表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

覇王

「上杉奈月」は日銭を稼ぐために家族を連れて迷宮探索にのり出した。


絶対安全運転を期して魔物狩に挑んだのだがムスメの「サンディー」に

おねだりされて狩に参加させてしまう。


絶世の美女「サンディー」が魔物を狩り始めると魔物たちは一切の抵抗を

やめてその首を差し出してきた・・・


余りの異様な光景に、戦慄を覚える主人公だったが困った時の「セリーヌ」頼み

という事でかーちゃんのもとに駆け込むことにした。

昨日の魔物狩で傾国の美女サンディーの規格外の異能が次々と明らかになった。


どんなスキルなのか、判らないまま使い続けるのはとても不安なので、ここは同類のかーちゃんに相談するしかないだろう。困った時のセリーヌ(かあちゃん)だな。


家族皆で朝食を食べながら、そんな話をしているとサンディーは一足先に#影渡りでかーちゃんの所へ遊びに行ってしまった。


#暗殺士固有のスキル、#影渡りは同行者も一緒にテレポートできるのだが、術士よりもレベルが低いと麻痺してしまうので、使い勝手はあまり良くない。


犯罪者を拉致するにはもってこいのスキルだが、パーティーの移動手段としてはちょっと使いにくいな。


----------------------------------------------------------


サンディーの相談事に、ミカエルとファンチェルを連れて行ってもあまり意味がないので、二人には先行して迷宮に入ってもらう事にした。

地下一階から地下四階なら二人で問題はないだろう。


"ときは金なり"だ。


()()()()()()()()()()()()()()()()9()9()()()()()()しているので、低階層ではぬる過ぎるが安全第一。


昨日と同じく弓のペアで仲良く無双してもらおう。


"ビシュッ、ビュシッ、ビシュッ、、ビュシィ"

『ギョワッ、ギョワァ、ギョワッ、ギョワァ』


しばらく狩の様子を見ていたが、問題なさそうなので、俺一人でセリーヌ領の謁見の間にテレポートしてきた。


セリーヌ(かーちゃん)とサンディーが何やら難しい話をしている。

天才同士の会話には、ついていけないのでスルーだ。


俺の姿をチラリと確認するとセリーヌのマシンガン口撃が、予定通り始まった。(これはこれで楽だね。聞いてるだけなんで。)


『やあ、ナッツ、やっと来たか。きのうは色々大変だったみたいだね。


早速だが、サンディーの魔物を無力化する能力、これは#覇王のスキルだろう。


#万物鑑定でサンディーのステータスを見てごらん。

#称号が#覇王になってるだろ?


これは、前世で#魔王だったときの称号だね。#覇王の効果はたぶん、低レベルの人や魔物を無条件で従わせることが出来るんだろう。


#人だと、初代皇帝イカロスが持っていたんだ。自分よりも低レベルのモンスターを無力化できるから、数で攻めて来られても、大丈夫だったそうだよ。


あと#影渡りだが、見える範囲の影や行ったことのある場所の影を伝ってテレポートできるスキルだね。


サンディーがいきなりわたしの陰から出てくるとびっくりするけど、戦闘では先制攻撃できるから、かなり有利に魔物を狩れるね。


低レベルの人を、#影渡りで連れて行くにはマジックシールドとかで事前に保護しないと麻痺してしまうから、要注意だ。

昨日あげた#竜燐のマントで包んでも大丈夫だろう。


それと魔物の位置が分かるのはサンディーの種族特性で#吸血鬼の異能だね。


#吸血鬼は人や魔物の生気を吸って生きてるから獲物の魔素(いのち)を感知できるんだろう。魔物や人の居場所が判るってのは、かなり便利だね。


いま言ったことは、ほとんど#万物鑑定で見ればわかる事ばかりだよ。

ナッツ、ボーットしてないで

今度サンディーのステータスをよく見てみな。


・・・・・

・・・・・

・・・・・』


俺はセリーヌが延々と話す内容を右脳で聴きながら左脳で#万物鑑定を発動させ、サンディーのステータスを良くみることにした。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


----------------------------------------------------------


#万物鑑定を発動させてサンディーのステータスを見てみるが、セリーヌが言っていたようなことはどこにも書いていなかった。

きっと天才と凡人では#万物鑑定も違って見えるのだろう・・・


========================

名前:サンディー

種族:吸血鬼

性別:♀

年齢:15歳・レベル17

職種:暗殺士・薬師士・装飾具職人

賞罰:なし

所属:セリーヌギルド

階級:次期セリーヌ領主

称号:覇王

========================

確かに#称号に#覇王があるな。

レベル17は3つのジョブの合計数値だろう。


セリーヌのマシンガン口撃がまだ続いているので、ついでに色々見ておこう。

========================

【フィジカル】

筋 力:99

瞬発力:99

耐久力:99

体 力:999/999

【メンタル】

知 力:99

即応力:99

精神力:99

魔 力:998/999

【スタミナ】

行動力:998/999

========================

すべての数値がカンストしてるんだが、

何かの見間違いだろうか・・・


つぎの武具強化ボーナスを見て、納得する。

========================

頭装備:ミスリルヘルム+36/41(知力2.5倍)

体装備:ミスリルメイル+36/36(耐久力2.5倍)

腕装備:ミスリルグローブ+35/37(筋力2.5倍)

足装備:ミスリルブーツ+35/38(瞬発力2.5倍)


武 器:ミスリルダガー+34/37(攻撃力52倍)

盾装備:なし

投擲具:ミスリルチャクラム+34/36(命中52倍)


指装飾:翡翠のリング+35/37(即応力2.5倍)

耳装飾:翡翠のイヤリング+37/40(精神力2.5倍)

首装飾:翡翠のネックレス+34/34(寿命11倍)


外 套:竜鱗のマント+33/34(魔法絶対防御)

========================

なんだか、見ていて悲しくなるな…


ついでにスキルも確認しておくか・・・

========================

【スキル】

#ジョブ拡張2段階、#詠唱破棄、#万物鑑定

#獲得経験値20倍、#以心伝心、#影渡り、#隠密

#吸生気、#覇王波、#アイテムボックス

#短剣、#投擲、#暗殺、#暗黒魔法、#自己再生

#クリティカル、#回避、#状態異常回避

#装飾具製作、#装飾具強化、#薬剤調合

========================

なんか、凄くたくさん便利そうなスキルがあるな。


#吸生気のスキルで魔物の位置が分かるのだろう。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


なるほど、こうやって並べてみてみると、サンディーの事がなんとなくわかるな。#万物鑑定でステータス全般を見渡すと、後はそこから推測していけばかなりの事が分かるってことか。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


----------------------------------------------------------


セリーヌの調子よいマシンガン口撃を聞き流していると、突然爆弾発言した。


『ナッツを即死させたのは、もしかしたら魔王ではなくて()()()だったのかもしれないね。


魔王帝がいったい何人いるのか知らないけど、そのうち一人倒したんなら、あんたの死も無駄じゃなかったって事か。


魔王帝なら、#覇王波が使えるんだ。サンディーは将来#皇帝か#魔王帝、どっちかになるんだろうね。


出来れば、#皇帝になって欲しいけど、それはナッツの今後の教育次第…

あんた責任重大だね。

人の未来はお前の手に掛ってるってことだから…


ナッツ今日も迷宮にいくんだろ?

()()()()()()()()()()()()()()()()


迷宮に行く前にちょっと模擬戦やろう。

2vs2のね。


サンディーの実力をこの目で見たいんだ。実際に戦ってみるのが一番手っ取り早いからね。おい、そこの騎士、メルカッツを呼び戻しな。』


どうやら闘技場でセリーヌたちと模擬戦をしなければならないらしい・・・


----------------------------------------------------------


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


セリーヌは自他ともに認める世界最強の戦士だ。なぜなら人の中で唯一、#限界突破というスキルを持っているからだ。(俺が付けてやったんだけどね。)


#限界突破はその名の通り、ステータスの上限を取り払ってくれる。セリーヌの合計レベルは400を超えてるからステータスは軽く800以上あるだろう・・・


どうひっくり返っても傷一つ付ける事は出来ない。

なるべく痛くないようにして欲しいな。。。


スーパーサディストのセリーヌだから嬲殺しかな?

そうだ、力を試されるのは俺じゃなくサンディーだ。


大丈夫、大丈夫。俺は闘技場の片隅から、魔法をぺちぺち目立たないように撃つだけだ。


方針が決まったので、相方のサンディーに作戦を伝授することにした。


『サンディー、かーちゃん(セリーヌ)は化け物だから普通に戦っても絶対に勝てない。だからまず一番弱い所、つまり「メルカッツ」から始末していく。』


『うん。とーちゃんわかった。

メルカッツおじちゃんを袋叩きにするんだね。』


レベル80ナイト(化け物タンク)を袋叩きだそうです。


『そうだ。試合開始の合図とともに、とーちゃんは距離をとって魔法でメルカッツに集中砲火するから、その間にサンディーは距離を詰めて2人をかく乱するんだ。

かーちゃんにはダメージが通らないからスルーで、メルカッツにだけ当てていけばいい。』


『うん。わかった、とーちゃんの言うとおりにする。

でメルカッツおっちゃん倒した後はどうするの?』


『メルカッツを倒した後は同じくサンディーが、かーちゃんを引き付けて

ヒットアンドアウェーだな。


どちらにしろセリーヌにはダメージが通らないから

後は野となれ山となれだ。』


()()()()()()()()()()()()()


どうせこの模擬戦はサンディーの実力を見るためだし

メルカッツを始末して、後はお茶を濁せばいいだろう。


----------------------------------------------------------


闘技場に移動すると、メルカッツがニコニコしながら出迎えてくれた。 

"脳筋バトルジャンキー見参!"ってとこか。


『ナッツ、これやるから使いな。魔術師として戦ってるなら、もうちょっとましな武器もちなよ。』


セリーヌはそう言って#アバドンロッド+0/16を渡してくれた。どうせなら強化した物をくれよ。


仕方ないので、自腹を切って今度#武器職人のミカエルに武器強化してもらおう。


サディスト大王のセリーヌが模擬戦(なぶりごろし)の説明をする。


『模擬戦だから、アイテムは使用禁止ね。

手持ちの武器と魔法だけで戦うこと。


死んだら復活はなしで、隅で戦闘が終わるまで見学。

チーム分けは、わたしとメルカッツチームvs

サンディ・ナッツチーム。一発勝負で一回だけね。

じゃあ、始めるか!』


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


闘技場で死んでしまうと試合会場の隅で復活する。


死ぬ→復活→参戦を繰返すと永遠に終わらないので、一回こっきりという事になりました。


----------------------------------------------------------


俺は5大属性の魔法を連打しつつ闘技場の隅へ移動する。標的はもちろん「メルカッツ」だ。


この異世界の魔法は、5つの属性を持っている。

木←火←土←金←水だ。

矢印の方向の属性に対して、強力に作用する。


俺は火属性の魔法が、もっとも得意なのだが「メルカッツ」の属性防御がどれくらいなのか分からないので、とりあえず片端から撃っていく。


『エアーショット!ファイアーショット!』

『ダートショット!フラッシュショット!』

『ウォーターショット!エアーショット!』


"ビシッ、ビシッ、ビシッ、ビシッ、ビシッ、ビシッ"


どうやらメルカッツは火属性と()属性に弱い様だ。


5属性魔法をやめて、火と風魔法の連打に切替える。


『ファイアーショット!エアーショット!』

『ファイアーショット!エアーショット!』

『ファイアーショット!エアーショット!』


"ビシッ、ビシッ、ビシッ、ビシッ、ビシッ、ビシッ"


ビシバシとメルカッツに魔法がヒットするが、ダメージを受けているようには見えない。。。


セリーヌとメルカッツは余裕しゃくしゃくで、こちらの攻撃を盾防御で受け流している。。。


"ビシュッ"    "カッァーン"

     "ビシュッ"  "カッァーン"

"ビシュッ"    "カッァーン"

     "ビシュッ"  "カッァーン"


サンディーはとーちゃんの魔法連打開始と同時に、投擲武器のミスリルチャクラムを投げ込んでいた。


チャクラムはどういう構造なのかわからないが、メルカッツとセリーヌの間を行ったり来たりしながら、無限のループ攻撃を二人に仕掛けている。


"ビシュッ"    "カッァーン"

     "ビシュッ"  "カッァーン"

"ビシュッ"    "カッァーン"

     "ビシュッ"  "カッァーン"


チャクラムの攻撃はダメージを与えていないが足止めにはなっているようだ。流石に盾防御しないとメルカッツでも痛そうだし。(俺なら死んでるけどね)


"ビシュッ"    "カッァーン"


メルカッツが盾防御でチャクラムをはじいた瞬間、サンディーは無詠唱の#影渡りでメルカッツの足元から飛び出し必殺の短剣攻撃で、がら空きの胴体をえぐる。


"シュバッ" "ズギャッガグヮーン"


クリティカルヒットした、ド派手な音が闘技場に響き渡り、メルカッツのヒットポイントが一気に半分まで削られた。


『グァハッ』


さすがに防御無視の短剣攻撃が効いたのだろう。メルカッツが片膝をついて、口から吐血する。


『八ツ目さす、出雲立ち出る、アマテラス!絶対防御!』


メルカッツがたまらず、アルテ()ィメッ()トディ()フェン()スを発動させた。


よし、脳筋(メルカッツ)ゲットと思った瞬間

とーちゃんとサンディーは同時に地面に叩き伏せられていた。

ゲームオーバーだそうです。


『ぐはっw』 『きゃっ』


闘技場の隅で生き返った、とおーちゃんとムスメは同時に悲鳴を上げる。目に見えない一撃で二人同時に昇天したようだ。かーちゃんが声を掛けてくる。


『なかなかよかったよ。二人とも大したもんだ。

あのまま戦っていたらメルカッツは仕留めていたね。


サンディーの実力もわかったよ。

これからも、このまま怠けず精進していくんだよ。


それからナッツ、さっさと#限界突破のスキルをアクティベートしな。魔王ならともかく、魔王帝が出て来たらサンディーを守り切れないよ。


じゃあ、これで解散ね。メルカッツ!

迷宮の主を探しに行くよ、サッサと用意しな。』


それだけ言い残して、()()()()は闘技場から姿を消したのだった。

傾国の美少女「サンディー」の異能は天才「セリーヌ」によって丸裸にされる。

#万物鑑定で見れば、全部わかると言われるが天才と凡人の差を、見せつけられただけだった。


「サンディー」の実力を見極めるため闘技場で脳筋バトルジャンキー、

セリーヌ&メルカッツペアと戦う羽目に・・・


いやいや始まったPVPだったがメルカッツをもう一歩のところまで追いつめる。


勝利を確信した瞬間、セリーヌに瞬殺されてしまう。

はたしてポンコツ主人公に明るい未来はあるのか!?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ