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第二話 追放

俺が目を覚ますと、そこは薄暗い森の中で、そして目の前には——


灰色がかった銀髪に、生意気そうな金色の瞳。

黒と白を基調にした動きやすそうな服装に、短いスカート、ブーツ。


間違いない、アースナイツの主人公——アスナだ。


でも妙だな…実物も、ゲームと同じ3Dアニメ調って、どゆこと?

……って、待て。

俺の作務衣を着たこの身体も3Dアニメ調になっとるやないか!


ああ、なるほど。

これは、夢だな。

おそらく俺は、階段から落ちてそのまま気絶でもしてるんだろう。

そうかそうか……むっふっふっふ……。

夢となれば……やりたい放題だ!


とりあえず、まずはアレをやろう。


「問おう。貴方が私のマスターか?」


決まった!!

召喚と言えばこのセリフだよな、やはり。

借りたぜ、俺のグランドセイバーよ。


「……マスター?」


怪訝な顔で俺を見つめるアスナ。


まあそうだよね。

旅人だよね。知ってます。

君がそのスカートの中にしっかりスパッツ履いてることも、知ってます。

そして、その後ろに立ってる連中も、知ってます。


火属性アタッカーのシュミット。

デカい斧持った大柄の男。


水属性ヒーラーのエメリア。

杖持った小さい可愛い系の子。


風属性サポーターのベローチェ。

気だるそうにしてるけどめっちゃ有能な子。


うん、バランスの良いパーティだ。

というか、俺のパーティ。

で、俺はアリスを引いて、エメリアとチェンジしようとしてましたとさ。


すると突然、アスナの目の前に透明のボードらしき映像が現れ、アスナはそれを人差し指でポチポチし始める。

なるほど、メニューボードね。

早速俺の性能チェックってわけですか。


「無属性アタッカー「奈依」。

スキル1、切り。敵単体への無属性斬撃攻撃。スキルレベルアップで威力上昇。

スキル2、そばがき生成。材料なしでそばがきを手の上に生成できる。スキルレベルアップで生成速度上昇。

スキル3、敵全体に確率で100倍そばアレルギー付与。スキルレベルアップで確率上昇。なお、HPが満タンの敵には常に0%。

スキル3が付与されている敵にスキル2で生成したそばがきを食べさせると、敵は即死する。

………ゴミね」

と、アスナは言った。


ゴミ?

おいおい、いくらなんでもその言い方はねーだろ、アスナちゃんよ。

でも……これは、俺がよく言ってた言葉だな。

因果応報ってやつか。夢の中とは言え。

まあでも、この子はわかってない。

そばアレルギーの恐ろしさを。

それが100倍というのがどれほどチートなのかを。


「俺はボス戦で使えると思うよ?雑魚狩りはシュミットで良くねだけど」


「…あぁ?てめぇ、なんで俺のこと知ってる?それに、まるで俺がボス戦では使えねぇみたいな言い草だな?おい」

と、シュミットがキレながら詰め寄ってくる。


「ボス戦で使えないとは言ってない。けど、雑魚狩りの時ほど輝かないってことだよ」


ドン!

と、シュミットにどつかれる。痛い。

……え?痛い?どゆこと……?


「……まあ確かに、シュミットの全体スキルに比べて単体スキルがパッとしないのは事実だけどさぁ、私のバフ入れれば全然使えるよぉ?」

と、気だるげに言うベローチェ。


「はい。それに……召喚されていきなり私たちの仲間のことをそんなふうに言うなんて……礼に欠けると思います」

と、悲しそうに言うエメリア。


そして——

「ボスに即死が効くわけないでしょ?即死スキル持ってる人なんていくらでもいるの。しかも、仮に聞くとして強いボスにそばがき食べさせられると思う?そんな余裕があるなら、そもそも即死に頼らずとも楽勝でしょうね。そして頼みの綱の斬撃も無属性。汎用性がある一方、弱点を突くのが基本のボス戦では価値が薄い」

と、正論にも程がある正論をアスナが言い放った。


「まあ、確かに。そうだね。はっはっは!」


俺のこの態度が、彼らの堪忍袋に即死級のダメージを与えたようだった。


「なあアスナ。こいつ、気にくわねぇ。控え空間に送るの、やめねぇか?二度と顔も見たくねぇんだが」

「さんせー」

「私も…それが良いと思います」


三人の提案に対し、

「言われるまでもないわ。召喚されて名乗りもしない無礼な貴方。ゴミって言ったのは、そういうことよ。じゃ、ここでお別れよ。さようなら」

と、アスナは応え、四人は俺に背を向けて森を去っていく。


待て待て待て待て。

夢とは言え、こんな魔物が出そうな森に一人はキツいって。

それに…さっき、確かに痛かった。


「ごめんごめん!さっきはつい——」


バコッ!!


シュミットの鉄拳が俺の頬を打つ。

骨いったわ、これ。


「あ"ぁっ!」


そこで終わるかと思いきや、


バコッ!!ボコッ!!バコッ!!ボコッ!!


仰向けで倒れる俺の顔に更なる鉄拳ラッシュが降り注ぐ。


「…………」


痛い。

どころではない。

痛いを通り越して、感覚がよくわからなくなってる。

これ——

夢じゃないわ。


「ちょっと……やりすぎよ、シュミット」

「……一応、回復しておきますか?」

「えぇ、いいよ」

「回復なんてしたら許さねぇぞ?エメリア」

「……はい」

「さ、行きましょう」


こうして、俺のパーティは、俺を森に捨てて消え去っていった。

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