔物ばかり召喚しよる。』
弟子の不出来はあんたの責任ですよ!
召喚者の言う事聞かない魔物なんて!
『そうなのか?
魔物を召喚すると、召喚者の
いう事を聞くと思うのだが?』
『そのはずなのじゃが、
バカ弟子が術を施すと、魔物たちは
勝手にどこかへ行ってしまうのじゃ。
呪文もまともに唱える事ができんしな。』
勝手にどっかへ行く魔物が目の前にいるかもしれません
どうやら無駄足ではなかったようだ。
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俺はヴァルケスにバカ弟子の居場所をたずねる。
『ファンチェルは召喚用の魔石を探していると思うぞ
最近迷宮ができただろう?
道端でゴブリンでも狩っているんじゃないかな。』
目の前にゴブリンのなれの果てがいますがなにか?
目当ての人物らしき者が見つかったので
ヴァルケスに用はなくなった。
針金のような男に暇を告げて
ファンチェルを探しに行くことにしよう。
『ヴァルケス殿、俺はファンチェルに用事があるから
これにて失礼する。』
ヴァルケスは若干、残念そうにしながら答える。
『ふむ。そうか。仕方ないな。
久し振りの弟子じゃったがな。
ファンチェルは迷惑をかけたようだし。
ここに帰ってきたら
騎士団に引き渡すゆえ
今回はおとがめなしと言う事で
おんびんに頼めないだろうか?』
誤解しているようだが、特に問題はないかな?
実際ファンチェルは、コマッタチャンだしな。
まあ、このことは後回しにしよう面倒だしw
ヴァルケスには何も言わずその場を後にした。
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"ギャーーー、タースケテーェーーー"
#死霊ギルドを後にして、
迷宮方向へファンチェルを探しにいくと
自分で召喚した魔物に
追いかけられて、逃げまくっている・・・
こいつ、かなり、ポンコツだな。
ファンチェルはこちらを見て
助けてもらうために走ってきたが
俺の姿を確認すると
絶叫をあげて
その場にへたり込んでしまった・・・
『きのう召喚した奴まで襲ってきたーーー
もうお仕舞だーーー』
はい。こいつです。犯人確保しました。
『仕方のない奴だな。。。
ファイアーショット!』
ファンチェルを追い回していた
ゴブリンゾンビを丸焼きにする。
丸焼けになったゴブリンを見つめて
ふたたび叫び声をあげる・・・
『ギャー。焼かないデーーー
イヤー食べないデーーー
私、美味しくないヨーーー』
『うるさいから、ちょっと黙れ』
ファンチェルの肩をゆすると
その場で気絶してしまった。
ポンコツここに極まれりだな。
これが命の恩人とはね。ハァ。
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気絶しているファンチェルのステータスを
#万物鑑定で確かめてみると
案の定ジョブが#蘇生士になっていた。
#死霊士よりも上位職だから
転職できなかったのだろう。
『やっぱり蘇生士っていたんだなー。
ちょっとびっくりだ。
これからは戦闘で死んでも
大丈夫かな?
いや、まてまて
レベル1で生き返るのか。
いつも魔石が残るとは限らないし。
死なないに越したことは無いか。』
俺が一人ぶつぶつ言っていると
ポンコツ大魔神がやっと目を覚ました。
『あなた、わたしを、食べるの・・・?』
食べるかーw
『ファンチェル。お前、今日から俺の奴隷な。』
『ぇー
ゾンビの奴隷なんてやだー』
『ぇーじゃない!
ゾンビでもない!
ゴブリンから、命、救ってやっただろ?』
『そぅだけどー
あんたって昨日あたしが召喚した魔物でしょー』
『きのうお前に生き返らせてもらったんだよ
これでも一応、人だから安心しろ。』
ファンチェルは極度のポンコツだが
世界で一人しかいない蘇生士だから
手元に置くしかないか・・・
『俺と一緒に来れば
いいことあるぞ』
ここは餌で釣ろう。
『たとぇばー?』
『お前を本物の#死霊士にしてやる。』
『今でも死霊士だよ~』
はいそうですか。
『俺はセリーヌ殿下に仕えている騎士で
しかもジョブが勇者だ。
お前が仕えるにふさわしい
主人だとは思わないか?』
『ほんとー?なんか弱っちいし~』
はいはい。アバドンローブですよ。
『さっきゴブリンを焼いた炎、見ただろ?
俺は勇者で偉大な魔術師さまだ!』
『ぇー自分で魔術師さまとかいってるし~w』
一回死んでみますか?
『ギルド長のヴァルケスに会ったんだが、
お前の身柄を騎士団に引き渡すと言ってるぞ
俺の奴隷になれば身の安全は保障してやる。』
これは効いただろ。勝負あったかな?
『仕方ないわね。条件次第では
奴隷になってあげてもいいわ。』
なんか随分と、えらそうな奴隷だな。
『条件を言ってみろ』
『ぇっとね。ご飯は1日3回で。
月に一回新しい服を買ってね。
あとね、お給料は月金貨1枚!』
なんか、違うような気がするが…
『分かった全部条件を飲もう。
じゃ、奴隷登録するぞ』
ポンコツがポンコツ大魔神を弟子にしました
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ファンチェルを奴隷にしたあと、
一応ギルド長のヴァルケスに挨拶に行く。
『ヴァルケス殿、
ファンチェルの身柄を確保したので
このまま奴隷に落として、
騎士団に連れて帰る。
よろしいかな?』
『ああ、よいよい。好きにしてくれ。
帰る前にギルド周りの掃除をしていってくれ。
つまり魔物退治じゃ。』
『そうだな。日暮れまでで良ければ
始末していこう。』
ファンチェルとパーティーを組むと
2ポイント余っていたので
#死霊士をセカンドジョブにしてやる。
両方の魔法でいろいろ実験したいしね。
ファンチェルが生き返らせた魔物たちを
狩りながら召喚魔法の違いを確認する。
#死霊士と#蘇生士の違いは
#死霊士は術者の思い通りに
なる魔物を作り出す魔法で、
#蘇生士は魔物や人を単に
生返らせる魔法だった。
生き返らせる魔法だから、
自分の意思をもっていて、勝手に行動する。
俺が封印されている魔石を拾ったのが
#蘇生士ではなく、
#死霊士だったら、
今頃ゾンビになっていたと言う事だなw
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『ファンチェル、
お前のご先祖様かだれか、
#蘇生士だった人はいないか?』
蘇生士の謎に迫ってみる。
『ぅーん。出来損ないの
#死霊士なら知ってるよ。
じいちゃんなんだけど、
いくら召喚しても勝手にどっかいくし
最後は自分が出した魔物に
食べられちゃったけどねw』
『率直に言うとだな、
お前もかなり出来損ないだと思うぞ。
さっきゴブリンに食べられそうだったじゃないか。』
蘇生士とポンコツは隔世遺伝だったようだ。
『でもね。おかしいの。
さっきから召喚した魔物、
わたしのいう事聞くんだよ。
きっと心を入れ替えたんだね。
あんたも心を入れ替えて
ちゃんと生きるんだよ。』
やっぱり一度死んでみますか?
とりあえず目的の#蘇生士は手に入ったので
セリーヌのところに連れて行って
この後どうするか相談しよう。。。
この世に一人しかいない
#蘇生士を探し出した主人公の「上杉奈月」
しかし、折角見つけた蘇生士は
天然のスーパーポンコツだった。
手練手管を駆使して、
ポンコツ#蘇生士を配下にしたものの
果たして無事仲間たちを
黄泉がえらせることができるのか!?