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【短編】勇者様が朝帰りしました

作者: 田中佳奈

のんびりと生きたい願望があふれ出してしまいました。

 今日、直人さんが朝帰りしました。


 別に怒ってはいません。

 大量に作ったカレーが冷蔵庫に眠っているだけです。


 いつも通り、洗濯から始めます。

 今日はあいにくの雨なので、サンルームで部屋干しです。

 魔法を使えば早いのですが、服の種類によってはゴワゴワになってしまいます。

 パンパンしてしわを伸ばし干していきます。いつもと違い一人分なので、早く終わってしまいました。


 次は掃除を始めます。今日はキッチンのお掃除です。

 排水口のパーツを分解し、小さいバケツに入れます。そこに水をため、漂白剤を入れ、つけ置きします。

 その間に、コンロを拭きます。専用の洗剤を吹きかけ、絞った布巾で拭きます。その後、乾拭きします。板状の最新版なので、お手入れが簡単です。直人さんのいた世界では、IHというものらしいです。

 つけ置きしていたパーツを水で流していきます。パーツを元に戻し、シンクの水を拭きとります。撥水剤を吹きかけ、布巾で広げていきます。これをやると汚れが付きにくくなるので、オススメです。


 時計を見ると、10時でした。

 お昼ご飯は昨晩のカレーがたっぷりと残っているので、問題ないでしょう。

 直人さんはまだまだ起きないでしょう。


(……そういえば、リンゴがありましたね)


 テーブルの上にリンゴが置かれています。直人さんが持って帰ってきたのでしょう。

 ありがたく、使わせていただきます。


 今日のおやつにタルトタタンを作ります。

 まずは生地を作ります。

 冷たいままのバターを小さく切って薄力粉に入れます。粉上になるまで指で優しく混ぜていきます。次に卵黄にお水を少し入れ混ぜます。それを粉上にした薄力粉に入れ、切るように混ぜていきます。切るように混ぜることで、焼いたとき生地がサクサクになる気がします。

 まとまったら、ラップで包み冷蔵庫で休ませます。


 生地を休ませている間に、リンゴを調理していきます。

 食べ応えあるように、一玉を八等分にします。皮をむいて芯を取り除いていきます。

 お鍋にお砂糖と少しのお水を入れ火をつけます。焦がさないように気を付けながらカラメル状にして、バターを入れます。とてもいい匂いの中にリンゴを入れ、全体にからむように混ぜていきます。そこに追い砂糖を入れ馴染むように混ぜ、落し蓋をします。時々上下を入れ替えながら弱火でコトコト煮ていきます。


 生地を冷蔵庫からだして、伸ばしていきます。型に合わせて生地を切り抜きます。リンゴの様子を見るとしっかり染みていたので、火を止めます。

 少しだけ味見します。これにアイスを添えても美味しいと思います。……少しだけ別皿にリンゴをとっておきます。

 さて、トロトロリンゴを型の底に隙間なく並べていきます。ぎっしりリンゴを詰め、生地をかぶせます。膨らみ過ぎないように、フォークで穴を開けます。180℃に予熱していたオーブンで、40分焼きます。

 後は焼き上がりを待つだけなので、ソファで休憩します。


 時計を見ると12時前になっていたので、カレーを温めます。

 扉が閉じる音が聞こえ、足音が近づいてきます。直人さんが起きたようです。


「おはようございます」

「おはよう。……昨日はごめん。緊急でミトスのダンジョンに上ることになってしまって……」

「リフィス様から連絡がありましたから、大丈夫です。それよりも、遅くまでお疲れ様でした」

「……ありがとう」

「さあ、今日のお昼ご飯は一晩寝かせたカレーです。二日目のカレーが美味しいと言いますから、絶品に仕上がっているはずです」

「山盛りでお願い」

「わかりました」

「甘い香りもするけど、何か作ったの?」

「リンゴが沢山有ったので、タルトタタンを作ってみました」

「ああ、あのリンゴか。ミトスの領主から沢山もらったから、リズに何か作ってもらおうと思ってたんだった」

「早速、使わせていただきました」


 カレーを盛りつけ、テーブルに運ぶ。

 直人さんのカレーは二人分の量を盛りつけました。寝起きでも食べれると信じています。


「いただきます」

「どうぞ、めしあがれ」


 直人さんのスプーンが止まりません。ほんとに噛んでいるのでしょうか。飲み物のように減っていきます。

 私も食べ始めます。……昨日のカレーとあまり変わらないように思えます。私には繊細な味覚は備わっていなかったようです。


 直人さんが席を立ち、空になったお皿をもって台所へ向かいます。

 直人さんにとってカレーは飲み物だったようです。たくさん食べてもらえるのは嬉しいのですが、驚きの方が上回っています。

 私が食べ終わるのと、おかわりした直人さんが食べ終わるのが、同じくらいでした。


「ごちそうさまでした」

「おそまつさまでした」


 お鍋のカレーはなくなっていました。満足感が広がります。


「タルトタタンも食べていい?」


 そう言いながら、コーヒーを淹れる準備を進めています。


「……いいですよ」


 恐るべき食欲です。


 オーブンから出して、粗熱を取っていたタルトタタンを型から外します。

 ぎっしりリンゴが詰まっています。冷やしていないのでプルプルはしていませんが、美味しそうです。私の分も少しだけ切ります。デザートは別腹ですよね?


 テーブルにタルトタタンとコーヒーが準備できました。


「「いただきます」」


 一口食べた直人さんの表情に、満足します。お口にあったようです。

 私も口に運びます。思ったよりもさっぱりとした甘さに仕上がっています。直人さんはこのぐらいの甘さが好きなので、今日の分量を頭の中にメモします。


「「ごちそうさまでした」」

「すごく美味しかった」

「良かったです。本当は一晩冷やすんですよ?そうしたら、プルプルに固まります」

「そうなんだ。明日が楽しみだ」


 その言葉を聞いて、頬が緩んでいくのがわかります。


「明日も一緒に食べましょうね」

読んでくださりありがとうございました。

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