表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

セリーヌ

セリーヌ領主は魔物から奪取した

迷宮を改装し、地下要塞を作って

本拠地としていた。


主人公の「上杉奈月」はそんな地底都市を

見ながら、かつての仲間セリーヌの

面影を見出したのだったが・・・



チートスキルを持っているという

新興の領主セリーヌの地下要塞は

豪華な装備の数々で彩られていた。


侏儒ドワーフが好きそうな住いだな・・・』


俺はボソリと独り言をいう。


『よく分かったな。殿下の種族はドワーフだ。』


メルカッツが答える。


そういえば()()()()()()も装備品が大好きだったな。


昨日まで共に旅をしていた参謀を思い出す。

ものすごく趣味が一緒のような気がするが

ドワーフはみんな、こんななんだろうか?


『メルカッツ殿の主は、装備品が好きなのだな。』


『ドワーフだからな。殿下は武器強化の権家だ。』


『武器強化は、リスクが高いだろう?』


『殿下は武器強化で失敗した事がない』


まあそうだろうな。

()()()()()()()()

強化に失敗しない。


領主であるセリーヌ殿下は

俺の知っているセリーヌで

たぶん間違いないだろう。


----------------------------------------------------------


『セリーヌ殿下のおなーりー』


俺たちが謁見の間で控えていると

登壇の合図と共に

煌びやかな装飾品を身に着けた

一人の頑丈そうな少女が現れた。


()()()()()()()()()()()()

『あらっ!

()()()()()()()()()()()()

15年もどこほっつき歩いてたの?


しかも、死んだときに着てた

アバドンローブ纏っているし。


もしかして神隠しにでもあった?

って、15歳ってなにw

しかも海人って

()()()()()()()()()()()


矢継ぎ早に言葉を繰り出してくる。


頭の回転に言葉が追い付いていないのは

今に始まったことではないか。


『いや、セリーヌ、

ちょっと待ってくれ

俺もどうなってるのか

良く分からないんだ。』


『相変らず馬鹿ねw

多分一度死んで

蘇生魔法をかけられたのよ。

で、大半の魔素を失って

レベル1になって

海人として生返ったのだわきっと。』


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


----------------------------------------------------------


俺はマシンガンのように飛んでくる

セリーヌの言葉の合間をぬって

一言だけ口をはさむ。


『蘇生魔法なんかあるのか?』


『あるに決まってるじゃない

現にあんたがここにいるわけだし。


また、神さまが何たらとか

言わないでね。

そんなのいるわけないんだから。


あんたが生返ったって事は

生返られる魔法があるってことよ。


つべこべ言ってないで、

これもって蘇生士に

復活させてもらってきなさい。』


なるほどな。確かに理にかなっている。

神さまに復活させてもらったというよりは

よほど説得力があるか。


『これって魔石か?』


やっと一言口をはさむ。


『私がしゃべってる間は

口を挟まないでね。


そうよ。


あんたの奴隷だった子が

残した魔石よ。


あんたが死んだあと、

私以外はみんな

バーカーサーになって

魔王に突撃したわ。


わたしはギルド参謀だったから

あんたが死んだら奴隷でなくなって

バーカーサーにならなかったってわけ。


魔王を滅ぼしたあと

みんな死んじゃったけどね。

それで残ったのが

この魔石一個。


誰が復活するか知らないけど

誰でもいいから生き返らせてきなさい。


これはあんたの義務よ。


生返ったら大切にしてあげるのよ。』


()()()()()()()()()()()()()()()()


言葉を差しはさむと

怒られるので

こころの中で言っておく。


----------------------------------------------------------


セリーヌは魔石を手に取りながら

()()()()()()()()()()()()()()()


『この魔石はもしかしたら魔王かもしれないけど

生返らせないと分からないから

やってみるしかないわね。


隣りにいるあんたの狩人ならレベル1の魔王くらい

殺せるから大丈夫か。


しかし、あんたってホントに運悪いわね。


迷宮の主と魔王が一緒にいるなんてね。


きっとあんたが死んだのは

魔王の即死スキルかなんかだったんだろうね。


ちゃんと即死系の魔法対策してなかった

あんたが悪いんだけどね。

ちゃんと私の言うこと聞いてたら

あんた今頃領主になって

ウハウハだったのにね。

残念だったね。


おかげで私はここの領主になれたわけだから

言えた義理じゃないんだろうけど。


まあ、あんたと違って私は持ってたって事か。


これって全部人柄がなせる業かな?

あんたみたいな無能が

領主になってたら

それはそれで領民が迷惑したわけだしね。


ああそうか。

わたしが参謀だから

雑用は全部わたしに押し付ければいいわけか。


あんたは左うちわで

女を侍らせて生きていけばいいだけだからね。


勇者ってだけで

皇帝にでもなれるかもねw


まあ、それもこれも私の力添えが

無かったら無理だろうけどね。』


延々と話し続ける

セリーヌの言葉に耳を傾けていると

すべての謎が解けていくのが分かる。


()()()()()()()()()()()()()()()()


----------------------------------------------------------


『ところでナッツ、

ちょっとお願いがあるんだけど

昔よくやってたように

ポイント分配しれくれないかな?


30ポイントくらいあるんだけど

宣誓スキルじゃどこ行くか分からないでしょ。


あんたのスキルなら好きなところに

ポイント割り振れるから、

#ジョブ拡張と、#詠唱破棄のスキルつけてよ。


ジョブはあんたが持ってる#勇者でいいや。


ちょっと聞いてる?


何ボケっとしてるのよー』


マシンガン口撃に気を失いそうになりながら

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


『ああ分かった。

任せてくれ。

#勇者は特殊な職業だから無理だけど

ほかのジョブなら大丈夫だ。


呪文を忘れてしまったから

一度詠唱してくれないかな?』


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

慎重に言葉を選ぶ。


『ほんと、物覚えが悪いのね

ちゃんと呪文くらい覚えなよ。


鑑定があるからって油断したらダメ。

スキルは万能じゃないんだから。


詠唱するから一度で覚えな!


八ツ目さす、出雲立ち出る、アマテラス!ポイント分配!だよ。』


オレは素早くポイント分配スキルを活性化させる。

続いてセリーヌのポイント分配スキルを破棄する。


これでこの世界で#ポイント分配スキルを

持っているのは、再び俺一人になった。


レベルアップによって得られるポイントは

#宣誓という領主のスキルで

ランダムに割り振られる。


だが、俺が持っているチートスキル

#ポイント分配は自分の好きなところに

ポイントを割り振ることができるのだ。


セリーヌはきっと#宣誓スキルで

ポイントをランダムに割り振って

知らぬ間にポイント分配スキルを

取得していたのだろう。


#ポイント分配はPTL(パーティーリーダー)が行使するスキルだから

セリーヌのステータスも俺の自由に出来る。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


『ジョブは#迷宮冒険者でいいだろ?』


『そうね。よく判ってるじゃない。それでいいわ。』


俺はセリーヌに#詠唱破棄を付けたあと

追加のジョブに#迷宮冒険者を選んだ。


『#ポイント分配がいる時は

いつでも呼んでくれ。

毎日は嫌だけど、月に一度くらいなら

時間をつくるから。』


早速#ポイント分配スキルを餌にして

交渉を始める事にしよう。


『そうね、お願いするわ。

うちのギルドでは月初めに

#宣誓をしているから

これからはあんたが代わりに

#ポイント分配して。

()()()()()()()()()()()()()


()()()()()()()()()()()()


----------------------------------------------------------


『ところでさぁ、

#勇者ってどうやってなるの?

教えてくれたらいいものあげる。』


セリーヌは神器#草那藝之大刀くさなぎのたち

ちらっと見せる。


それって俺の武器じゃないかw


草那藝之大刀くさなぎのたち

拾ってくれてたんだな。有難う。』


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


『ただじゃないわよ。取引よ。

ギブアンドテークね。

わかってるでしょ。』


敵もなかなかやる。敵じゃないかw

#勇者のジョブはこの世界で俺しかもっていない。

なり方は秘密にしておきたかったが

草那藝之大刀くさなぎのたちを見せられては

断ることができないな。。。


『分かった。。。教えよう。。。


俺はこの世界に来て最初の戦闘で

賞罰#殺人の者をやっつけたんだ。

たまたま上手くいって、そのとき

勇者のジョブを手にすることが出来た。』


()()()()()()()()()()()


『なるほどね・・・

だから勇者はあんたしかいないんだ。

それって無理ゲーだよね。


#殺人を犯すような裏切り者は

かなりハイレベルに違いないから

初めての戦いでそれを誅するのなんて

無理に決まってるじゃない。

返り討ちにあって一巻の終わり。


でもないか。


パーティーメンバーが倒してもいいなら

手を下すのは人任せでもいけるかな?


それなら不可能じゃないね。


でも、賞罰#殺人の奴なんて

#鑑定もちでなければ

見つかりっこないわね。


という事は、私とあんたなら

可能性はある。


今度殺人犯を見つけたら

試してみるか。


あんたも見つけたら

教えて頂戴。


お礼はするから。』


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


セリーヌは約束通り、

アイテムボックスから

神器#草那藝之大刀くさなぎのたちを出し、返してくれた。


#神器をアイテムボックスに入れる振りをして、

ポイントへ還元する。しめて()()()()()()()だ。

これでやっと振出しに戻ってくることができた。


----------------------------------------------------------


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


俺はセリーヌのおしゃべりを

右脳で聞きながら、

左脳を使ってポイント分配を始めた。


ポイント分配は慎重にしなければならない。

というのも、一度ポイント分配すると

神器以外は、ポイントに戻す事が出来ないからだ。


まず、ジョブを4つ増やそう。

#勇者

#迷宮冒険者

#領域冒険者

#祝

#魔術師

で32ポイント消費


#詠唱破棄で、8ポイント消費

#必要経験値20分の1で、64ポイント

#万物鑑定で、16ポイント

#以心伝心で、8ポイント

#ポイント分配で、1ポイント


ポイント分配に使った1ポイントは

レベルが2になったとき取得した。

メルカッツとの死闘で得たものだ。


合計できっちり129ポイントだ。

レベルが上がればまたポイントは

増えるから、もんだいないだろう。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


レベル35で34ポイントある。

#宣誓はしたことがないようだ。


休眠ジョブを見てみると・・・

いろいろあるな。

色々と経験してきたんだろう。


その中でミカにピッタリなのは

#格闘士かな?

格闘士なら蹴撃(けとばし)があるし

弓を持ちながらの接近戦で

役に立つだろう。


きっとメルカッツを蹴飛ばした時に

取得したに違いないw


セカンドジョブに#格闘士をつけて2ポイント消費。


後は、#必要経験値10分の1で、32ポイントだ。


まあ、最初はこんなものかな?


----------------------------------------------------------


終わりの無いように思えたセリーヌの独壇会も

痺れを切らしたメルカッツによって終劇を迎える。


『殿下、儂はそろそろ迷宮に戻るから

終わりにしてくれないか?


話だけで日が暮れてしまってはもったいないからな』


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


『あ。いや悪かったな。

そうだな、そろそろ腹も減ったし

お開きとしよう。

皆も用はすんだようだしな。』


若干後ろめたそうな顔をしながら

セリーヌがお開きを宣言した。


『では、セリーヌよ、

これから毎月初めに来るから

ポイント分配してほしい人を

集めておいてくれ。』


『うむ。わかった。

では、魔石は確かに渡したぞ。

魔物の魔石とまぜるんじゃないよ。


張り紙でもして分けて置け。

ナッツは本当にポンコツなんだからな。


ミカエルだったかな?

ふつつかな奴だが

しっかりと面倒見てやってくれ。


私は忙しいから

こ奴の面倒までは見れんからな。


武器強化したくなったら来るがよい。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


ではな。


ああ、そうそうナッツよ。

世界の平和はわらわに任せるがよい。


詠唱破棄も手に入れたし

多分わたしは世界最強だ。


レベルも平均90を超えてるしな。』


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


俺はこの世界のアウトサイダーだ。

生粋の住民が魔物から人の世界を

取り戻すのが筋というものだろう。


そんな事を考えながら、元仲間の魔石を握りしめる。

一体誰がこの石っころに封じられているのだろう?

一刻も早く解放してあげたいな。

世界最強?になっていた

かつての参謀セリーヌ。


天才とポンコツでは

持っているものが違うと身につまされる。


主人公「上杉奈月」は忙しいセリーヌから

かつての仲間が閉じ込められている

「魔石」を託され

復活させるため旅立つことになった・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ