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イデア  作者: 天汰唯寿
第4部 「終止符」
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第六十五話 「禁忌の血縁」

部屋を満たす夕暮れ色の弾幕。

数えるなどという野暮な事はやっていられない。


「追尾弾……?…ならば余計話は早い。」



両手に持った剣を腰に戻し、そして放つ。


反射(リフレクト)!!」


瞬時に弾の軌道が反転する。



「少し鈍いんじゃないかァ…?ノート!!」


反転した弾は彼の体の僅か外を行く。


「…!」



すかさず斬撃を一発。

しかし止められてしまう。


ノートは大地を蹴り上げ宙に舞い上がり、もう一方の剣を叩き下ろした。



しかし奴の姿は消え、それさえ当たらない。



「クッソ…どうしたらいい…!?」







彼の動きは完全に止まっていた。


必死に頭を回す。



どこかに不審な点は無かったか。







……







そこでふと思い出した。


彼の目は、見逃してはいなかった。






「…そういえば…確かに見えた……

…何者かが、ヤツの後ろに…!」






彼の目に映っていたのは、言うなれば背後霊のようなモノだった。


確かに、それが弾を(はじ)いたのだ。



守護霊(ガーディアン)…?だが可視化は…」







ノートの顔は青ざめた。


これに気付いた時点で、もうポーカーフェイスでいるのは不可能だった。








「……なるほど…。気づいたのか?その顔。」


「!!」



やっと捉えた姿は遥か後方にあった。



「…不思議だろう……?守護霊(しゅごれい)が実体化するなんて、な?」







「……まさか…守護霊(ガーディアン)は…!!」



「これ以上は話せないな。」






瞬間的に彼は視界から消えた。



聖柱(ホーリーピラー)


突如突き出す水色の光。

微かにノートの顔を掠めて、天井まで貫いた。



「ッ…!」


それでは終わらない。


続けて何本もの柱が上がった。




どうにか剣で防ぐ。

されどもその力に圧倒されて体勢を崩す。


ノートは打ち上げられた。



「仕方ない……反射(リフレクト)!!」


突き出た柱が90°曲がり天井を刺した。




「まず解くべき謎は二つ…奴の瞬間移動の方法と、守護霊(ガーディアン)について……

これが分からなければ勝ち目はないッ…!」



次から次へと柱を折り曲げ、床にも天井にも穴を開けていく。




「数打ちゃ当たるなんて訳は無いぞ?ノート。」




彼はいつの間にか、隣にまで接近している。



瞬間、拳を叩きつけられた感覚に陥った。


彼は1秒も無く地に落ちた。




この一連の流れを整理する猶予もない。


「ッが…!」



吐き出す花弁は、ノートの限界を表していた。



「さぞ苦しかろう?」


「まさか…さっきの一撃で詠唱曲(アリア)の能力を…!?」


「当たり。もっとも、身体能力を取ることは出来ないけどね。」




ノート自身は分かっていた。


かつての龍と戦った時に見せた、自己再生能力。

あの能力は、詠唱曲(アリア)のものであることを。



しかしそれが捕られた今、回復能力は常人と同じである。




消滅(ロスト)の名の如く…って感じか…!」



能力さえ()()させる事が出来る。

それが禁忌と呼ばれる由縁なのだ。



「あぁ…おかげで政府は俺らを毛嫌いした。」


「…?」


「分かるか?この痛みが。」



彼は歩み寄ってくる。

人差し指の先はノートの頭だ。


指先が怪しく燃え上がる。



次に起こり得ることは言うまでもないようだ。

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