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卑弥呼の世界  作者: 藤巻辰也
卑弥呼の世界
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第4章 西国の青い空

前半は東国からで、伊那部たちが香澄の里を出発するまで。後半は、西国の奴国を中心とした話。

第1節

 伊那部の居館は、赤ん坊(遼瀬依)が攫われたことで大騒ぎになっていた。

 「ムキヤ、いるか」

 「はい、ここにいます」

 「リョウセイを探してくれ」

 「今、手分けして探しています」

 武斬弥の仲間は、蘇賀の里から埴崎の里辺りまで、手を伸ばして遼瀬依を誘拐した犯人を捜査した。以前から草刈の里に派遣していた仲間から、怪しい男を捕らえたらとの連絡が入った。でも、遼瀬依君の姿は、いまだに見つらなかった。それもそのはず、黄咲美姫が連れ去り、丸木舟の中だった。

 「伊那部さま、怪しき男を捕らえました」

 「怪しき男とは リョウセイは見つかったのか」

 「でも、誘拐犯の一味には違いありません」

 「ここへ連れて来なさい 直接聞くことにします」

 伊那部は、遼瀬依のことを直接聞きたかった。

 「まずは、お主の名前は」

 「安曇厨紀弥です」

 「ズキヤ、私の息子、赤ん坊が誘拐されて、その事情を知っているのでは」

 「私は、確かに西国で必要な若者を拉致していますが、赤ん坊を誘拐したことはありません ただ、私が埴崎の里に丸木舟で着く前、蘇賀の里で、あの女、黄咲美姫が赤ん坊を抱えて、丸木舟に乗ることを見かけました」

 「キサミヒメ」

 その時、武斬弥は安操一行がもう一人の女がいないと喚いているのを思い出した。

 「イナべさま、あのときの」

 「そうだ、女の人数が違う そんなことがあった そうすると、その女がキサミヒメか アソウたちは」

 「もう、出港していません」

 「引き戻すことができないのか」

 「無理です」

 「ズキヤ、キサミヒメを知っているのですか」

河内湖 「あの女、以前、東国で拉致した そして、友好関係を築くため、依羅の里の首長に妃として送り込んだ しかし、子供を産めない体だったので、離縁されて、墨ノ江の里にもどってきた」

 「墨ノ江の里」

 「我らの本拠地です 河内の地です」

 「ズキヤ、息長安操を知っているか」

 「アソウですか あいつは瓜破の里です ここも河内の地」

 「大方のことがわかった アソウがリョウセイを連れ出したのだな」

 「イナべさま、お願いがあるのですが」

 「なんだ」

 「大王に会わせてくれませんか」

 安曇厨紀弥は、東国で若者を誘拐して、肩野の里(北九州市小倉北区片野)集結させていた。そして、その肩野の里を統制できる人物を、大王の配下から派遣してもらうように。

 「私の力では、それは出来ません 美世太彦様に聞いてみましょう その代わり、リョウセイを探してくれるか」

 「承知しました」


第2節

 伊那部は安曇厨紀弥を物井の里に滞在させ、厨紀弥を大王に会わせられるように、また、美世太彦に遼瀬依が誘拐されたことの報告も兼ねて、榎浦の里へ向かった。

 「父上、大変なことになりました リョウセイが誘拐されました」

 「リョウセイが」

 「父上も知っておられる息長安操が物井の里に移住者を連れてきて、その者を引き取ることにしました その中の女がリョウセイを誘拐したのです」

 「その女を取り押さえたのか」

 「丸木舟で西国の方まで、行ってしまいました」

 「探す手はずができているのか」

 「誘拐犯らしき男を捕らえました 安曇厨紀弥で犯人では無かったのですが、誘拐犯の女の正体を教えてくれました そのズキヤは、大上海上の国で増えている拉致事件の親玉で、リョウセイの誘拐犯を探すことに同意しました その代わり、大王に会わしてくれと言っているのです」

 「なぜ、大王に」

 「ズキヤは、拉致した東国の若者を西国の肩野の里に移住させている その目的は西国の争いを治めるための戦士として そこまではズキヤを追い詰めて聞いたのですが、大王に会って何を願いたいのかは、今のところ分からないです」

 「そうか、西国のことは噂では聞いてはいるが、東国の若者を拉致しているとは 大王に会わすことについては、ズキヤとやらに詳しいことを聞いてからにする」

 伊那部は物井の里に戻り、安曇厨紀弥を連れて、美世太彦の居館に戻った。

 「ズキヤとやら、大王に会う理由をわしに話してくれないか その内容によっては大王に会わしてあげる」

 「西国ではかなり昔から、海を渡ってきた人達がいて、最初は歓迎していたのですが、西国に住み着いてみると、私達の物の考え方と違うことが多く、指導権争いを始めたのです それが、ムラ単位で済んでいたのが、その人達が中心になって国を作り、西国に多くの国が出来ました その国同士の争いとなってきています 本来は、今まで住み着いてきた人、私達の国なのに、海から渡ってきた人達によって支配されるのではと そこで、東国から若者を拉致して、その勢力に対抗しようと でも、その若者を統制できる人物が必要になってきました そこで、大王にお願いして、確固たる人物を派遣して頂きたいと」

 「分かった 我ら東国の人間によって、西国を支配させようとしているのだな」

 「そのとおりです ですから大王にお会いして」

 「ズキヤ、わしと一緒に兄上に会いに行こう」

 「イナベ、リョウセイのことも心配だろうが 取りあえず、物井の里に帰りなさい 大王のこの話の結果がでたら、また連絡する」

 数日後、美世太彦と安曇厨紀弥とは、香澄の里の大王の居館を訪ねた。


第3節

 美世太彦は、大王に安曇厨紀弥のことを伝えておいた。大王は、その連絡を熟慮していたようであった。

 「安曇厨紀弥、あなたの要求は、物部一族では受け入れない だが、我らがよくなるようなことがあれば、話は別だが」

 「大王もご承知だと思いますが、西国では鉄器の利権が問題になっています 稲作の収穫による土地問題だけではないのです 東国でも鉄器は流れて来ているとは思いますが、西国では鉄鉱石をどのように手に入れるか そして、鉄器の兵器を増産できるか それが国家同士の勝敗に左右されます 鉄鉱石は、韓の国から持ち出されます それを息長一族が壱岐で調達し、韓の職人を使って、鉄器の剣などを作らせています それを私達、安曇一族が奴国に運ぶのですが、そこで邪魔者が入ります 或いは、韓の国から直接、鉄鉱石を奪い取り、韓の国の職人を拉致しようと目論んでいる国が、その利権争いのために西国が荒れています」

 「我々一族がそんな争いに巻き込まれるのはごめんだ」

 「大王の一族がその争いを鎮めて、その鉄鉱石の利権を一本化して頂いたら 物部一族は西国で大きな勢力になり、財力も膨らむと思う いかがですか」

 その時、厨紀弥の話を聞いていた美世太彦が。

 「ズキヤ、その話、事実か 今、壱岐で息長一族が鉄鉱石の仲介をしていると言ったな すると、息長安操も」

 「息長一族も、私達の安曇一族も海の民ですから、どこに現れるか分かりませんが、遼瀬依君は、私が探し出します」

 この場に同席していた物部大綜麻杵命(おおへそきのみこと)(大王の子息)が。

 「私、西国に行きます」

 「オオヘソキ、行くか よし、話が決まった 行くのはいいが、無理をするなよ」

 物部大綜麻杵命は、片野物部氏の祖で、いち早く大和の地に来て、天磐船に乗って河内国(大阪府交野市)の河上哮ケ峯(いかるがみね)に天孫降臨したというニギハヤヒの伝説を持つ。物部大綜麻杵命の子に開化天皇に嫁いだ伊香色謎命(いかがしこめのみこと)がいて、第10代崇神天皇を産んだとされる。また、崇神天皇に仕えた物部伊香色雄命(いかがしこおのみこと)も大綜麻杵命の子息。崇神天皇は実在人物であるが、開化天皇は欠史八代の天皇のひとりで、実在した可能性が現在の学術的研究では存在しなかったとされる。この「卑弥呼の世界」では、開化天皇に変わる人物を架空に作り上げている。

 伊那部は、美世太彦に呼び出された。

 「イナベ、オオヘソキ君が西国に行かれることが決まった」

 「オオヘソキ君が」

 「それで、イナベも西国に同行するか」

 「行きます」

 「物井の里の首長は、他の者にさせる それとアキサトヒメも連れて行ってやってくれ」

 「わかりました 必ず、リョウセイを見つけ出します」

 「オオヘソキ君を主人として仕えるのだぞ」

 伊那部は物井の里に帰って、阿木沙都姫に西国に行くことを告げた。そして、武斬弥も連れて行くことにした。


第4節

 伊那部達は西国に出発することが決まったが、遼瀬依を誘拐した黄咲美姫と息長安操は、蘇賀の里の港から丸木舟に乗って、河内湖までやって来た。伊那部から頂いた米と大豆と小豆を瓜破の里に届けるため、河内湖南岸に丸木舟を船がかりした。

 「私らのムラにこの荷物を持っていきます ここで アソウさまは奴国に行かれるのですね」

 「壱岐で、鉄器を仲介する仲間が待っているから」

 「その鉄器を今度は、どこの国にもっていくのですか」

 「今、奴国もそうだけど、伊都国や末羅国も侵略する渡来人勢力で大変なことになっているから、どの国が鉄器の剣などを必要にしているか検討がつかない とりあえず壱岐に行くことにした」

 その時、黄咲美姫が遼瀬依を抱きながら、息長安操の顔を伺った。

 「私も一緒にいくのですか」

 「当たり前だろう 物部伊那部さまのご子息を預かっているのだから、私にも責任がある ヒメが母親代わりになって、その子を育てるのなら、私はその子の父親として」

 「では、この子を育ててもいいのですね」

 息長安操は、久しぶりの奴国なので、現在の西国の情勢を知りたかった。西国では、以前の騒乱も一息ついたようで、西国を支配する大王が乱立していた。安操は、それらの大王の素養を知りたくて、今後、どの大王に付くかを見極めるために奴国に向かった。

 奴国は、日本で最初に国家形成した国で、57年に後漢に使者を派遣して、光武帝から『漢委奴国王』の金印を受けとった国でもある。その当時は、福岡県博多市板付遺跡に代表されるように、稲作が水田で縄文時代晩期から行われ、農耕民が多くの集落を形成していた。また、福岡市博多区那珂六丁目の那珂遺跡のように、玄海灘に面した海岸線には海の民が、韓の国との物流の拠点として集落を形成していた国でもある。国の運営は、農耕民と海の民で行われていたようです。

 170年頃、奴国の周辺の国も勢力を付けるようになって、奴国の利権を求めて、騒乱が起こった。後漢の霊帝の時代(167年~189年)に中国に倭国の情報が入り、倭国大乱と称した。この倭国大乱が治まったのが、卑弥呼が女王として邪馬台国を建国した188年のことです。息長安操が奴国の那珂の里の港に着いたのが185年頃でした。

 息長安操と黄咲美姫は、那珂の里の港に丸木舟を停泊させた。

 「アソウさま、お待ちしていました」

 安操の仲間が迎えに来た。仲間達は、壱岐から丸木舟で息長一族の本拠地、那珂の里に来ていた。

 「壱岐での鉄器による剣の生産は、上手くいっているのか」

 「はい、韓の国からの鉄鉱石も順調に入って来ています」

 「そうか それで、剣を欲しがる国はどこだ」

 「それが、奴国の周辺国ではないのです」

 「それはどこの国だ」

 「国ではないのです アソウさまもご存知だと思いますが、志賀の里の安曇一族です」

 「何のために」

 「肩野の里に、東国の若者を拉致しているでしょ」

 「それは知っている」

 「軍備を揃えて、何かやらかすのでは」

 「奴国の利権を他国から守ってくれるのではいいが」


第5節

 伊那部は西国に出発することになり、準備を進めていた。一方、香澄の里でも、大綜麻杵命も高屋阿波良姫(たかやのあわらひめ)と伊香色雄命を連れて行くことになった。そんな時、大王の居館に一人の祈祷師が。

 「大王に会わせてください」

 「お前は誰だ」

 「中臣曽孁比古です」

 「では、ここでまたれよ」

 大王と大綜麻杵命が縁側に出てきた。

 「おお、ソメヒコか 今日はわしに何か用事か」

 「オオヘソキさまが、西国まで行かれるのを聞き、私も同行させて頂きたいと」

 「オオヘソキ、どうする」

 「う~ん、では一緒に行くか」

 「では連れて行くか」

 「ありがとうございます」

 香澄の里に、伊那部達も物井の里から西国に行くため集結した。

 「みんな、オオヘソキを支えてやってくれ 航海の安全も願っている」

準構造船 香澄の里の港には、安曇厨紀弥が全長9mもある準構造船を用意していた。その船に伊那部達は乗り込んだ。その港には、大王や美世太彦が見送りに来ていた。

 肩野の里では、大王を迎えるための準備が進められ、居館も完成されていた。安曇一族は、奴国の志賀の里に基地を持ち、奴国の利権を守るため、東国から武力集団でもある物部一族を呼び寄せたのです。そして、奴国や伊都国や末羅国や不弥国の連合から外敵を守るため。物部一族は、肩野から北部九州を包囲するように集落を形成していきます。福岡県久留米市三瀦(みづま)町、福岡県みやま市瀬高町山門(やまと)(やまと)、福岡県久留米市御井(みい)旗崎、福岡県久留米市田主丸町竹野、福岡県うきは市吉井町生葉(いくは)嘉麻かま市、福岡県鞍手(くらて)郡鞍手町。さらに、佐賀県三養基郡みやき町、長崎県松浦市、壱岐島という地域に進出していきます。

 「オオヘソキさま、お待ちしていました」

 「ニタヤではないか お前も拉致されたたぐいか」

 「オオヘソキさまが、ズキヤから肩野の里に来られると聞いて、先に来ていました」

 物部丹田弥は、二田物部氏の祖で、北部九州では筑前国鞍手郡二田郷(現在:福岡県鞍手郡鞍手町)に本拠地を置き、ヤマト王権の時代に大阪府泉大津市二田町に移動。その後、新潟県柏崎市西山町二田に移動したと言われている。

 「ニタヤがいれば心強い」

 「さぁ、新しい屋敷に 皆様も」

 大綜麻杵命も高屋阿波良姫と伊香色雄命は、この居館で新しい生活を始めることになった。伊那部と阿木沙都姫と日向馬の住まいは、物部丹田弥が用意してくれていた。

 夕暮れになって、伊那部は大綜麻杵命から居館に来るようにと。行ってみると、物部丹田弥と安曇厨紀弥が座っていた。

 「ズキヤ、私達が戦う相手は」

 「熊襲と隼人です」

 「ズキヤの奴国ではないの」

 「私ら、奴国と伊都国と末羅国とは連盟しています そして、その警備は、不弥国の連中が行っています」

 大綜麻杵命が肩野の里に来た時は、邪馬台国の形が整いつつあった。奴国と伊都国と末羅国と不弥国の連盟です。

 「それは、南の国か」

 邪馬台国の対抗国として、狗奴国が登場するが、邪馬台国の死亡した248年の頃に登場する国なので、大綜麻杵命が敵対するのは、熊襲や隼人であった。

 「ズキヤ、その連合国に大王がおられるのか」

 「奴国の大王が、兼任されています」

 「では、一度その大王に会わせてくれないか」

 「大王に、東国から熊襲や隼人と戦う移住者がきましたと報告した上で、大王に面会の許可をもらいます」

 安曇厨紀弥は志賀の里に帰り、奴国の本拠地、須玖の里(現在:福岡県春日市岡本)におられる大王に会うことにした。


第6節

 安曇厨紀弥は志賀の里に戻って来た。そして、東国の物部一族を西国に連れてきた報告に、奴国の大王に会うため須玖の里へ向かった。

 奴国が建国して以来、男王が政権を担い、57年に後漢の光武帝から倭国の王として、認められていた。そして、『漢委奴国王』の金印を贈呈された。その後も、奴国の王が倭国の王として存在していたが、吉野ヶ里の大王、師升が107年に倭面上国(わめとこく)の国王として、後漢に使者を送り、後漢の安帝に倭国の王として認めるよう求めたが、結果は承認されなかった。依然、倭国の王は奴国の大王だった。148年頃、後漢の霊帝の時代に、倭面上国と奴国との政権争いが始まる。倭国大乱です。奴国は、伊都国と末羅国と手を結び、倭面上国と称した吉野ヶ里が船塚の里などの周辺集落と。その二大勢力が40年もの歳月を費やして争った。

 息長安操の方でも、奴国の大王から須玖の里に来るようにお達しがあった。息長安操が那珂の里を出た頃、安曇厨紀弥とであった。

 「ズキヤ、久しぶり これから大王に呼ばれて」

 「わしは、物部一族を肩野の里に その報告で行くところだ」

 息長安操と安曇厨紀弥は、須玖の里に着いた。大王の居館に入った時、韓の国から帰国してきた葛城羽喜冴兎命(わきさとのみこと)と倭面上国に忍ばせている蘇我禹罹賀瑪命(うらがめのみこと)が同席していた。

 「今日集まってもらったのは、ウラガメを倭面上国に忍ばせて、相手の出方の報告で、ワキサトが韓の国から帰ってきたので、その報告と」

 「大王、私も報告があります」

 「ズキヤか、あとで」

 息長安操は、みんなの話を聞こうとしていた。最初に話だしたのは、

蘇我禹罹賀瑪命でした。

 「倭面上国は、船塚の里に手を伸ばし、韓の国の移民を受け入れています」

 「なぜ、そんなことを」

 「末羅国と手を結び、韓の国の鉄鉱石を船塚の里に直接持ち込み、韓の国の移民に鉄器を作らしています」

 「今は、倭面上国からの攻撃が落ち着いているが、また奴国に攻めてくるのか」

 それを聞いた息長安操は、ドキッとした。息長の仲間が、鉄鉱石と韓の国の鍛治職人を倭面上国に流している話を聞いていたから。

 「アソウ、お前ところが」

 「大王、とんでもありません 息長一族はそのようなことはしません」

 船塚の里は、佐賀県唐津市の松浦海岸に水田式稲作技術が伝わってから、早い段階で稲作を開始した地域で、農耕民が主体のムラでした。律令制が試行されてからは、肥前国の国府が置かれ、佐賀県の中心地でもあった。

 「では、ウラガメと船塚の里へ行ってみるか そして、倭面上国から鉄器の利権を奪い取るのだ」

 大王は、息長一族の策略を察していた。蘇我禹罹賀瑪命も葛城羽喜冴兎命と同様に韓の事情も精通していた。

 「ワキサトの方は、どうだ」

 「韓の国では、鉄鉱石がある伽耶の里(現在:大韓民国金海市)では、首露王が鉄鉱石の利権を握っています私達は、その首露王との交渉で、鉄鉱石を入手して、息長一族に手渡していたのですが、倭面上国の連中が割り込んで来ました」

 「倭面上国が」

 「それと気になるのが、伽耶の里の北に新羅がいます 新羅の侵入を阻止するため、私達の仲間が警備にあたっています」

 「新羅の連中を拉致して、我が国に連れて来なさい 彼らの文化と技術はとうといですから そうだ、安曇厨紀弥に頼もう」

 物部一族を東国から連れてきた安曇厨紀弥は。

 「次は、韓の国ですか 大王、物部一族を肩野の里に集結させました 倭面上国が今後どのように動くか、そのために物部一族の一部を三輪の里(現在:福岡県朝倉市三輪町)に配置させましょうか」

 「そうしてくれるか 新羅の連中の拉致も頼むぞ」

主だった登場人物が揃い、次章は奴国の大王が暗殺されて、邪馬台国が誕生します。

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