イントロ~三年前~
「ハッ、ハッ、ハッ・・・」
暗い、昏い、闇の中。具体的にいえば日没から一時間が経過した、廃工場跡を、僕は全力疾走していた。
追跡者から、逃れるためだ。
「ゴホッ、ゴホッ・・・うう・・・」
足が重い。頭がぼーっとする。見た目から運動してそう、と言われる僕だけど、これが運動部と文化部の格の違いって奴なのか、体力はもう限界だった。
止まったら死ぬ。
もはや気力のみで走っているようなものだ。
「クソッ、クソッ!なんで、なんで僕がこんな目に・・・」
ゲホゲホと咳き込みながらも、お決まりのセリフで悪態をつく僕。
しかし、絶望はすぐに追いついた。
ドウ、と轟音が背後から響く。でもそんなこと、知ったこっちゃない。そう思い、勢いよく右足を踏み込むが――。
そこには何もなかった。
「ッッッ!?ァ、ガアアアアアア!!!」と、叫びながら、僕は勢いよく倒れこむ。右足がないから、いや、吹き飛ばされたから、という理由もあるが、やはりその激痛により、僕は血の止まらない右足を押さえ泣き叫ぶ。
「流石はS&WM500。パワー厨にはたまらない一品だね」
突然、そんな声が背後から聞こえてきた。無様にも身体を丸め、痛みに悶絶する僕の耳にも、なぜかその男の声は入り込んできた。
「う・・・ぐ・・・」
「おや、もう泣き叫ぶのはやめなのかい?もったいないなぁ。いや本当・・・にィッ!」
「おぶっ!」
瞬間、男は僕の鳩尾につま先を突き刺した。いや、この場合、蹴り上げた、という表現のほうがきっと正しいのだろうけど、やっぱり男は突き刺した。
「ふう、やっぱり最高だね、この仕事」
「・・・・・・」
もはや口から出るのは胃液のみの僕に、男はサディスティックな笑顔を見せた。
男は奇妙な格好をしていた。カトリックの教会でよく見かけそうな神父の服を着て、首には馬鹿みたいに大きな十字架を下げている。毎日こんなことをしているのか、神父の服は真っ赤に染まっていたが、わずかに残った染まりきっていない部分から、元々あの服は白かったのだろうと推察できる。
さっき蹴られたときに気付いたが、足に鉄板が仕込んであるようだ。
暴力神父め。
「ア・・・アンタ・・・」
「ん?」
よかった、まだ口は動く。僕は神父に質問した。
「アンタ、何モンだよ・・・」
「僕?僕はね、ハンターだよ」
「・・・・・・」
「うーん、そうだな。僕の専門はヴァンパイアの駆逐。ちょうど、君らみたいなのも相手にするけどね」
「いや、待て」僕は辛うじて口を開く。「僕は人間だ。生物学上、確かに人間と断定できる存在だ」
「君は、両親の記憶はあるかい?」
・・・は?
話が飛んだな。
「・・・父親の顔は見たこともない」
「そいつが世界的に有名な、絶賛指名手配中の、伝説の『吸血鬼』としたら、君は信じるかい?」
つまり、こういうことだろうか?
「吸血鬼の血を根絶やしにするため、アンタは半吸血鬼の僕を殺そうとしている」
「Exactly.そして、サヨナラだ」
直後、新月の晩、明かり一つない廃工場地帯に、数発の銃声が響いた。
はいさーい!てな訳で始まりました、この妄想!
いろいろと疑問の残るイントロだったかもしれませんが、誹謗中傷はご容赦を。
基本、この小説のモットーは、「チートを以てチートを制す」ですからねえ。こういうの嫌いな人は、見ないほうがいいかも。
あ、そうそう。一応オリジナルではあるけど、いろんなアニメや漫画から吸収してるから、そう言うのを探すのも楽しいかも。
最後に、この小説にはやたらめったらバトルシーンがあるけど、血とかたくさん出るから、それ注意ね