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第二話 不思議の国の引きゲーム廃人

 目が覚めるとそこは病院だった。

「俺……トラックに轢かれて、あれ、それからどうなったんだ……?」俺は死んだのか?ほっぺたをつねるという古典的な方法で現実かどうかを確かめてみたがたしかに痛かった。

「目が覚めたのですね、よかったです」

声のする方を見ると1人の少女が座っていた。17、18歳くらいだろうか、服装からして医療関係者ではなさそう。腰にはハンドガンらしきものが携帯されていた、この統治国家でなぜ銃を持つことが許されているのだろう。意外と冷静な俺、そんなことを考えているとこちらの視線に気付いたのか彼女は口を開いた。

「私はあなたをここまで運んできたのですよ」


「そう……なのか、ありが──いたたっ……」

「まだ起き上がらないでくださいね、かなりの間意識がなかったのですから」

頭が痛い、さっきの走馬灯のようなものは夢じゃなかったのか?実際に経験したかのように鮮明に思い出すことができる。しかし目の前の少女とは全く面識がない、とりあえず聞いてみた。


「ところで君は──」

彼女にそう尋ねようとした時、白衣を身に纏ったおっさんが部屋に入ってきた。


「目が覚めてよかった、道路で倒れている君をそこの少女が助けてくれてねぇ。ここまで運んできたんだよ。外傷も少なく異常も特にみられなかった、倒れていた原因はわからなかったがねぇ。数日で退院できるよ」

おっさんはそう言った。


それから数日して俺は無事病院を出ることができるようになった。待合室のようなところに行くと病室で出会った少女がぽつりと1人座っている、俺は彼女の元へ向かった。

「君が俺を助けてくれたんだね、本当にありがとう助かったよ」

「いえ……当然のことです……」

なぜか少し悲しそうな返事が返ってきた。

「どうかしたの?」


「あなたは……あなたは一体どこから来たのですか?」予想外の回答に少し戸惑った、そういえばこの病院に来てからおかしな点がいくつかあったな。病室から窓の外を見た時、あたりの建物に見覚えはあったものの道路と建物は所々崩れていて倒壊した建物や弾痕のようなものがあった。

まさかとは思うがここはもう元のいた世界ではないのか?

だとしたらあの時トラックに轢かれて助かったのではなく一度死んだという解釈の方が正しいのかもしれない。


「なんでそう思うの?」


「あなたが病室で寝ている時、潜在能力が一つもなかったんです。」

順を追って説明をしてもらった。

どうやら生まれた時1人1つなにかしらの潜在能力を例外なく持っているらしい、それを人工的に覚醒させてほんの少し魔法が使えるかのような能力を発揮できるのだが、稀に2つの潜在能力を持って生まれるまたは後から潜在能力が2つになることがあるらしい。

おそらく俺に潜在能力がないのは別の世界からやってきたからだろう、ここは元のいた世界じゃないんだなと俺はその時確信した。

生まれた時に適性検査を受け、潜在能力を2つ有するものは戦闘人形を育成する教育機関に放り込まれ戦うための道具として利用される。彼女もその1人だった。そして軍隊を形成し戦場に赴く途中で俺が倒れているのを見つけ病院まで運んだそう。ここで初めてこの国は戦争をしているということを知った、だからか、建物についた弾痕にも合点がいく。

彼女は俯きながら俺に説明をしてくれた。



「司令官の命令は絶対、単独行動をした私は国に見つかれば処分される……けど私は──やっぱり人殺しなんかできないっ!──誰かを助けたい、」

俺は言葉が出なかった。

てゆうかとんでもない世界線に来てしまった、帰りたい……。

少女は続けて話す。

「私は傷を癒す能力を持ってるんです、治癒効果の能力はとても珍しくて能力が1つしかなくても例の軍隊に派遣される。最近では情勢が悪化し徴兵令が発動されて一般人でも戦争に向かう人が増えてきました、逆らえば殺される。この場所もつい数日前危険区域になりました……あなたはすぐにでもここを離れた方がいいでしょう」

言われずもがなここを離れようとし俺は病院の出口へ向かった。 


──足が止まる


振り返ると彼女は立つ気配もなくベンチに座って俯いている、よく見ると大粒の涙を流していた。

「──っ、振り向かない方が良かったわ……」

気づけば彼女の手を取り病院を走り去っていた。

裏路地を通り、自分の家を目指して小走りで進む。

彼女も黙ってついてくる。


「そういえば君、名前は?」


「名前……私はコードナンバーE-106、国の育成機関にいる人間には普通の名前がないの」

本当に戦うための道具としか扱われてなかったのだろう、まるで囚人番号のようだった。

「E-106かー、コードナンバーに馴染みがないから呼びにくいな。うーん……いー、えー、10、エーテル。はどうかな、ちょっと無理矢理だけど」

ひとまず引火性液体のような名前を提案した。

「名前、くれるんですか?」

「そんな大層なものじゃないけどね、コードネームじゃ呼びにくいし」

「嬉しいです、素敵な名前をありがとうございます!」

こちらも軽く自己紹介をしていると馴染みのある景色が見えてきた。

「あと今から敬語は無しね、もうすぐ家つくよ」

ところどころ知らない建物が建っていたりしたが街並みや地形はほとんど変わってなかったので無事に家に辿り着くことができた。

小さな一軒家、しかしなぜか扉があいている。中に入ろうとするとエーテルが腕を引っ張った。

「ちょっと待って、中に人がいる──」

パンッ! パンッ!

乾いた2発の銃声が空気をはねかえすように響いた。その銃声はエーテルのものだった。部屋の中には眉間から血を流す軍隊のような迷彩服を着た男らしき人が2人倒れていた。完璧なヘッドショットといきなりの銃撃戦に俺は立ち尽くした。

「ポストの中に見覚えのある紙が入っていたの、多分徴兵のお知らせがあなたのとこにもきてたんだと思う。彼らは来なかったあなたを殺しにきた」

その説明を聞いて俺は背筋が凍った。1人で家に来ていたら確実に死んでいただろう。

「とんでもないところだね……」

「これが普通、こういう世界なの。ここは」

これが国が育成する精鋭部隊なのか、体に染み付いたかのように素早く銃に弾をつめていた。殺しを否定するエーテルだが、やらなければやられる。殺しなんかしなくてもいい世界に彼女を連れて行きたい。元の世界に帰れるとしたら、彼女と一緒に──



「これからどうするの?このまま徴兵令に従わなければあなたはまた狙われる、事情を説明すれば今からでも戦場に行くことができるけど」

選択肢


>戦場に行く

>エーテルとこの町を離れる


毎話後書きに選択肢を書きます。読者の方々が選ぶことができ、多かった方の選択肢を軸にお話を進めようと思います。感想を受け付けているのでそちらに記入してくれると嬉しいです!皆さんは凸砂好きですか?私はCOD民です、PCは難しくて凸砂はモバイル版でしかしないんですけどね……。凸砂系ラノベ読みたいなーとか思って探したけど当然の如くなかったので自分で書いて楽しんでます。ランクマのスナイパーのキルレ確認したら1.56でした。まあギリ許されるでしょうか……

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