四章
お盆休みということで遅くなりましたが、楽しんでくれんると幸いです
「ん、っく・・・・。」
ようやく意識が戻り、目を開けてみると見たことのある自分の部屋だった。
「・・・っつつ、まだ体のほうは回復はしていないか。」
布団をめくり、今回のことをエリーシャに伝えるために急いで準備を始めたが、がちゃりとドアを開ける音が聞こえ、そちらのほうに目を向けると姫さんが驚いたように立っていた。
「シ、ンキ、さん。」
「よう、心配かけて申し訳ないな。」
ふるふる。と首を振り目をうるませ、口元に手を持っていき、抱きついてきた。
痛ぅ、思わず声に出しそうになったがそこは気合で押しとどめる。
「シンキさん!よかった目を覚ましてくれて・・・!」
「ありがとうな姫さん、ずっと看病してくれて。」
「いえ・・・、シンキさんが目を覚ましてくれてそれだけで・・・!」
顔をよく見ると目元にくまができていた。
きっと寝る間も惜しんで看病してくれた証拠なんだろうな。
「ほんとにありがとうな、姫さん。」
俺は姫さんの頭を優しくなでた。
するとどうでしょう、みるみると顔を赤くして俯いてしまったようだ。
これは見ていて面白いな~。
「ふぇぇぇ。シンキさんがこんなことをするなんておかしいです。
きっと偽者です。」
ズビシッと白くて小さい指を指してくるが冗談のやり取りなのでシンキはおもむろに、姫クレアを抱きかかえベッドに寝かせた。
「・・・・え?シ、シンキさん?ここは学校ですよ?
こんなことをきゅ、急にされてもまだ心の準備が・・・。」
「ばかか。」
「あぅ。」
姫さんがおかしなことを言ってきたのでとりあえずチョップ、頭を抑えて涙目で上目遣いに見てくる。
・・・見た目もかわいいので破壊力は抜群なわけで。
「そんな冗談を言ってる場合か、俺の看病のせいでずっと寝てないだろ?
そんなふらふらの状態でがんばるんじゃねぇよ。」
「えへへへ、やっぱりばれてましたか?
ではお言葉に甘えてゆっくり休むとします。
それと、シンキさんはいなくなりませんよね?」
「当たり前だろ、ここにいてやるよ。」
「いえ、それはうれしいのですが、そういうことじゃないのです。」
そういうことじゃない?一体どういうことなんだ・・・
「夢でたまに見るんですよ、シンキさんが私達にいえないことに巻き込まれて一人で解決をしようとしてるんじゃないかって。」
俺は思わずドキッとしてしまった。
顔には出してはいないはずだが、姫さんにはたまに恐ろしいくらいの勘が怖い。
本当のことも言えないが、ただただ何も言わずに姫さんの頭をなでる。
「もし、もしもの話だ。」
いずれはばれてしまうかもしれない、そこはかならず時間が解決してくれる。
少し遠くを見るようにしてシンキは語る。
「俺が実は世界の敵でこの世の中を変えようとするとしよう。それを誰にも言わず、ただ一人で秘密裏に動いていたら姫さんは俺のことを止めるか?」
「いえ、私はきっと止めはしないです。」
何気なく言葉遊び見たく適当な事を言ったのだが、驚いたことに真剣に姫さんは考えているようだ。
「ですが、これだけは言います。」
まるで今の俺の状況が知っていて、知っているにもかかわらず気づかないふりをしているかのような哀しい顔で。
「必ず私のところにもう一度会いに来てください。」
そういって、姫さんは限界が来たのかベッドに倒れこむようにして眠った。