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戴冠式

いま、ポンコツ死霊士のファンチェルが間違って蘇生させてしまった「暗黒戦士」ニケを伴って、領主のセリーヌの元を訪れている。


昨日まで俺たちの狩場だった迷宮が、魔物の主を失いセリーヌの版図になってしまったので、代わりにどこか良い場所があるか、相談しに来たのだ。


3名の女性陣は迷宮都市の繁華街に繰り出して、食べ歩きなどすると言っていた。ここのところ、魔物狩りばかりしていたので、たまには息抜きもいいだろう。


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セリーヌ領主の謁見の場に入ると、早速マシンガン口撃が始まる。


『やあ、ナッツ。今日は何の用だい?

・・・・・

あれ?この子は魔獣だね。もしかして、ポンコツ(ファンチェル)がまたやらかしたのか。


しかし「瓢箪から駒」とはこの事をいうんだね。いいタンク(盾職人)だ。うちのメルカッツと取り替えたいくらい、将来有望な戦士じゃないか。あれだけ大きな魔石から蘇生させたんだから、かなりな器の持ち主だろうね。


大方、ナッツにはなびかないで、サンディーの配下になろうとしたんじゃないか?おや!お陰であんた、#魔獣士のジョブまで、手に入ってるじゃないか。どうやって入手したんだい?』


()()()()()()()()()()()()()()()


『魔獣を隷属させたタイミングで、#魔獣士が手に入ったようだ。確証はないけどたぶん#魔獣士のジョブ&魔獣を隷属させることで、人の配下になるんだろう。』


『なるほど・・・これで伝説のジョブの謎が解けたね。これは結構革新的な出来事だよ。何しろ第三勢力の魔獣を人の配下にする手立てが分ったのだしね。


ナッツ、よくやった。お前は救世主かもしれないよ。早速わたしの方でも#魔獣士を育成していくことにするよ。』


多分大した時間をかけないで、セリーヌ騎士団に魔獣軍団が出来るのだろうな。


『ところでセリーヌ、どこか俺たちにふさわしい狩場はないか?』


『うーん、そうだね。

隣接している領主で、今度わたしに禅譲したやつがいるんだけど、その隣の領域なんかどうだろう?イキのいいタンクも入ったし、デカブツ相手でも大丈夫だろう。


私が王に推挙される会場が丁度そこだから、あんたらパーティーは私の護衛としてついて来るといいよ。魔物の領域にナッツらを派遣すると言う名目で、領主に顔をつないであげるから。ついでに領域の主もやっつけてくれるとありがたい。』


『魔物の領域か・・・ちょっと俺たちじゃ早いんじゃないか?地上の魔物は巨大化するだろ。HP(ヒットポイント)も肥大化してるから、戦闘時間が長引くと結構厄介だしな。』


『まあ、大丈夫だって。サンディーがいるじゃないか。浅瀬ならほとんど抵抗してこないから、徐々に慣らしていけばいいんじゃないか?ある程度パーティーメンバーが育ったところで、深部に行けばよいと思うよ。』


ふむ。魔物の領域では生き物が巨大化するので、一匹一匹倒すのに時間がかかる。しかしその分、経験値やアイテムなどの稼ぎは良い。こっちにも馬鹿でかいニケが加入したから、押し負ける事はないか。


『そうだな。魔物の領域もニケがいるから何とかなるかもな。じゃあ、紹介お願いするよ。』


さっそくニケに活躍してもらえそうだ。


『ああわかった。ナッツ、出発は明日だからな。準備しておきな。それからあんたの右手を見てごらん、馬鹿でかい盾と、ごっつい槍があるだろう。それをやるからニケに持たせるといいよ。以前魔物の領域を討伐したとき、主が落していったんだが、でかすぎて人では扱えないんだ。お前の「暗黒騎士」なら持ち上げる事が出来るだろう。持ち上げる事が出来たら、もっていっていいよ。』


俺はニケに目配せして、天井にまで届きそうな巨大な盾と、槍を装備させた。


ニケの身長は3mくらいはあるだろうか?巨人の槍と盾はニケが持つと、初めからその持ち主だったかのように、ピッタリとフィットした。


『ニケのために作ったみたいだな。よく似合ってるよ。盾と槍もようやく主を得て喜んでるようだ。持っていきな。』


これで、魔物の領域に行く準備はできた。明日が楽しみだ。


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日が昇ると直に俺たち家族パーティーは、セリーヌ騎士団と合流するため地下迷宮の闘技場へテレポートしてきた。そこには既にセリーヌを護衛するために集まった騎士たちがいた。


ミカエル  :『流石騎士さま、みな早いですね』

ファンチェル:『zzz……』

サンディー :『かーちゃんまだねてるのかなー』

ニケ    :『どなたか拙者と手合せしてくれ』


ニケ、手合せはダメね。ファンチェル、寝るなっ!


『ファンチェル、セリーヌ殿下のお出ましだぞ!』


『ごっ、御領主様!ファンチェルは頑張って護衛いたしますから、泥船に乗ったつもりでいて下さい!』


()()()()()()()()()()()()おっ、真打の登場だ。


セリーヌがメルカッツを連れて、颯爽と闘技場に入ってくる。一瞬でその場の空気が引き締まるのがわかる。さすが「王」となる者は格が違う。


「王」になるには、10名の領主からの禅譲が必要になる。もしくは自分の騎士団だけで10個の領域や迷宮を討伐するかだ。


禅譲とは何かというと、自分が持っている迷宮や領域を格上の人に捧げる行為だ。譲渡された人はたいてい、領地をもとの持ち主に返して管理をまかせる。いわゆる一つの形式的な作法を禅譲と呼ぶ。


セリーヌは今度の迷宮討伐によって、支配領域が10か所以上になり自動的に「王」に格上げされたというわけだ。今日はその就任式なのだが、どんなことをするのか初めての参加なので詳しくは知らない。


『パーティー編成を済ませたら、その場に腰かけてくれ。準備ができ次第、戴冠式の会場「セリーヌ大闘技場」へテレポートする。わらわは本日は、「上杉奈月」のパーティーと共に行く故、メルカッツは別のパーティーを編成して付いて参れ。』


領主、いや「セリーヌ王」は滞りなく、準備を進めていく。一応俺たちは新王者のセリーヌ直属パーティーだからね。気を引き締めなくてはね、ファンチェル!


パーティー編成が終わったのだろう、その場にいる全員が椅子に腰かけている。『では全員揃ったようなので、会場へ向かい前進する。戴冠式には隣接する「王」も参加予定なので、粗相のないようにな。では出発!』


セリーヌ王の命令でパーティー編成を済ませた者が、次々に「セリーヌ大闘技場」へ向かってテレポートしていった。


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