第二十一話 「交わる剣」
「なんだこいつは?」
「こんな龍、記録にはありません!」
「じゃあ、コイツも負の感情からできた化け物の一種って言うのか?」
「恐らく、そうだと。」
こちらを向いて、龍は雄叫びをぶつけた。
もはや声なのに風を感じる。
吹き飛ばされそうな勢いだ。
「ハン、そんなに遊びたいのか?」
「待てその口調はあの有名なハリネズミと被る」
「いいさ。来いよ!」
答えるように爪を振るってきた。
勿論軽々と避ける。
「胴体、ガラ空きだ。」
最大限の力で龍を斬りつける。
余程の馬鹿力でソニックブームが起きている。
見事に命中した。
だが、少しよろけただけだ。
「何?!」
心なしか胴体が青白く光っている気がする。
「ノート、逃げろ!」
「分かってる!」
答えるが早いか既にコアを身構えていた。
気味の悪い雄叫びと同時に
口から光線さながらの青白い炎が吹き出された。
「反射!」
ほぼ真上に吹き飛ばした。
しかし龍の方には全く影響が届いていない。
すぐさま焦点を変える。
その位置は目の前だった。
一瞬、龍の動きが止まった。
理由はすぐに分かった。
クロブの弾丸が眼を貫いていた。
「お前だけじゃ勝てねえ!三対一で掛かるぞ!」
その時、ノートはクロブの方を向いていた。
次の時点でノートは龍の方を向いていた。
「さっきので傷が浅いって言うなら…」
人並み外れた脚で高く跳ぶ。
ノートの軌道が少し揺らいだ。
視線は一点を向いていた。
「居合斬『死の詩』!」
原理不明の加速で一気に眼の前まで移動する。
そして、龍の顔を斬った。
かに思えた。
正確には、剣先が龍の額を掠っただけだったのだ。
「硬い…!」
その重装備からは考えられぬ素早さで
爪が振り下ろされた。
煙が辺りを覆う。
瞬間、ノートは地上に叩きつけられていた。
「ノート!」
怪物は、まだ追い討ちを喰らわそうとしている。
「させないッ!」
細身の剣は龍の手を貫いていた。
「くらァーー!!」
あらぬ事かそのまま奥の柱まで
ジャイアントスイングルの要領で吹き飛ばしてみせた。
「荒れ狂う炎水!」
その態勢で魔術を放った。
螺旋状に放たれた炎と濁流は
龍を目掛け飛んでいく。
直撃だ。
「…!…まだ耐えるか……!」
レドには、その呼吸音が微かに聞こえていた。
未だ怪物には、決定的な一打が撃ち込めない。
折り目をつけた所でレドは振り返る。
「クロブさん!ノートは?」
「かろうじて息してやがる。
……ん?」
クロブが疑問を持ったのは無理もない。
脈が異常に早いのだ。
かと思えば、息もかなり吹き返してきた。
「…いてて。やってくれるじゃんか、アイツ。」
「ノート、無事なのか?」
「あぁ。全く問題なし。」
「……は?」
「ちょっとギア上げて行くわ。」
「いやちょ」
「弐の型『双竜』!」
大剣を正面に構える。
途端、背後に光を反射する物が現れた。
「剣?」
そう、剣だ。二本の剣だ。
一本は紅く、もう一方は蒼く光を反射させている。
「…あれは…。」
レドにはその正体が見えていたのかもしれない。
「あれが、ノートの守護者…。
そして、二つ目の力…!」




