四章
どうにか今日中にできてよかった
元魔王の経歴を持つエクレから俺に力が欲しいのかと聞いてきたが、リスクなしで力が手に入るわけではないはずだ。これから先、あのグライナーがいつ襲ってくるかもしれないと考えると守るためには手に入れないといけないかもしれない。
だから、俺は・・・・・・。
「そんなものはいらねぇよ。」
そういって、エクレからの話を断った。
その答えに満足していたのかわからないがニヤニヤとしながら聞いてきた。
「どうして欲しくはないんじゃ?
今度こそ死ぬかも知れぬぞ?」
「確かにそうかもしれないな。だけどさ、敵はあいつだけじゃないし、久々に手ごたえのあるやつが現れたんだ。これからだって。」
少し、自分の気持ちをしゃべってはいないけど、どうせわかってるはずだしな。
「とりあえずは合格じゃな、実際のところ力が欲しいとか言われても無理じゃしな。」
おい。
ちょっとでも欲しいなぁとか思っていたのに欲しいとか言い出したらどうなるんだよ。
恥ずかしい思いをしなくてよかったよ。
「ところでさ、この空間からいつになったら出られるんだ?」
「え?おぬしは死んでるはずじゃぞ?」
・・・・・・え?いやいやいや!
「何をそんな焦っているような顔をしておるんじゃ、軽く致死状態だから大丈夫じゃ。」
「そうなのか、まったくひやひ・・・・・・それもまずねぇか!?」
「そうじゃな。」
・・・・・そんなに冷静に返されましても。
「それじゃ、今の俺はどんな状態になっている?」
「正直言うとじゃ、かなり危険な状態じゃ。自爆なんてしながら意識があること事態が珍しいんじゃが、ほんとに運がよかったというところじゃな。」
「なんとかして戻らないといけないのに、無駄に時間が過ぎていくのは嫌なんだが・・・。」
俺が最後に使った魔法の威力を考えると校舎の一部が壊れているはずだから何かしらの対処に遅れているはずだ、姫さん達が何かやろうとしていたみたいだしまきこまれなくてすんだというのは運がよかった。
あのグライナーもこの程度では死んだわけではないだろうし、マンドラゴラを何に使うのかも気になる。
「・・・オホン。」
一番は俺の意識を復活させることだな。このままだとまじに死んでしまう。
「ごほん!」
・・・次に帝国が何を仕掛けてくるのか、対処が後手に回るのはきつい。
「あ!あ~~!なんだったかな~!」
「うるせぇよ!」
「無視をするのが悪いんじゃ!」
「だ~!聞いてやるから一体なんだ!?」
「どうもシンキ自体に影響があるぞ?」
「なに?」
おれ自身に何か起きてるって事か?一体何が・・・・・って!
だんだん俺の体が薄くなっていきやがる
「おい、これって一体?」
「どうやら意識が戻るみたいじゃな。」
つまり、死ぬことが免れたということか。
にしても一体誰が・・・・・・?
「それはお主が起きたときにわかるはずじゃよ。」
・・・・・・ん?
なんでエクレはふくれっ面で言ってるんだ?
とにかく、おきてからはやることがたくさんある、ひとつひとつ終わらせないと。
だんだんと意識がなくなってくる。
エクレに何かを聞こうとしたがそこでブラックアウトした。
「・・・シンキよ。これからが正念場じゃぞ、帝国軍が動きつつある。
とめることが出来るのはおぬしくらいじゃ。早く魔法が使えるようになるといいのじゃが。」
そういってエクレは手の中にあるシンキの魔力を見つめていた。