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イデア  作者: 天汰唯寿
第1部 「反抗の旗」
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第九話 「声」

「これ以上、先には進ません!」

前方には大量の兵士が立ちふさがっている。


「僕が先に行こう!」

片手に持つ大剣を華麗に振って切り裂いていく。


数秒で、もう前方が開けてきた。



もう一息と、心が落ち着いてきた時だった。


斬撃の弾が飛んできた。

「な…!」


奥の方から無数に飛んでくる。

正確にこちらを狙ってきている。


レドは斬撃を弾き飛ばす。

いや、正確には叩き切ろうとしたのだ。

斬れない。

どれだけ力を込めても斬れない。



突然、斬撃がやんだ。

「そんな甘ったるい剣じゃ、俺の剣には勝てねえよ。」

同時に、声が聞こえた。

「こんな腕利きの剣士がいたのか。ノワール軍には。」


その男はゆったりと物影から出てきた。

そう、「影」からだ。


レドがそこに気付いていたかは分からない。



その風貌から察するに、どこかの傭兵弾だろう。

片目に眼帯をつけているところを見ると、

なかなか厳しい環境にいたようだ。



「さて、ここまで耐えきったのはお前が初めてだ。」

「そりゃどうも。」

「先にられるのはお前でいいのか?」

「いいや、違うね。先にられるのはお前の方さ。」



「おもしれえ。」

奴は姿を消した。というより影に潜っていったと言った方が近いかもしれない。


「こいつ、『能力アビリティ』持ちか。」


次に出てきたのはレドの背後だった。

すぐさま反応し、応戦する。が、押されている。

「おいレド!大丈夫か!」

「なんてことは無い。だが、『このまま』だとまずいかもしれない。」


レドは派手に吹き飛ばされ、住宅の壁に叩きつけられた。


なんともないらしい。

「仕方ない。アレは疲れるからいつもはしまってるんだが…」

「ほぉ?お前はまだ何かできるのか?」

「僕は騎士団長兼大臣だ。この程度でくたばっててどうするよ。」




一瞬、彼の背後に何かが見えた気がした。

瞬間、相手の身体が真後ろに吹っ飛んでいった。


燃えている。

やつの肉体が燃えている。


「ゥぐ…!なんだ、これは…!」


次に奴を見た時、そこにあったのは炎の竜巻だった。

「炎を操る能力…?」


天にも届きそうな勢いの炎は、数秒で消えた。

「こ…この程度じゃ死な…」

「周りをよく見てから言うんだな。」

言葉のままに辺りを見渡すと、無数の岩が浮遊していた。


「さっきのお返しだ。僕ができる極限まで尖らせといたよ。」

一斉に相手に向かって岩が飛んでいく。


「うわぁ…えぐ。」

ぽつりと呟いた。








ノワール城前にて



先ほどの彼がどうなったかは見なかった。が、まあ軽傷では済むまい。

「…でさ。この門、どうする?」

「そのコアで消し飛ばせばいいと思うよ。」

「また適当な…」

レドの返答を待つ間もなく、目の前の門を切り刻んだ。


「この先にラスターがいるといいんだが。」












ノワール城、最深部にて



「相変わらず、人材不足のようじゃないか?ネス。」

「心配される筋合いはない。もし仮に私が倒れようと奥の手はいくらでもある。」

「それは、君の幹部の事かい?」

「聞くぐらいなら、自分で確かめればいいだろう?」

「言うようになったな、お前。」

王宮の奥から、ひっそりと見つめる男の影があった。

その影は、笑っているような気がした。

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