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かなりグロいです(ToT)


苦手な方は、この段階でスルーしてください

m(_ _)m



俺の人格が疑われてしまうのではないかと心配なぐらい、【グロいです】(^_^;)

「狂ってる……」


現場に到着しての第一声はこれだった。


『商店街の路地裏に若い女性の変死体発見』

との出動要請が入り、パトカーで急行した結果見た物が、これである。

確かにそれは、女だった。

見た目一発で『女』と断言できる体格。

間違い無いようだ。


だが、顔が判らない。

本来なら、顔があるべき場所にある物。

それはもはや、顔と呼ぶことが出来ない代物だった。


死体の顔。

そこには、生前の面影は一切無い。


どのような容姿だったのか、どうにも想像がつかないほどに、惨めに潰されていた。


「女の子なのに……。

こんなの酷いです!


なんも出来ない女の子をこんなになるまで素手で殴り続けるなんて!!」


ボコボコだの、ボロボロだのといったレベルではなく、ぐちゃぐちゃだった。


皮膚は裂けて捲れ上がり、そこから脂肪分や、何やらドロドロした半固形状の体液と一緒くたになって、潰れて千切れた肉がはみ出している。

歯は、全てへし折れ、飛び出した眼球が、頬の上でむごたらしくひしゃげていた。


「あのぉ、あたしこれ、女の人だと思うんですよぉ」


声をかけてきたのは鑑識官の羽沢夏世だ。

伝説の鑑識からいろはを学び、それを遺憾無く自分の知識として吸収している。


「あのね、夏世ちゃん。

そんなこたぁ見りゃ判るのよ。

こんな立派なおっぱいしてる男なんて、居る訳無いでしょ?」


こう受け答えたのは先輩刑事の加藤早百合だ。

この二人、あまり仲が良くない。

先輩曰く、

「皐月の友達はみんな嫌い!」

ということらしい。


皐月というのは、先輩と同期の女刑事で、総ての言動が芝居がかって見える、なにを考えているのかさっぱり得体の知れない女だ。

正式名称を岩国皐月という。

階級は【警部】だ。

先輩の階級がまだ【警部補】であるため、それが二人の関係に油を注いでいる。

そのとばっちりで、夏世にも先輩の、皐月に対する嫌悪感が延焼してしまっているのだ。


「そんなの、あたしだって見て判りましたぁ!

あたしが言ってるのはぁ、犯人のことなんですぅ!」


《伝説ニ世の御手並み、拝見させてもらいますか》


あたしは、傍観を決め込んだ。


「いいですかぁ、被害者のお腹、濡れてるのは解りますねぇ?」


確かに、濡れている。

着衣に広がった染みの範囲を見る限り、かなりの量の液体を浴びたものと思われる。


「わたしもそれは気になってたのよ。

でも、それがなんだって言うの?」

「加藤さんはこれ、なんだと思いますかぁ?」


先輩はどう答えるのだろう。

あたしなりの答えはもう出ていた。


「何って……、知秋ちゃんはどう思う?」


知秋とは、あたしの名前だ。

正式名称は荒居知秋あらい ちあきという。

入庁したてのまだまだ至らないヒョツコ刑事だ。


「あたしは……、まだまだ考え中です。

先輩からどうぞ」


取り敢えず先輩の顔を立てておく。


「あたしは……、犯人のおしっこか精液だと思ってたんだけど」


あたしの考えは、そのどちらでもなかった。

「ええ、確かにセイエキではあるでしょうねぇ。

でも米諞に青じゃなくて、立心諞に生なんですぅ。

被害者のお腹、濡れてるとこの臭い、かいでみてくださぁい」


いちいち間延びするのは鬱陶しいのだが、やる気になった夏世はことごとく語尾が間延びするのだから仕方がない。

一度鬱陶しいと文句を言ったら大泣きされたことがある。

どうにも出来ないので、もう間延び矯正は、諦めてしまった。


「かげって言われても……、もうこの辺から充分におしっこ臭いしねぇ。

あまり臭いは参考にならないと思うんだけど」


確かに、臭かった。

余程恐ろしかったのだろう、被害者はこれが本当に人間の、しかも、女がする量なのかと疑ってしまうほど、大量に失禁してしまっていたのだ。


そして、被害者の体内から放たれた尿は、その不快臭をなんの情けも容赦も恥じらいもなく、辺り一帯に遺憾無く撒き散らしていた。


文句を言いながらも、先輩は臭いをかぎに行く。


「あーったく、くっさいわねー……」


そして、失禁跡を踏まないように気を付けながら、遺体の腹部に顔を寄せた。


《!!》


あたしは、先輩の表情が険しくなったのを見逃さなかった。


いったい何があったのだろうか。

先輩は、眉間に深い皺を寄せ、狂ったように鼻をひくひくと利かせている。

そして、おもむろにあたしに振り向き、告げた。


「知秋ちゃん、これ……、臭くない」


その答えは予測できていた。

間違い無く、染み自体は無臭なはずだ。


「そうなんですか!?」


芝居がかっていなかったか心配だったが、先輩の手前わざと驚いて見せた。

あたしに出し抜かれて機嫌を損ねたことは、一度や二度ではない。


「そうなんですよぉ、臭くないんですぅ。

あたし、中肉中背の、平均的な日本成人女性ですぅ。

ちょっと被害者をぶん殴りやすい位置に座ってみますねぇ」


そう言って夏世は、腕との位置関係を調整しながら、被害者に馬乗りになった。


「ほらぁ。

この位置に来るんですぅ」


染みは、夏世の股間を中心に据えるような位置関係で広がっていた。


「これって、あれ……、女がこの女の子ぶん殴ってる最中に悦に入って潮吹いちゃったってこと……?」


この問いに対して夏世はこう答える。


「あたしはぁ……、そう思いますぅ……」


そしてそれは、あたしが出した答えでもあった。


初めから考えてはいたことだったが、実際に言葉として聞いてみると、更に現実味が増し、体が震え出した。









あたしは考える。

実際にこの状況になるには、被害者と犯人の間でなにが行われたかを。


まずは、犯人が被害者をここに連れ込む。

これはお互いに女なのだから、さほど難しいことでもないだろう。

そして、次は、どうしたのだろうか。


……、一番有り得る可能性は、ここに連れ込むなり、殴り倒してしまうパターンだ。


だが、実際にこれを行うには、少しぐらいは警戒している相手をそれでも殴り倒すことが出来る圧倒的な素手戦闘能力が要求される。


また、そんなことが出来るのは、空手家か、ボクサーか、プロレスラーぐらいしかいないと断定していいだろう。


どれも、女であるということを踏まえると、かなり絞り込むことが出来そうだ。


この手の快楽殺人というものは、暫く続く傾向があるという。

なんとしても、この一件だけで終わらせたい。


「知秋ちゃん、この一件だけで……、終りにしようね!」


あたしはみんなの前で、そう誓いを立てた。



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