サンディー
魔王との戦いで死んでしまった
仲間たちを蘇らせるときがきた。
万一に備えて迷宮都市の闘技場に
つわものたちがパーティーを組み
万全の態勢で
蘇生の現場に集結したのだった。
15年の時を経て、果たして誰が
復活してくるのだろうか!?
今日はセリーヌ領主の地下要塞にある
闘技場に主要メンバーが集まっている。
ポンコツ#蘇生士のファンチェルが
レベル5になったからだ。
いよいよ、魔王との戦いで犠牲になった仲間を
復活させるときが来たのだ。
集まったメンバーは
・セリーヌ
・メルカッツ
・上杉奈月
・ミカエル
・ファンチェル
の5人で、PTLは一応俺だ。
何かあってもこのメンバーなら何とかなるだろう。
領主のセリーヌが当然のように音頭をとっていく。
『そろそろ死んだ仲間を蘇らせようと思ってね
みんなに集まってもらったの。
ポンコツはまだレベル5だけど
これ以上上げても意味ないかもしれないし
いつまでも宙ぶらりんではかわいそうだからね。
でも、蘇生させたら誰が出てくるかわからないんで
もしかしたら魔王が出てくるかもしれないし
油断しないでね。
まあ、わたしとメルカッツがいるから
本物の魔王が出てきても
問題ないけどね。
じゃあ、はじめるか。』
すべてセリーヌの采配で事が進んでいく。
こういうのも楽っちゃ楽だよね。
上手くいかなければ
セリーヌにおっかぶせればいいんだし。
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『じゃあ、ナッツ、預けて置いた魔石だして
ファンチェルに渡して。
ファンチェル分かってるだろうけど
くれぐれも#死霊魔法はつかわないでね。
#蘇生だからね、#蘇生。
まあ、魔物にしちゃったら
もう一度魔石にして蘇生魔法をかければいいだけか。
とりあえず、面倒だし一発で決めなよ。』
『はい。ご領主さま。』
ファンチェル、領主の前ならちゃんと話せるんだなw
『では、セリーヌ様、復活の儀式を行います。
八ツ目さす、出雲立ち出る、アマテラス!蘇生!』
呪文を唱えるとファンチェルが手にした琥珀の魔石は
最初、虹色の光を瞬かせ、やがて白い光に包まれ
その姿を大きな球体へと展開させていった。
俺は白い光の中に、一人だけ吸いこまれる。。。
やがて頭の中に柔らかな言葉が問いかけてきた。
名前を定めよ
・ルナ
・ハルカ
・サンディー
・アイラ
・アスラ
どれにしますか?
5つの中から1つ選ぶらしい。
4つの名前は見覚えがある。俺の為に死んだ仲間だ。
残り一人はたぶん一緒に滅んだ魔王だろう。
一人しか復活できないのかな?
仕方がないので一番幼かった仲間を選ぶ。
・サンディー 「ポチッ」
父を定めよ
・上杉 奈月
・メルカッツ
どれにしますか?
パーティーメンバーから選ぶんだね。
15歳でお父さんか。
メルカッツにすることもできないので当然
・上杉 奈月 「ポチッ」
母を定めよ
・セリーヌ
・ミカエル
・ファンチェル
どれにしますか?
これは悩むな。。。
子供のことを考えると一番頭の良い人かな・・・
・セリーヌ 「ポチッ」
種族を定めよ
・吸血鬼
どれにしますか?
選べないじゃないかw
・吸血鬼 「ポチッ」
吸血鬼って人なんだろうか?不安だ・・・
ジョブを定めよ
・無職
・暗殺士
どれにしますか?
無職はないか、でも暗殺士って
生まれてすぐにつくジョブか?
とりあえず、
・暗殺士 「ポチッ」
すべての設定が終わりました。
神から100ポイント賜った。
ポイントを分配してください。
やっぱ、神さま、いたんだね。
俺は慎重にポイント分配する。
#ジョブ拡張で、4ポイント消費
#詠唱破棄で、8ポイント消費
#獲得経験値20倍で、64ポイント消費
#万物鑑定で、16ポイント消費
#以心伝心で、8ポイント消費
合計でピッタリ、100ポイントだ。
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サンディーの設定がすべて終わると
眩い光が闘技場に拡散していって、やがて収束する。
娘のサンディーは一糸まとわぬ姿で、
収束した光の中心にひっそりと佇んでいた。
実物の傾国の美女を見る機会があるとは思わなかった。
透き通る様な柔肌は白磁の様にきめ細かく純粋だし。
吸血鬼だから妖艶なの?この子はほんとに俺の子供?
現実離れしすぎた美しさに、目を奪われていると
サンディーから声をかけられた。
『とーちゃん、服着せてよー』
はいわかりました。とーちゃんなんですね。
15歳で今日からとーちゃんになりました。
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サンディーのスリーサイズは
B95、W58、H93で身長165cmだった
ではなくて、
娘であるにも関わらず、俺と同い年で15歳だった。
手持ちのローブをサンディーに着せてやると
背中に手が触れてしまい、
壮絶な快感が電撃の様に体を駆巡り行きそうになるw
これは、この子をめぐって絶対に戦争が始まるな。
本当にいるんだ、クレオパトラとか楊貴妃とか
そんな天上人のような美しさを持っている人が。
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衝撃的な現象を前にして押し黙るメンバー。
セリーヌがみんなを代表して発言を始める。
『ナッツ、えらいもの生んじゃったね。
絶対この子をめぐって国同士が争いを始めるよ。
というか、そんなレベルじゃないな…
この子は人と魔物両方を統べるものかもしれない。
あるいは人も魔物も両方滅ぼすものかもしれない。
みたところ、5つの魂が一つになったようだし
その中には魔王の血もはいってるしね。。。
サンディーの存在感で空間が少し歪んでるの
分かるかい?
まあ、私もこの子の母だから
責任の一端は担わせてもらうよ。
とりあえず私の後継者はこのサンディーで決まりだ。
あと、ナッツ。ご苦労様でした。
ずっと見ていたけど上手くやったね。
名前の選択もよかったよ。
サンディーは気立ての良い子だったから
表層の人格をこの子にして正解だったね。』
別にそんなことは気にしてませんでしたが
何も言わないでおこうw
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『サンディーわたしとくるかい?』
セリーヌが問いかける。
『ううんん。とーちゃんと行く、
心配だから、私が付いててあげる。』
とーちゃんですが、なにか?
『そうかい、わかったよ。とーちゃんを守ってあげな。
でも、あんたは私の娘でもあるからね
困ったときはなんでも相談しにきな。
それと私の後継者はお前だから
その自覚はもつんだよ。わかったかい?』
『うん。わかった。まかせて。かーちゃん。』
話はついたようです。
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サンディーと話していて分かった事がある。
それは、壮絶な美しい外見と違って
心は完全に子供だったのだ。
『サンディー、一番なにがしたい?』
『ゥーンと、美味しいもの食べたーい』
『お前は美味しい物を食べにこの世にきたのかい?』
『ぅーん、わかんないけど、
一番したいことは美味しい物を食べることー
二番目はキラキラした物を集めることー』
傾国の美女が発言すると空恐ろしく聞こえる。
この調子で欲しい物を手に入れていくのかな?
欲しいと言われたら国を差し出す王もいるだろう。
サンディーと話していて大体精神年齢が分かった所で
セリーヌが後を受けてまとめる。
『ナッツおまえ、この子をちゃんと育てるんだよ。
外見はこれだけど
中身はかんぺきに幼子だからね。
一から教育していく必要がある。
責任重大だよ。
わたしはあいにく子育てはできないんだ。
一番不得意なのが子供を育てる事だからね
というか、残念だけど育児だけは全く出来ないんだ。
だから、ナッツが育てるしかない。
お前が生んだんだから、責任もって育てるんだよ。』
ぇー。俺も15歳で独身なんだけどー
こころの中で叫ぶが、誰も聞いてくれないだろう。
『わかった。上手く育てられるかどうか
分からないが、
やるしかないから引き受ける。
全く自信はないけど父親は俺しかいないからな。
子は親を選べないし、親も子を選べない。
お互い運命と思って受け入れていくしかないな。』
『そうだね。母親は一応私だから
子育て以外のところなら応援するよ。
女の子だからその辺は男のお前では
出来ない所もあるだろうしね。
なに、すぐに父親の元なんて
離れるから。
なついてくれるのは今だけだよ。
直ぐにとうちゃん臭いーって言われるよw
いまだけ、いまだけ、
手をつないでくれるのも、
一緒にお風呂に入ってくれるのも
今だけなんだから
せいぜい可愛がってあげな。』
なんか、みょうに説得力があるな。
サンディーは俺の手を握ってくる。
俺もその手を若干強く握りかえす。
いつかこの手を放すときが来るのかもしれないが
それまでしっかり支えてやろう。
強くこころに誓って
サンディーの手を引いて行くのだった。
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サンディーの身元引受人、ではなくて、
サンディーの父親になった俺は、
ミカエル、ファンチェル、サンディーを引き連れて
セリーヌが提供してくれている迷宮都市の一軒家に
テレポートで帰ってきた。
『サンディー、今日からここがお前の家だ。』
サンディーは幼子のような好奇心を発揮し
キョロキョロ見回し、家中を探検し始めた。
『サンディーちょっと、こっちおいで。』
走り回るサンディーを呼び寄せる。
『この家で一緒に暮らす家族を紹介するから、
みんなで仲良くやっていこう。
まず、大きいお姉さんのミカエルだ。
サンディーの面倒を見てくれるから
よくいう事を聞くんだよ。』
『うん。わかった。ミカ姉ちゃんよろしくね。』
『サンディーちゃん可愛いね。仲良くしようね。』
ミカエルは抵抗なく受け入れてくれる様だ。一安心。
『この子は、ファンチェルだ。
サンディーと一緒の15歳だから、
双子の姉妹と思えばいい。
二人とも仲良くするんだよ。』
『ファンちゃんよろしくね。サンディーだよ。』
『サンディーちゃんね。サンちゃんって呼んでいい?』
『うん。仲良くしてね。』
これでいちおう自己紹介は終わったか。
女の子同士、仲良くやってくれるかな?
なんか、こうやって、家をもって
女性たちに囲まれていると
本物の家族になったみたいだ。
いや、これが家族というものなのかな?
独身貴族も今日で終わりかー
家族という物が分かった様な気がした瞬間だった
無事復活を果たした、かつての仲間
「サンディー」は吸血鬼だった。
しかも、想像を絶する「傾国の美女」だ。
世界を転覆させるほどの「器」を持つ美女
サンディーだが
精神年齢は年端もいかない「幼子」でしかない。
「幼子」の教育を任された「上杉奈月」は
かりそめの家族を作り
少女を迎えるのだったが・・・
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