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イデア  作者: 天汰唯寿
第1部 「反抗の旗」
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第四話 「予感」

豆知識。コアはコンパクトに変形できる。(直径3cm程度の石に変形できる)

単刀直入のその質問に、彼は軽く深呼吸した後、悪戯な笑顔を見せながら言った。

「とある作戦に乗ってほしいんだ。ノワール軍との全面対決さ。」


一瞬耳を疑った。それと同時にいくつかの疑問が浮かんだ。

「…なんで、そんな話を俺にするんだ?」

これまた、いつも通りの直球である。

彼はそれでも動じず答えた。

「君を期待しているからだ。もっとも、立場を気にしないような君の言動は

 目につくものがあるがね。」

これは褒められているんだろうか。だが今はそんなことを気にせず続けた。

「他にも仲間はいるんだろ?」

「あぁ、だが君ほどの力は持ち合わせていない。」




「それで、だ。今回は私もなかなかに本気でね。

 この国の全勢力を集めてぶつけようと思っている。

 実際は何週間かあとに実行する予定だったんだが、君の来訪によって準備を早めたんだ。

 君が早めに帰ろうとしていたら悪いからね」

「そりゃどうも。」

「とにかく、こちらとしてもはやくケリをつけたい。

 出発は今日の夜だ。」










真昼間、

ノワール城にて、


「王。」

フードを被った黒服の男がささやいた。

その男の目はなんとも冷酷な目だった。なにか、黒い覚悟を心に決めているような、そんな感じだ。

「今日、ブランシュに向かっていった傭兵団なのですが、どうやら全滅してしまったそうで。」

「…全滅、だと?いったいあの国のどこにそんな死神が。」

王と呼ばれるその人は、それもまた、冷ややかな目をしていた。

凛々しく、だが、どこか寂しさを秘めていた。

「こちらもほとんど状況がのめていません。ただ、それを聞いただけで…」

「…そうか。」

しばらく考え、彼は言い放った。

「今すぐ、偵察兵を派遣するんだ。何か、嫌な予感がする。」

そのするどい勘は、見事なものであった。

「分かりました。」

冷静な一言で返答をすると、彼は部屋から出て行った。










日の沈む頃、

ラスター城前、


「そろそろ、出るとしよう。皆、武器は持ったな?」



さて、城を出てからどのくらい経っただろうか。

一行は森の中を進んでいた。

月に照らされ、多少気味の悪い光景が延々と続いていた。

本来ならもっと静かで落ち着く場所なのだろうが、

今は夜だ。しかも、金属のかすれあう音がとてもうるさい。

ラスター、ノートそしてその家臣たちが先頭を行き、

いつしか無意識にあくびが出た。

とにかく、長い。

(…はやく、森出れないかな。)

ノートはそんなことを考えていた。




森の影になじむようにその光景を眺めていた人間が一人いた。

最後尾を確認すると、その人間はどこかへ消えていった。


「こちら、偵察班。たった今、一行は森を通過しています。」

『…やはりな。その森を通過する前に少しでも戦力を削いでおいてくれないか?』

「全て、では駄目ですか?」

『いや、結構。』

「…了解。」

狂った笑みを浮かべ、その人間は一行へと向かっていった。






「…なあ、ノート君。」

突然、ラスターは声を掛けてきた。

「はい?」

「私は、なぜか嫌な予感がするのだが。」

「奇遇ですね。俺もです。」

これまたそのするどい勘は見事だった。

と、ラスターは馬を止めた。

「待て。」

「?」

「何かこちらに向かってくる。」

皆、耳を澄ましてみた。

確かに何かが走っている音が聞こえる。

しかも確実に近づいてきている。


「伏せろ!」

ラスターの声が静かな森に響く。

皆戸惑いながら身をかがめる。その時だった。

目の前に今にも吸い込まれそうな黒いエネルギー弾が飛んできた。

「はぁッ!」

その弾を王はいともたやすく打ち消して見せた。

その対応力、瞬発力は圧巻だった。


「さすがブランシュの王だ。こんなんじゃ倒れてくれないよな。」

そう言うと木の枝から何人か降りてきた。

よくある悪役の登場シーンのようだ。

一行の行く道を阻んだ数人の男女は、開幕から見下すような目で睨んできた。

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