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プロローグ

「ジークすまない!私たちは行かねばならぬ!」


「僕も!僕も!僕も連れて行ってください!」


「何を言う・・・お前にはやるべきことがあるだろう

 それに・・・お前を巻き込む分けには・・・」

貫禄のある男はこぶしを握り辛そうな顔をする。


「ジーク・・・分かってください。私たちも辛いのです。」

女性の方も目に涙を浮かべている。


「父様、母様・・・」


僕は歯を食いしばる。

分かっている。自分がついて行けば迷惑をかける事に。

それでも一緒に行きたい・・・だが一家全員がいなくなることが

許されない事だというも分かっている。



「わかりました。僕は・・・私は父様、母様が戻ってきた際に

 誇りに思っていただけるような男となり、村の皆を守ります!」


「それでこそ我が息子!」


「ジークちゃん立派になったわね。」


二人はハンカチを目に当て涙をぬぐう。


二人のこれからの旅路を思うと自分の言っている事は我が儘だ。

子供が親と離れたくないと。


10歳のジークにとってはまだ親といたい年ごろだが

貴族というめで見れば親に甘えているわけはいかない。


「ジーク、私達との代わりとはなんだが・・・お前の身の回りの世話役。

 まぁ執事なんだが・・・雇ってある。今は準備でいないがもうすぐ戻ってくるはずだ。

 私達は急ぎの身だ、紹介したいとこだが今は時間がない。


 レオバルトという方が来たら、その方がお前の執事だ。

 仲良くやるんだぞ。」


「執事だからってこき使ってはダメよ。」


「分かっております!父様、母様。貴族と言ってもただの人間。

 偉そうにしては没落貴族とはいえコンティーナの名が廃ります!」


僕は胸を張って二人の目を見て言う。

没落という言葉に二人は目を下にそらすが、人を見下したりする極悪貴族のように僕がならないとは

安心して思ってくれたようだ。帰って来たら息子が糞人間になってるなんて喜ぶ両親はいないだろう。


貴族はそういった人間が多く、どうしても他人を見下すようになる奴が多い・・・

両親もそこを心配してるのだろう。


でも安心して欲しい。根本的にそういった貴族は成金系が多い。


だが我が家は・・・少し裕福な商人よりも劣っている。

驕れるほど裕福でもなく、むしろ周りのおかげで生活できてる家だ。


調子にのれば直ぐ反乱されあっという間にあの世いきだろう。


両親とは笑顔で分かれた。


立派に送りださないと二人に余計な心配をかけてしまう

僕は悲しい気持ちを抑え、二人が乗る馬車が見えなくなるまで手を振った。


「これから頑張らないと・・・それにしてもレオバルトさんはいつ来るんだろう

 まぁこんなボロ屋敷に来てくれるだけでいい人だとは思うけど・・・大丈夫かな・・・」

僕は屋敷を見ながらつぶやいた。



「本当に来てくれるのかな?」


自分の屋敷を見て余計に思う。

壁には蔓が巻き付き屋根から木が飛びだしている。


それに2階の窓ガラスは半分が割れっぱなしだ。


人が住んでいると言われなければ只の廃墟にしかみえない。


そんな不安をおぼえていると・・・



「あのー、ジーク様でしょうか」


「えっ!?」

僕は急に声を掛けられドキッと驚いたが

すぐに声のする方へふりかえる


そこには僕と歳の変わらない少年がいた・・・



「あっ!本日よりジーク様の下で執事をさせて頂くレオバルトでございます。

 よろしくお願いいたします。」


「えっ・・・あっ!ジークです!よろしくお願いします!」



「もっと年上の方が来ると思ってましたよね」

レオバルトはニコッと笑いながらこちらを見る。



「はい・・・すいません・・・まさか自分と歳が近い方が来るとは思ってもなく。

 いえ、別に気に入らないってわけじゃないんです!ただただ驚いて・・・すいません・・・」


「大丈夫ですよ!そういうのは慣れているので

 それに雇い主がそんなに謝らないでください。」


「すいません・・・」


「また謝りましたよ。」


「フッフッ・・・そうですね。これからよろしく頼むよ。」


「そういうことです。はい、私の方こそよろしくお願いいたします。」



レオバルトさんとは上手くやれそうだ。

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