第十二話 「もう一人」
「禁忌?なんだそれ?」
「そうか、説明しなければな。」
「ちょっとの間時間稼ぎだ。
反射する最上の光!」
途端に目の前が光に覆われた。
相当強い魔術らしい。
弾丸をもろともせず、跳ね返していく。
「さて、ざっくり説明しよう。
本来、「能力」というのは
時間の力、空間の力を指す。
だが、
その昔とある能力が生まれた。
それが、消滅の力だ。
それなりに知識のある人が使えば
何の害も無い。
まあやはりそう上手くはいかず、
多くの愚者が、これに目を付けた。
結果的に消滅の力は悪用されてしまった。
未知な力故に、
政府は苦渋の判断だったが
その力を途絶えさせた。
それ以来、
消滅の力は「禁忌の能力」と呼ばれ
今日には幻想の力とも言われた。」
「それで、どうして奴が消滅の力を持っていると?」
「あの態度やこれほどの破壊力を見れば、それ以外に検討が付かない。それに…」
「とにかく、今はアイツをどうするかが目的です。」
「あ、レド。居たのか。」
「いや、言ってる場合か。」
「話終わったかい?」
よほど退屈だったのか、いつの間にか奴は攻撃を止めていた。
「こんな攻撃じゃ力不足だったみたいだね。ヒビ一つ付いてないや。
とゆー訳で
消えて。」
既に準備を終えていたらしい。
彼の右手が怪しく黒く輝いている。
そして、確実にこちらを仕留めようとしている。
「汚なき革命、時既に遅し。」
体感した事のない風圧
加えて、今にも吸い込まれそうな程の闇
一瞬にして先ほどのバリアを粉砕した。
目の前が暗い。
死んでしまった。
と思ったが、よくよく考えると目を閉じていただけだった。
目を恐る恐る開ける。
もっと奇妙な事が起きていた。
先ほどのレーザーが止まっているのだ。
静止しているのだ。
やっと、君に交渉できる。
「誰だ?」
名乗る程の者じゃないさ。
それより
ノート君、このままじゃ死んじゃうね。
「俺に出来る事は無いだろ?」
あるさ、一つだけね。
君の持つ全てをこちらへ委ねてくれ。
そうすれば、君に力を貸そう。
「奴と言ってる事同じじゃねえか。」
奴とは違う。僕は君の味方さ。
「本当か?」
試してみればいいじゃない。
「…もし嘘だった場合、クーリングオフは使えるんだろうな?」
好きにすればいいさ。
「よし、乗った。」
それでは
僕の力をご覧あれ。
いや今は君の力かな?
世界に色が戻ってくる。
世界がゆっくりと動き出す。
「頼むぞ、何処の誰だか分からない人。
反射!」
ノートは剣を振るった。
するとレーザーは
90度曲がり、
天井目がけて飛んで行った。




