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大きな暖炉に揺れる炎。ふかふかとしたカーペットに4人仲良く座りながらりつきが古びた本を開いた。
「黒兎が案内人、いや人じゃないから案内動物?」
「なんでもいいんじゃない?」
「とみーもみやも変なところで話の腰を折らないで。りっきー続き読んで。」
「はいはい、その黒兎が案内した先にあるのが異世界に繋がるマンホール。で、猫月と呼ばれる日にそのマンホールの上に立って呪文を唱える。『我を正しく導きたまえ』ってなんだか恥ずかしいなぁ。」
「その猫月ってなんだろ?」
「そこ?まずマンホールって何よって感じじゃない?マンホールなんて世界中山ほどあるじゃない。」
「猫月はその異世界での月の呼び方らしい。こっちでは満月の事だね。」
「満月!お月見!お団子食べたい!」
「最早関係ないし。」
「ねぇ、りっきーそのマンホールについては詳しく書いてないの?」
「んー、ん、」
りつきは春に言われて何ページかめくってみる。
「「「「あっ!」」」」
数ページいったところで大きなマンホールの図面が出てきた。何の模様が分からないが神秘的と称していいのか微妙な絵柄なのは確かであった。
「芸術なのか芸術じゃないのかわからない図面だな。」
「天才の考えることは凡人には分からないね。」
夜も深まって早く寝なさいと声がかかるまで4人は異世界について話していた。盛り上がるのはこれからだと言うのに良い子はもう寝る時間。素直にそれぞれの部屋に行く廊下を4人で歩きながら明日の話をする。何時に起きる?帰りは?テストあったっけ?
それと、この話はまたゆっくりと。
廊下に並んだランプの灯りが消えて静まり返った屋敷。緩やかに水が流れ続ける噴水のある庭の草むらがガサガサと揺れるのは風のせいでしょうか?いえ、物語はここからです。今は楽しい夢を見ましょう。
おやすみなさい。また明日。




