第六話 「黒と白」
豆知識。光は闇で、闇は光で討つことができる。
「あそこは、かつての兵士たちが眠る場所なんだ。兵士どころか家臣も眠っているだろうね。
寝るならその手前の元城下町跡にしよう。」
「…は?」
「いや待て。なんでそんなところに兵士が死んでるんだ。
それに元城下町跡ってどういうことだ?」
「おや、知らないのかね?もともとこの世界は「グリ」という一つの国で構成されていたんだよ?」
「初耳だ。」
「なら、説明しなければな。…」
もともと、この世界は「グリ」という一つの国で構成されていた。
その国の政治方針について、国民や政治家達の意見は賛成派と反対派に真っ向から対立してしまった。
まあ、元が過剰に保守的すぎる国だったから不満もあったんだろう。
いつしかこの問題はどんどん加速していった。もう城内の人間でさえ止めることのできないほどにね。
そして、ある日反対派の人間たちが城に押し寄せ、ついには王を殺してしまった。
城内には反対派の人間もいたし、そいつらが情報を流したのかもな。
結局、賛成派は東にブランシュを、
反対派は西にノワールを築きあげて、完全に分かれたってわけだ。
ここで、ノートは気付く。
「…待てよ?なんで城内に反対派の人間がいるって言いきれるんだ?」
「それも知らないのか。私はその殺された王の息子だ。ついでに言うならば
ノワールの党首、ネスは私の実の弟だ。」
驚きの事実さえもさらっと話してくる。いわゆる爆弾発言である。
「…カミングアウトが過ぎるぞ。それ全部本当なのか?」
「ああ。」
平然と返してくる。
「はぁ…。」
もはやため息しか出ない。
まずこの目の前にいるブランシュの党首が持つ心の強靭さ。
長年戦っていると、弟が相手でも容赦ないのだろうか。
つぎに、話から察するに城下町には死体がない。
それはつまり、城下町にいた人間全員が草原で戦ったことを意味する。
今までこんな戦争があっただろうか。
その規模の大きさに改めて実感させられた。
「っと、そんな話をしている間に元城下町跡だ。」
この男は、ひょっとするととんでもない奴なのではないだろうか
一瞬、寒気が走った気がした。
元城下町跡
もはや、見る影もない。本当にこれが城下町として栄えていた町なのだろうか。
点々と、小さな民家が残っており、おそらく屋根を修復しても住めそうにない。
「記憶が正しければ、植物園が残っているはずだ。
ブランシュの住人がたまに来ているはずだからな。」
少し歩いたさきで、本当に植物園が残っていた。
天井にところどころ穴は空いているが、それでも使えないことはないようだ。
「奇跡的に残ったんだな。」
「ああ。そうだな。」
その日は太陽が沈むまでそこに滞在することにした。
ノワール城
「先ほど最後の兵士が城に到着しました。これで全勢力です。」
「ご苦労。君はゆっくり休みたまえ。」
「…俺は、この全面対決に入らないんですか?」
「君は最後の切り札に取っておきたい。もしものときの、な。」
「…」
黒服フードの男は不満そうな顔を見せた。
「そんな顔をするな。君の力を見込んでの判断だ。」
男はそのままその部屋を後にした。




