神器
苦労して見つけた#蘇生士は
生まれながらのポンコツだった。
どうやって飼いならせばいいのか
途方に暮れる主人公「上杉奈月」
とりあえず天才領主セリーヌなら
何とかするのじゃないかと思い
迷宮の地下都市に行ってみるのだったが・・・
やっとのことで見つけたレアジョブの少女
ファンチェルの扱いに困った俺は、
かつての参謀、セリーヌ領主に相談するため
迷宮の地下要塞にテレポートでやってきた。
#テレポートのスキルについて少し説明すると
#迷宮冒険者や#領域冒険者なら誰でも使える
ごくありふれた一般的なスキルだ。
行ったことのある迷宮や領域にテレポートできる
スキルなので使い方によってはかなり便利である。
テレポートできる場所の数は、レベル依存なので
俺はまだ、3か所しか転移できないが
これから開発するので問題ないとおもう。。。
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セリーヌ領主に面会を求めると、
俺たちは謁見の間に通された。
すぐにセリーヌが#テレポートしてきた。
そういえば、昨日#迷宮冒険者になったんだね。
すでにレベル10なのが、スゴすぎるんだがw
『あら、ナッツもう#蘇生士見つけたんだ
無能なあんたにしては仕事が早かったわね。
でもレベル3か、低すぎるね。
多分蘇生したら術者のレベルが
反映されるから、
だからあんたのレベルが1だったんだけど
仲間を蘇生させるなら
このポンコツのレベルを少し上げてからに
した方がいいかもね。』
セリーヌのマシンガン口撃は今日も絶好調だ。
しかもファンチェルを一発でポンコツと見抜いたし。
『私は直ぐに迷宮に戻るから
ついでにあんたたちも送ってあげるよ。
40階層は危ないから
1階層から順番に肩慣らししてきな。
レベル3の魔物を召喚すれば、
勇者効果でレベル6相当になるから
いくらポンコツペアでもなんとかなるんじゃない?
それにしても、最近やっと死霊士長のヴァルケスに
弟子が出来たとおもったら、
このポンコツだったとはね。
死霊士ギルドの周りにやたらと
魔物が徘徊するようになったから
おかしいとは思ってたのよ。
このポンコツが全部原因だったわけね。
ナッツありがとね。一応お礼は言っとくわ。』
一を聞いて十を知るとはセリーヌの事です。
『セリーヌ何か「神器」もっていないか?』
俺はやっと一言口をはさむ。
『私がしゃべっている時は
口を挟まないでって言ってるでしょ。
「神器」ね、あるわよ。ガラクタばっかだけどね。
ほしいの?好きなのもってけばいいよ。』
セリーヌがアイテムボックスから
ざらざらと無数の「神器」をだしてくる。
『これ、もらっていいか?』
俺はその中から#勾玉をつまみ出す。
『金貨1枚ね。タダじゃないよ、タダじゃ。
しかし「神器」って役にたたない物ばっかだね。
あんたが持ってる#草那藝之大刀くらいなら
結構切れ味はいいけど。
「神器」って強化も出来ないし効果も大した事ないし
ほんとポイントの無駄使いよね。
まあ、来月からあんたが#ポイント分配するから
大丈夫なんだけど。今まで上げたレベルの分も
やり直したいくらいだよ。
まあ、すんだことは仕方ないしね。
じゃあ行くか。』
セリーヌは「神器」をなおしながら
テレポートしていった。
慌てて俺たちもついて行く。
『じゃあね、ここでお別れよ。
死なない程度に頑張りな。』
セリーヌは俺たちを地下迷宮1階に置き去りにして
自分達の戦場、40階にさっさと転移してしまった。
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『あっあのぉ。今の人が
セリーヌ領主さまですかぁ?』
ポンコツのファンチェルがおずおずと質問する。
『まあ、そういう事になるな。
ああ見えて結構いいやつだから、
安心しな。』
『でもぉ、わたしのことポンコツって言ってたしぃ』
それは事実だから仕方がない!
『大丈夫!この迷宮で魔物を倒して
レベルを上げて、一人前になれば
きっとセリーヌも見直してくれるから!』
俺は適当に励ましてみる。
『レベルってなんですうかぁ?』
『レベルは強さの事だよ
セリーヌもよく使うから
言葉になれていくんだよ。』
『ぅん。分かった。
セリーヌ様を呼び捨てにするんだねぇ。
あんたってバカ?殺されちゃうよぉ。』
お前はご主人様をバカ呼ばわりしてるけどねw
『セリーヌは昔からの馴染みだ。
前はあいつは俺の奴隷だったんだ。
今は立場が逆転したけど
仲間である事に変わりないから、これでいいんだ』
『ふぅん。そうなんだ。
だからってあんたのことなんて
全然見直さないからね。このド変態。』
はいはい。爆発10回以上するド変態ですよ。
多分昨夜ミカエルとの痴態を見てたんだろう。
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俺はセリーヌから金貨1枚で買った「神器」#勾玉を
覗き魔ファンチェルに渡す。
『ほれ、ファンチェル。
これをやるから身につけな。』
『あらっ。くれるの。ありがとー
これってさっきセリーヌ様から
もらったアイテムじゃない
うれぴぃー』
結構安い奴だな、今度この手で、ベッドに誘うか。
続いて、ポイント分配スキルを発動させて
身に着けたばかりの#勾玉を
16ポイントに還元する。
『キィーヤッ。
アクセサリー消えちゃったゎーァッ』
続けて、増えた16ポイントを使い
#必要経験値5分の1を活性化させる。
『大丈夫だ。アクセサリーは
お前のポイントになっただけだ。
これでお前は5倍速で
レベルアップする。
今やったことは誰にも言うな。
セリーヌにもだ。俺とお前だけの秘密な。』
『よくわかんないけどぅ、
またアクセサリー買ってよねぇ。』
わかった、今度はお前のカラダと交換な。
俺はこころの中でつぶやく。
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「神器」は人以外にも魔物が生み出すこともある。
迷宮や領域の主なら#勾玉くらいは結構落とすので
それほどレアという訳でもない。金貨1枚が相場だ。
だが#ポイント分配を持っている俺にとっては宝だ。
金さえ出せば、チートスキルを上乗せできるからだ。
「神器」の種類は今まで3つ確認されているつまり、
1、勾玉・・・・・ポイント16
2、八咫鏡・・・・ポイント64
3、草那藝之大刀・・ポイント128
八咫鏡は盾装備で、特殊な防御力を持っている。
草那藝之大刀は剣で、大抵の魔物は一撃で屠れる。
勾玉はアクセサリーで、魔力や魔法防御があがる。
ただ、「神器」は魔石によって強化できないので
実用性があまりない。
#鍛冶職人で、#万物鑑定スキルを持っている
セリーヌは、好きなだけ武器や防具を強化できるので
「神器」は単なるガラクタに見えてしまうのだろう。
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さて、準備は整ったので早速狩りをする事にしよう。
まずは俺一人で魔物の相手をしてから
ファンチェルの戦いぶりを見てみるのがいいだろう。
安全第一だ。
『ファンチェル、まずは俺一人が戦うから
後ろからついて来るだけでいい。
自分を守ることだけ考えてくれ。』
『はいな。勇者殿がんばーぁーれ』
ほんとに大丈夫なのか、こいつ・・・
『ファイアーショット!』
"ゴゥワッ"
『ギャー』
迷宮1階のゴブリンは全部魔法一発で燃え尽きる。
『ファイアーショット!』
"ゴゥワッ"
『ギャー』
『ファイアーショット!』
"ゴゥワッ"
『ギャー』
うーん。なかなか順調だ。
さすが勇者レベル3×魔術師レベル3だ。
魔法の威力は#知力で決まる。
魔術師レベル3の知力は本来12位だが
俺は5つのジョブを重ね掛けしてるので
#知力は18もある。
それに勇者のステータス2倍で#知力36。
#知力36といえばレベル20相当の
魔術師の力だ。
一撃で沈むのは当たり前だ。
ゴブリン溜りも範囲魔法で瞬殺だ。
『ファイアーレイン!』
"ゴゥワッワワッーゴゥワッ"
『『『ギョゥワーギィャー』』』
もう一丁。
『ファイアーレイン!』
"ゴゥワッワワッーゴゥワッ"
『『『ギョゥワーギィャー』』』
1階のゴブリンを数百匹倒し散々無双したあと
今度はファンチェルに戦ってもらうことにした。
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『ファンチェル、お前の出番だぞ
レベル3のオークがいるから
あいつを殺すんでゾンビにしろ。』
『ぇっ。私が戦うの?
あんた一人で十分じゃなぁあい?」
かなりやる気がないようだ。
『肩慣らししておけ、
いざというとき戦闘で役に立たないと困るからな。』
『はぃはぃーとっ
さっさとオーク始末してぇー。』
『ファイアーショット!』
"ゴゥワッ"
『グギャー』
オークを焼き尽くすとファンチェルが呪文を唱える。
『ツクヨミの、光りに来ませ、奈の国へ!魔物召喚!』
よしよし、蘇生の呪文じゃなかったなw
レベル4オークゾンビが立ち上がる。
ファンチェルちゃんいつの間にか
レベル4になってたんだね。おめー。
『ファンチェル、
今度ゴブリンに遭遇したら
オークゾンビで倒してみろ』
『大丈夫かな?オークすぐに死んじゃうよ。』
『勇者さまを信じろって。』
『ふぁーいぃ』
やる気ゼロですねw
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しばらく迷宮を歩いているとゴブリン3匹発見!
『ファンチェル、いけっ』
『オークゾンビ特攻だー死んでこいーっ』
1匹のオークゾンビが3匹のゴブリンに飛び掛る。
瞬く間に、オークがゴブリンを駆逐してしまった。
『!?なんで?意味わかんないーぃ』
『ファンチェル、これが勇者の力だ。
勇者はパーティーメンバーの力を2倍にするんだ。
だからレベル4オークはレベル8オークと
同じくらい強くなっている。
レベル1ゴブリンくらいなら10匹は余裕だぜ。』
『なんかぁ、すげーチートだね。
バランスグチャグチャー』
そのとおーりですが、なにか問題ありますか?
『じゃあ、どんどん行ってみるか。』
その後、オークゾンビでもゴブリン相手に散々無双し
その日一日の狩りを終えることにした。
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翌朝夜が明けるとすぐに
昨日の狩場にテレポートしてきた。
今俺の#迷宮冒険者はレベル4だから
4か所にテレポートポイントを設置できる。
『ねぇーご飯たべてないんだけどぉー
一日三食って約束したじゃないぃー』
『ファイアーショット!』
"ゴゥワッ"
『グギャー』
ファンチェルに凄まれたので
近くにいたオークを丸焼きにして差し出す。
『これでも食っとけ』
『奴隷虐待はんたーぃ!』
お前はご主人様を虐待してるけどね!
この迷宮は1階ゴブリン2階コボルト3階オークだ。
各階層におおむね同じ種族がいるのは
縄張りでもあるからだろう。
『ファイアーレイン!』
"ゴゥワッワワッーゴゥワッ"
『『『『ギョゥワーギィャー』』』』
『ファイアーレイン!』
"ゴゥワッワワッーゴゥワッ"
『『『『ゴギャーグワーギィャー』』』』
1階のゴブリンと2階のコボルドを
ポンコツペアで狩っていると
魔物がいなくなったので
仕方なく3階オークの住処へ移動する。
『ここは3階でオークの住処だ。
色んなジョブを持っているから気をつけてな。』
一応注意喚起しておく。
『またぁ、あんたが瞬殺するんでしょぉー
なんか、チートすぎてぇー
張り合いないゎー。
やっぱりぃ、狩りゎー
切った張ったじゃないとねぇー』
魔物に食われかけていたお前が言うんじゃないw
『ファイアーレイン!』
"ゴゥワッワワッーゴゥワッ"
『『『『グェーギャイーンゴギャー』』』』
オークのパーティーに火炎魔法をお見舞いするが
何匹か生き残ったようだ。
一撃では倒せなくなってきたな。
『ファイアーレイン!』
"ゴゥワッワワッーゴゥワッ"
『『グェーギャイーンゴギャー』』
二発目をお見舞いすると
大きな魔石が残った。
『ファンチェル、魔石だ。
これで魔物を召喚してみろ』
『はぃはぃーっと、
何が出るかなぁー
ツクヨミの、光りに来ませ、奈の国へ!魔物召喚!』
ぉっ。オークシャーマンだ、ラッキー。
『なにぃーこれ、
弱っちそうぅ』
『ファンチェル、お前は使えない奴だけど、
こいつはオークシャーマンと言って
パーティー強化呪文をつかえるんだ。』
『へぇーそうなんだぁ、あんたはスケベだけど、
それって美味しいのぉ?』
『美味しくはないけど・・・
パーティーメンバーの能力を
増幅できるから、結構重宝するよ。』
魔物を召喚出来る#死霊士は
もしかしたら凄いジョブかもしれない。
魔物のなかには、強化呪文職とかもいるから
色んな魔石を集めればいろんなモンスターの
能力を使う事ができるようになる。
しかし使い手がポンコツだったな。
その日一日は3階層でオークシャーマンの
強化呪文の力も借りて
散々にオークたちを狩りつくしたのだった。
『ファンチェル、オークシャーマンを
魔石に戻してくれ
家に帰ってご飯だ。』
『わーぃ。腹減ったぁーゎ。
ツクヨミの、光りに来ませ、奈の国へ!魔石化!』
魔石化したオークシャーマンをファンチェルに渡す。
『オークシャーマンの魔石はお前が持っててくれ。
間違っても#蘇生させるんじゃないぞ。』
『わたしぃ、そこまでぇー
馬鹿じゃないよぉー。』
かなり不安だが、早く一人前になってもらわないとな
「神器」を駆使して「チートスキル」を
つけまくる主人公「上杉奈月」だったが
ポンコツ#蘇生士は、ポンコツ#勇者を
変態呼ばわりするばかりだった。
何とか弟子のポンコツをベッドに押し倒す
算段を付けたいが、果たして解決の道は
見つかるのだろうか?