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対決 5

 助っ人(すけっと)帝釈天(たいしゃくてん)と何やら話しはじめた。

やがて話しが終わったみたいだ。

助っ人は、牛頭馬頭(ごずめず)の方にゆっくりと歩きはじめる。


 牛頭(ごず)は不思議でならなかった。

帝釈天は毒が回り呼吸ができず苦しいはずだ。

なのに、少しも(あわ)てる様子がない。

むしろ(わざ)とユックリと歩いているように見える。


 そして疑問もわく。

帝釈天様と助っ人は、精神干渉で会話をしているはずだ。

精神干渉なら、帝釈天様の側に行かなくても会話が出来たのではないか?

(わざ)と帝釈天様の所に行き、そしてまた此方(こちら)にユックリと歩いて来ているように思えてならない。


 助っ人は牛頭馬頭(ごずめず)の側にくると、ノホホンと話し始めた。


 「帝釈天が言うにはな・・・。

 いや、まてよ・・・、なんで俺はこんな事をしているんだ?

 俺は伝言板ではないんだぞ?

 なんで俺がお前等と帝釈天の会話の橋渡しをしなければらんのだ?

 う~ん・・、まぁいいか。

 お前等(おまえら)、俺に感謝しろ。」


 その言葉に牛頭馬頭はポカンとした。

なんで感謝をしなければならないんだと。

それを察した助っ人は、理由を話す。


 「負けを認めさせた者が決闘の勝者なんだろう?

 で、俺からみるとお前等は強情で負けを認めないバカ共だ。

 そして、今、帝釈天は(しゃべ)れない状態だ。

 お前等に負けを認めさせるよう説得したくてもできん。

 ならば帝釈天はお前等が負けを認めるまで《《いたぶる》》羽目(はめ)になる。

 お前等は、負けは認る意思はあるか?」


 牛頭馬頭はその言葉に助っ人を睨む。


 「なっ、認めんだろう?

 まあ、死ぬ間際まで行かないと分からん面はあるがな。

 俺から見たら、お前等は死を選ぶだろうな。

 俺にはどうでもいいことだが、帝釈天はそうではないらしい。

 でだ・・。

 俺のお陰でお前等は帝釈天と意思疎通ができた。

 そのお陰でお前等は五体満足のうちに帝釈天と合意がとれるというわけだ。

 感謝しろよ。

 まあ、俺はお前等に感謝されても嬉しくはない。

 が、お前等は俺に感謝をする恩義がある。

 そうだろう?」


 牛頭馬頭は渋々、助っ人の理由になっとくする。


 「で、なんでこんな面倒なルールにしたんだ?

 どちらかが死んだら勝ちにすればいいだけだろうに。

 帝釈天なら、お前等など簡単に始末(しまつ)できたはずだ。

 彼奴(あいつ)はいったい何を考えているんだろうな?

 まあ、いいか・・。

 帝釈天が言うにはな、引き分けでよかろう、だとさ。

 理由は今ここで決着をつけようとすると、お前等を殺しかねんからだとさ。

 《《おやさしい》》こった。

 でだ、一旦、ここは去るが、後日、お前等の組織は壊滅(かいめつ)させるそうだ。

 面白そうだから俺も参戦しようかな・・。

 参戦したらその時はよろしくな。」


 そう言うと助っ人は再び帝釈天の方に(きびす)を返した。


 牛頭(ごず)は、引き分けという言葉にホットした。

それと同時に矛盾する帝釈天の行動に疑問を持つ。


 帝釈天様は、自分から時間が惜しいと言っていた。

ならば、今ここで決着をつければいい。

なのに、決闘が引き分けなどという俺等の条件を何故(なぜ)()む?

勝つ自信がないからか?

ならば助っ人にきた者に手助けさせればいい。

ここは地獄界だ。

神なのだから、俺達との約定など守る必要はないはずだ。

毒が回った段階で、俺等との約定など一方的に破棄できるはずだ。

それなのに、なぜ助っ人が来たといういうのに手を借りない?

ここで俺達を消せば、全てが簡単に解決できるというのに。

忙しくて時間が無いと言った事と矛盾する。

言っていることとやっている事がまるで違うではないか。


 それに俺達の命を取ろうとはしないのは何故だ?

次元転送は大罪だ。

いくら知り合いの頼みだとはいえ、普通はありえない。

神である帝釈天なら、なおさら罪は見逃せないはずだ。

理解ができん。


 それから、帝釈天様が言う知り合いのジジイとは誰だ?

俺達の命乞いをしたという、そのジジイは?

帝釈天様を動かすほどの人物など心当り(こころあたり)が無い。


 いったい俺達の知らないところで何が起きているんだ?


 牛頭(ごず)の思考は堂々巡り(どうどうめぐり)する。

その牛頭の目に帝釈天が(うつ)る。

帝釈天は、(いま)だに倒れる様子がない。


 馬頭(めず)も帝釈天の様子を(うかが)っていた。

そして思う。

何故、帝釈天様は倒れん。

片膝をついていることから、毒が効いているのは確かだ。

あの助っ人も認めていたから、まずは間違いはない。

毒を喰らっても倒れない体なんてあり得るのか?

とっくに《《くたばって》》いてもよいというのに。


 牛頭馬頭が色々と考えているうちに、助っ人は帝釈天に辿り着いた。

そして帝釈天に肩を貸して立たせる。

立たせたと思った瞬間に二人は消えた。


 「なんて奴だ・・いとも簡単に次元転送かよ。

 それも自分だけでなく、帝釈天様も連れだってとはな。

 それにしても・・・

 何者だったんだ、あの助っ人は。」


 そう馬頭(めず)独り言(ひとりごと)(つぶや)いたとき、牛頭(ごず)が話しかけてきた。


 「馬頭よ、俺等は終わったかもしれないな。」

 「・・・・。」

 「だが、俺にも矜恃(きょうじ)がある。

 はいそうですか、次元転送は(あきら)めますなどとはいわん。」

 「ああ、当たり前だ。」


 「ともかく今は、全面戦争に備えよう・・。」

 「そうだな・・、まあ、備えるといってもな・・。

 帝釈天様には意味がないかもしれんがな。」

 「ふふふふふ、そうだな・・。」


 牛頭馬頭は互いに顔を見合わせ、苦笑をした。


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