屋根裏部屋序文
色々な時代場所、時にはSF、時にはコメディー。
雑多な短編集。
屋根裏部屋―
薄暗く、埃っぽい空間に色々なものが詰め込まれている。大きくは無い窓が二箇所、照らされた箇所だけは別世界のように明るい。
私が集めた物ばかりではなく、祖父と父の集めたものも多い。
歴史のある古い我が家は、祖父が建て、父に受け継がれ、更に私へと受け継がれた。
さすがにガタのきている所は補修し、一部はリフォームもした。不要になった家具なども処分したが、この屋根裏だけは別だ。
祖父、父、そして私。
代々集めてきたガラクタ、珍品の類。そういった思い出深いものばかりだからだ。
私は目に付いた小箱を手にとって窓の近くに寄る。この小箱は確か祖父のものだったはずだ。
祖父が語ってくれたいきさつがあった筈だが、どうにも思い出せない。中身が何だったかも。
「うぐ、ぬぐぐぐ・・・」
そもそも開けることが出来ない。寄木細工のこの小箱、おそらくは秘密箱、からくり箱と呼ばれるもののはずだ。決まった手順で無いと開けられない曲者。一種のパズルだ。叩き壊してしまうのも手ではあるのだが、祖父の思い出の品でもある。祖父の語ってくれたいきさつに開けるヒントがあったような気がするのだが・・・
私は祖父の語ってくれた物語を思い出してみることにした。