閻魔帳
カイトは自分の左手親指を噛み切り、血を地面に垂らした。
すると、そこから大きな魔方陣が表れた。
そして魔方陣の中心から人の形はしているが、人間ではない鬼が現れる。
「なんじゃ。もう俺様を召喚するのか?」
「しょうがないだろ?相手は100万ぐらいいるんだからさ。」
敵の軍勢は近くまで迫って来ているが、2人は当たり前のように日常会話を始める。
「ちゅーことは、あれは全部俺様の餌にしても問題無いわけだな?」
「あぁだから、契約通り働いてもらうぞ閻魔よ。」
その間にバトル帝国の軍勢はカイトと閻魔を取り囲む。
「なんだなんだ!!1人増えたぞ!」
「きっと使い魔だぞ!」
「何人増えても関係は無い。押し潰すだけだ!」
じわじわと包囲網を狭めていく。
「ちょっとこいつらをビビらすか。閻魔あれを貸してくれ。」
「本当は簡単には使わせない所だが、まぁ良いだろう。」
そういうと、閻魔は自分で持っていた閻魔帳を手渡す。
「ありがとうよ。さて。誰にするかな。」
カイトは周りを見ながら、閻魔帳を開く。
「お前に決めた。名前はデービス・ニセルか。」
「あいつ何で俺の名前を知ってるんだ。」
デービスは自分の名前を言い当てられ、一歩後ろへ下がる。
「なるほどね。両親は健在。弟はバトル帝国で商店をしていると。子供は2人。中々良い人生を送ってるじゃないか。」
「おい!なんの冗談だ!それに何が書いてあるんだ!」
デービスは戦慄する。
仲間も知らないような情報をこいつは全部知っている。
身長、体重、嫁の名前、親の名前。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「まてデービス!!隊列を崩すな!」
デービスは、恐怖の余りにカイトへ単騎で突撃してしまう。
「デービス・ニセルお前は人間的にも悪くない。だが、俺の家族を泣かせた敵であるから、貴様は地獄行きだ。」
カイトは突撃してくるデービスを見ながら、閻魔帳のデービスの名前に斜線を引く。
その瞬間にデービスは糸が切れた人形のように崩れ落ち、2度と目を覚まさなくなった。
「おっおい。あいつ何したんだ?」
「デービスは死んだのか?」
「嘘だろ?手も下さずに人を殺したのか?」
デービスが死んだという恐怖は伝染していき、包囲網が広がっていく。
「おいおい。人間ってのは、心が折れるのが早いな。」
ゲラゲラと笑いながら閻魔はカイトを見る。
「人間なんてそんなもんさ。優勢の時は怖いもの知らず。だが、一度劣勢になれば、心なんてすぐに折れる弱い生き物さ。」
カイトは閻魔帳をもう一度広げると、ニヤリと笑いながら、閻魔に派手に暴れろとだけ言い残して、走り出した。




