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第一話『昼休み』

「よーし、じゃあ今日はここまで。今日の分は家に帰って復習するように」


 予鈴の音と共に教師がそう口にして教室を出ていくと、クラスは一気に騒音に包まれた。


 お昼休み。それは、学生にとって昼食を食べる時間である。

 皆が仲良くなったグループで机を寄せ合い、食事を行う。

 この時間は友人との友情を深めるためにはとても効率的な時間だ。


「……」


 しかし、入学式初日でいきなり学校をさぼってしまった俺は完全にぼっち状態だった。

 周りを見渡せばもう仲良しグループは決まってしまったようで俺が入れる雰囲気ではない。


「はぁ、学食行くか」


 教室でぼっち飯などしていては俺のメンタルが耐えられない。

 俺は大人しく学食に向かうことにした。






「おお! 我が眷属ではないか!」


 学食に着くと、高々とした声が俺に投げかけられた。

 腰まで伸びた綺麗な金髪。屈託のない笑顔でこちらを見つめ、元気に手を振っている。


「……」


 俺はそれを確認すると、食券を食堂のおばちゃんに渡し、カツカレーを受け取った。

 そしてそのまま、窓際の誰もいない席に座り、食事を


「おい、なぜ我を無視するのだ眷属よ」


 始めようとすると、女生徒がそれを遮った。


「アナタハダレデスカ」

「なぜ片言なのだ?!」


 アリス・ラミア。俺が昨日桜の木の下で出会った女の子。


 日本人離れした容姿に名前。それは、日本の学校にとって異常(イレギュラー)な存在だ。

 まず、これだけの条件だけで、現在ぼっち真っ最中の俺はあまり関わってはいけない部類の人種なのだ。

 だが、それに加えこの女は――


「まぁまぁ、眷属よ。こんな美少女に話しかけられるのが恥ずかしいからって照れるな。素直にしておれば、我の温情を施してもらえるのだぞ?」


 そう、こいつは見るからに厨二病なのだ。

 確かに容姿は良い。

 包帯も巻いてない。眼帯もつけてない。

 ただの日本語を話す外国人なら躊躇はあるが仲良くやれただろう。

 しかし、言動が、言動だけが――――


「何を黙っているのだ眷属よ。魔力切れか? 我の魔力でも吸うか?」

「はい、アウトーーーー!!」


 俺は立ち上がり重いきり机を叩きつける。

 机に置かれたカツカレーが大きく揺れ、食堂全体が一気に静かになった。


「……すみません」


 集まる視線に謝り、静かに席に座ると、また食堂は何もなかったかのように騒がしくなった。


「いきなり叫んで驚いたぞ。我を驚かしたかったのか?」


 純粋な顔で見つめる彼女に俺はため息をつくと、カツカレーをほおばり始めた。

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