ゴリラ
「ゴリラ・・・」
ふり返るとゴリラがいた。
ゴリラのような人間。人間のようなゴリラ。
「誰がゴリラだ。最近のガキは口の利き方も知らねぇのか!」
「ゴリラが喋った!!」
「だからゴリラじゃねぇ!」
ギリ人間のゴリラがどうやらお怒りのようだ。誰だ!怒らした奴は!!飼い主はどこにいる!!
「おい、失礼なこと考えてるだろ・・・」
ゴリラに心を読まれるとは俺も「怪しい奴がずっと入り口で立っているというから来てみれば変なガキが一人とは・・・まぁ面白そうではあるが・・・ちょっと試してみるか。おいガキ!ちょっとついて来い。」
さっきから聞いていればガキ、ガキと・・・ゴリラの癖に飼い主のかわりに躾をしてやろう
ちょうど俺も鬱憤がたまっていたところだからな
そう、テモテモのせいでイライラしていた。僻みだ!と言われてもいい!アイツばかり目の前のイベントに対してタイミングの良い所でお決まりのように現れドヤ顔で見せつけられる・・・
思い出しただけでもまた腹が立ってきた!!
俺がゴリラに促されるままついていった。
なんか周りが騒がしいが今は関係ねぇ!
こいつをとりあえずぶっとばしてやる!
俺の八つ当たりに協力・・・って噛ませ犬的なフラグじゃねぇか?と自分で言って思ったが
まぁいい!とりあえずゴリラの躾をするか
歩く事数分すると目的地に着いたようだ。
闘技場?のような場所で観客席もありチラホラ学生・・・カップルが・・・イチャコラしている。
目障りだ。
あいつら目障りだ。
怪我を治すふりをしながら美男美女が・・・
別に羨ましくもない・・・
全てはこのゴリラとの戦いの糧にしてやる。
ゴリラは木剣を持ち、こちらに木剣を投げてきた。
えっ?素手じゃないの?ゴリラは器用に木剣を振り回して強度をみている。
「よーし!まだこれなら大丈夫そうだな。おい、とりあえず本気でかかってこいや。ガキ」
「さっきからウホウホと吠えやがって。良いだろう!飼い主の代わりに俺が躾をしてやる!」
外の人間とは初めてだが・・・このゴリラなら腕試しにはちょうどいいだろう。
地面を蹴り、ゴリラを正面から斬りかかる
ギィンン!!
木剣ではならないような音が闘技場に響き渡る。
腕、頭、足、腹、テンポよく次々に狙うがこのゴリラ、器用に俺の剣を綺麗に受け流していく。
思った以上に剣技が繊細だ。てっきり見た目通りパワータイプと思ったがどちらかというと技巧派だ。
余計に腹が立つ!とはいっても冷静に対応していくが・・・
まぁ相手さんも様子みってことか
それならこっちも一段階ギアをあげるか。
トップスピードをさらにあげる。
まだ対応するか・・・このゴリラ・・・
「様子見は良いから本気で来いよ!それともこれがマックスか?」
「死んでもしらねぇからな・・・」
<<魔装>>
体内に流れる魔力を一気に圧縮し鎧のように全身を覆う。
「まさか魔装まで使えるとはな・・・これはちとやべぇかもな・・・」
「もう遅い…」
俺は一気にゴリラの背にまわり剣を振り下ろす。
バキッ!
おいおい、これも防ぐかよ・・・
だがお互いの木剣が衝撃に耐えきれず折れてしまった。
だが関係ない。折れた木剣を顔面目掛けて投げ、躱すゴリラの横顔に回し蹴りをくらわす
ドンッ!!!
これで決まったな!ってまたガードしてる。ってか笑ってるよ…
なんとなく嫌な感じがするな・・・
ってやべっ!
ゴリラの癖にコンビネーションを組んで右、左と嫌な所を狙ってくる
コチラも負けてられない!
何か周囲が騒がしいが関係ない!
「もうこれ以上はないのか?」
かれこれ1時間以上は殴り合っている。
このゴリラ意外に強い・・・外の世界ってこれが基準なのか?
辺境でもこのレベルはおかしいぞ・・・
そんな事を考えていると・・・
「充分楽しんだんだからな・・・そろそろ終わらすか・・・」
「ん?」
ゴリラを纏う雰囲気が変わった。
あっ・・・これ知ってる・・・
レオと同じ雰囲気だ。
そう思った瞬間、俺の意識は暗転した。
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