第十四話 「戦慄」
人間は力を使おうとした。
だが、彼らには鏡が無かった。
彼は代用した。
彼の目を。
ノートは、いつぞやの図書館に居た。
色々な本を読み漁っている時に見つけた一節。
何故か目に付いて離れない。
「鏡…ねえ。」
さて、彼が自分の世界から抜けるキッカケとなったのは、外の騒ぎ声だ。
なにやらガラスの割れるような音もする。
耳を凝らした。
そして、ハッキリと聞こえた。
悲鳴だ。
思考も追いつかぬ間に、
ノートは一目散に外へ向かった。
ブランシュ城 玉座
「国王!」
扉がもはや爆発音さながらの音を立て開いた。
そこに居たのはレドだ。
よくよく見ると、息切れを起こしている。
「一体何事だ。」
「手紙が!」
「…まずはその手紙を読もう。」
手紙にはこうあったそう、
『やあ、ラスター。御機嫌いかがかな。
僕は今機嫌が良い。そこでだ。
これからノワール城からは出ない。籠城するのさ。
君達が再戦を望む時に来てくれ。それまで待とう。
いいハンデだと思わないかい?
まあ、そういう事で。
待ってるよ。未来の世界への干渉者。
P.S 贈り物は如何かな?』
「中々挑戦的なんじゃぁないか?アイツ。
にしても、
この贈り物ってのが気になるが。」
「あ、そういえば。」
「どうした?」
「城下町に怪物が出ました。」
「それを先に言わんかァ!!優先度違うだろ!」
城下町
「おいおい、結構強ぇんじゃねえか?」
目の前には三体の魔物。
いずれからも憎悪や悲哀といった負の感情を感じる。
恐怖。
心の星さえ消えそうな威圧感だ。
いくら斬れど、倒れる気配が無い。
気を抜いた一瞬。
敵は殴りかかってきた。
「なんだ、コイツらは…!
反射!」
ダメージごと拳を跳ね返す。
だが倒れない。
「なら、居合切 『死の詩』」
その場でゆったりと一回転し、敵に向け突進する。
それはまるで水流の様。
そして大剣を降ろした。
見事に三体とも上下真っ二つとなった。
そこまでは良かった。
あろうことか、上半身がまだ動いているのだ。
「は!?」
もはや対抗策は無いように思えた。
だが一つだけ有効手段はあった。
いや、正確には、
無意識のうちに炎を放出していた。
焚火ぐらいの炎だが、効果は絶大のようだ。
「今度は炎か…!」
こちらは相当な手応えを感じたように
相手も、表情の読み取れない顔だが、ギョッとしているのが分かった。
感嘆はさて置き、
敵を睨む。
完全に怖気付いたようだ。
頰が緩む。
「お前ら、まぁよくやってくれたなぁ?」
「国王こちらです!」
レドとラスターも遅れて到着した、が
「もう、後の祭か。ノート君?」
「アンタらが遅かったんだよ。」
燃える死体が三つ。そこ一帯の血の量は、激しい戦闘を物語っていた。
何故だか、その死体は笑っている気がした。
「さて、と。じゃ、片付いたのだから、ついでに話をしよう。」
「話ってのは、その手に持ってる手紙の事か?」
「その通りだ。」
「コイツはあの『影』の男から来たんだ。」
「へえ。」
「それでだ。」
「ヤツは俺たちが闘いを望むまで、自分は動かないそうだ。」
「それ鵜呑みにするのか?!」
「まあ待て。
もしヤツがそんな簡単に約束を破るような奴なら、もうとっくに襲いに来てもおかしくないだろ?」
ノートは、去り際にあの男に言った事を思い出した。
「まあ、確かにな。」
「ここはヤツの話を聞いて、力をつけるのはどうだろうか。
無論、しっかりと防衛陣は張っておく。」
「力をつけるったって、修行でもしろってか?
俺はお坊さんじゃないんだぜ?」
「アレを使えば、良い。」
「アレってなんだ?」
「七つの旋律だ。」




